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やっぱり親父殿は凄いようです。

 店に着く頃には、夕食前の時間帯になっており、集まっていた皆が迎えてくれる。

 サムイルの姿が見えないのに気付く。

「おい、ペタル。サムイルは?」

 サムイルには森に行く前に王都までの定期便事業のための交渉をお願いしていた。

「アニキが頼んだ仕事でしばらく留守にしてるよ。」

「まさか王都まで出掛けてるのか?一人で!?どのぐらい出る予定なんだ?」

「2週間って言ってたかな。マサヤさんに護衛を一人お願いしたよ。」

「2週間も!?まぁ護衛がいるなら大丈夫か。」

 まぁ、親父の所のフロントの商売の一つだからな。

 ウチの子のお守りなら、それなりの人間はつけてくれてるだろう。

「それにしても、思い切ったな。」

「アニキが頼んだ仕事だろ?」

「そうなんだけど、そんなに遠くまで一人で行くとは思わなかったし、遠くまで行くなら相手先と交渉する時だろうから、俺が帰ってくるのを待ってると思ってたからな。」

「まぁ、アイツなら、大丈夫なんじゃないか。」

 いや、ウチ一番のしっかり者とはいっても、それでもまだ12歳なんだぜ。

 そりゃ心配するだろ。

 横にいたこころさんも驚いた表情を見せている。

 同じ反応をしてくれて良かったよ。

「ここで心配してても仕方がないわ。とりあえず、夕食にしましょう。」

 マーリヤに促されて、食堂に入っていく。



 みんなで食堂に集まり、マーリヤの料理を堪能する。

 先に身体を綺麗に拭いてからの方が良かったけど、もう食事の準備があらかた済んでいたので、食事を先にすることにした。

 道中、肉類は干し肉だけだった。

 この季節ならウチの製品は生でも3から5日ぐらい保つものの、重量を優先したためだ。

「しかし、マーリヤは本当に料理が上手くなったな。すごく美味しいよ。」

「ありがと。」

 照れた笑顔で答えてくれる。

 うん、この反応はアレだな。

 どうしよう。

 それなりに可愛いし、気が利くうえに家事は完璧、読み書き計算もできるとなると引く手あまただろう。

 まぁ、そういう風に仕込んだのは俺だけど。

 周りから言い寄られれば、その中に好きになれそうな男が出るかと思っていたけど、そうはならなかった。

 好意が俺たちに対する恩からきてるってのもあるから、よく考えるように彼女に言ったこともあったけど、それだけじゃないと泣きながら怒られた。

 まだ、戻れるという希望がある限り、こっちに骨を埋める覚悟ができなしいなぁ。

 それにまだ14歳、元の世界でいうなら、中ニなんだよなぁ。

 大人びた子だとはいえ、さすがに罪悪感がある。

 視線を横にずらすと、こころさんは無言ではあるが満足げな表情をしていた。

 2人は5歳差でちょうど俺は真ん中か。

 どっちを選ぶとしても親父ぐらいの年になれば、あんまり気にならない年の差なんだろうか?

 親父が俺の歳ぐらいの時はどうしてたんだろ?

 女の扱いは上手そうだからな。



 食後にこころさんに呼び出されて、部屋に向かう。

「遅くにゴメン。」

「そんな気にしないでも良いよ。みんなに聞かれるとまずそうな話?」

「ん。」

 こころさんが頷く。

「まず、最初に。魔物出た時、本当にありがとう。」

「何だよ、、急に改まって。」

「命を懸けて前に出てくれた。結局、戦わなくても助かった。けど、裕紀がいなかったら死んでた。」

 まぁ、こころさんだけじゃなくて、ヴィネフもいたけどね。

「約束したろ。ちゃんと護衛をするって。」

「本当にありがとう。」

「もう、礼はいいって。」

「ストーンカと出会って気付いた。いろいろおかしい。」

「何が?」

 言葉が少な過ぎて、ついこういう反応をしてしまうけど、別に不快な訳ではないんだよね。

 と言うか、ここからか。

 みんなに聞かせるのはまずそうな話は。

「魔物に対する嫌悪。裕紀は少ない。」

「別にわざわざ嫌う必要が無い気がするんだけど?」

「私も他の人もすごくある。教会の教えも。」

「ん?よく分からないな。」

「よく分からないケド、裕紀の言うみたいに元の世界の感覚より酷い。」

「そうなの?」

「元の記憶がなくて断定しづらい。けど、多分。」

「嫌悪感を不必要に掻き立てられるようになってる?」

「多分そう。」

 それって、親父や俺以外の人間がサキさん、ラファエロさん、宗一郎さんと仲良くできないってことに繋がるのかな?

「私たちおかしくなってる。」

「こころさんたちが?」

「前のパーティーのみんな、今まで何の迷いも無く魔物と戦ってきた。」

「そう言えば、レベルをあげるために魔物を倒しに行ってたんだよね。」

「迷いが無いのおかしい。多分、召喚された全員がそう。」

「まるで何か暗示がかかってるみたいに。」

「誰ががみんなに暗示をかけた?」

「多分、教会。」

 教会・・が何かしてるってこと?

「しかし、今のところだと確たる証拠もないし、ここだけの話にしておこう。」

 俺の知る中ではルース教は大陸のほとんどで信仰されており、また、莫大な権力と財力を持つだけでなく、敬虔な信徒が非常に多い。

 そりゃ、魔法を使える世界で使徒を始めとして、目に見える奇跡を行使し続けているんだから当然だろう。

 教会を敵に回すことは、大陸を敵に回すに等しいだろう。

 親父が俺を遠ざけるのは、そういう事なのか?

「教会は怖い。教会に関わることは、ウチの子たちにも聞かれない方がいい。」

「うん。」

「ああ、そう言えば、一つ言い忘れてた。」

「何?」

「カレンで襲われた魔族なんだけど、うちの兄貴が倒したんだってさ。」

 こころさんが絶句している。

「もしかして、ストーンカよりも強そうだった?」

「桁違い。」

 ストーンカさんより桁違いに強いってどういう化物だよ。

 まぁ、ストーンカさんは草食動物だしな。

「まぁ、出会った時には目が見えなくなってたらしいし。」

「それでも凄い。」

 カレンにいた魔族ってそんな凄い化物だったのよ。

「多分、目は優のスキル。優の目を差し出して奪った。」

「そうなんだ。」

「誰も死んでないから、仇討ちじゃない。けど

、安心した。裕紀のお兄さん本当に凄い。」

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『エンチャンター(戦闘は女の子頼みです)』 を隔日・交互に掲載しています。 こちらもよろしくお願いします。


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