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新たに親父の仲間の魔族が増えているようです。

宗一郎の種族名「ドラウグル」を「ドウラクル」とご記載していたので修正しました。また32話から書式設定が変わっていたため修正しています。

 こころさんはマーリヤに連れられて部屋の案内をされた後、街も回ることになった。

 今晩は用事があるので、夕食は外で食べてもらうようマーリヤにお金を渡しておいた。

 さて、彼女の取り扱いも含めて親父に相談しないとな。

 親父の売春浴場に向かうと、今日はまた別の貴族の未亡人のところに行っているらしい。

「かなり厄介な案件だ。親父の耳に入れてくれるだけで良い。頼めるか?」

「今日は非常に大切なお客様のところですから、取次もできませんよ。」

 俺とヴォイシルの遣り取りに気が付いたサキが口を挟んでくる。

「ドーテー、何を騒いでるのよ?」

 サキにこころの事を話すと、顔を青くする。

「ワタシが行ってくる!」

 サキはヴォイシルが制止をする前に店を言葉通り飛び出していった。

 部屋を出て飛ぶ彼女の姿はすぐに見失ってしまう。

 多分、認識阻害とかそういったスキルを使っているんだと思う。

「そんなに大事だったんですか?」

「ああ。多分、この世界の命運に関わるぐらいなのかな?」

 ヴォイシルの問いにそう答えた。



 親父がサキさんと一緒に帰ってきた。

「ヴォイシル、今日は2階はワシが貸し切る。かまんな?」

「ええ。」

「サキは宗一郎とラファエルを連れて来てくれ。頼めるか?」

 ん?

 宗一郎って誰だ?

 また新しい魔族でも増えたか?

「ええ。」

「先に俺が彼女と話した内容を説明した方がいいかな?」

「ああ。」

 今日、こころと話した内容を説明する。

「なるほどな。しっかし、どないしょうかな?一回ワシが話しした方がエエかな?」

 ラファエルさんが何かを抱えて部屋に飛び込んでくる。

「ミイラ?」

 ラファエルさんの抱える荷の布がめくれ、露出した部分が見えたが、乾燥保存した人体にしか見えない。

 しかし、そのミイラは床から自力で立ち上がる。

「いや、生きてる?微妙だな?」

「アンデッドなんですね。何で抱えてきたの?」

「歩いてだと目立つからな。」

 確かにミイラが街中を歩いていたら大騒ぎになるよな。

「確かに。あっ、こんばんは。」

「ああ、どうもはじめまして。」

 ミイラとぎこちない挨拶を交わす。

「僕は芦屋裕紀。」

「僕は宗一郎。ドラウグルというアンデッドです。あんまり馴染みのない名前かな?」

 人懐っこい話し方だが、その嗄れた声と目が窪んだ表情の作れない顔とのミスマッチが酷い。

 転生者でアンデッドなんて、どういう経緯でそうなったのか気になるところだがらまたの機会に聞いてみよう。

 しかも、宗一郎って元のままの名前を名乗ってるってどういう事なんだろう?

 まぁ、サキはこっちでも使う名前らしいけど。

「自己紹介はそこまでや。ほな、状況確認に入ろか。」



 部屋には親父とサキさん、ラファエルさん、宗一郎さん、ヴォイシルそして、俺が集まっていた。

 俺はこころが来た経緯から説明し始めた。

 何故か全員が意外な顔をしている。

「何がそんなに意外なの?」

「使徒っちゅうのは、基本的にこの子らへの当て馬なんや。せやから、戦闘能力が高いジョブの子らが多いんや。」

「裕紀はそもそも事情を説明されてないから、訳が分からないわよね。」

 サキが俺の様子を見てフォローしてくれる。

「ああ。」

「昌也さん、もう裕紀にもきちんと説明してあげないといけないんじゃないんですか?」

「そうは言うものの、知ったからこそ危険なモンもある。不必要な情報を持たへんのも、身を守るための手段やで。とは言うものの、こっちに来たこころちゃんやったか?その子との接触がぎこちなくなってもうても危険や。」

「まぁ、そうなんでしょうけど…」

「僕は裕紀くにんは、安全な所で僕らのことを見守ってて欲しいと思ってる。生き証人にね。」

 宗一郎さんは親父の意見に賛成のようだ。

「まぁ、僕らは人間からしたら、恐怖の対象だろうからな。もし、失敗した時に真実を伝える人も必要なのかも知れないな。」

 ラファエルさんも同調する。

 まぁ、第三者の意見もあるし、ここは大人しくしておくか。

「お父さん、話せるレベルで説明をして。」

「ああ。」

「まずは、システムの概要からやな。今まで『スキルとステータスのシステム』って呼んでたけどな。これは製作者は『イクサスシステム』と呼んどる。正式名称は胸くそ悪いから伏せとくわ。」


 イクサスシステムとは、輪廻すべき魂をそのシステムにより、殺害した対象内に留めることにより、力に変換するものであるらしい。

 このシステムの中でスキルとは優れた技能をパッケージ化し、ジョブにより容易に取得と利用ができるようにしたものであるらしい。

 このスキルも優れた技能を持つ人間がいれば、新たなスキルが開発されるようになっている。

 新たに強力なスキルの開発もこのシステムの一つの目的であるということらしい。

 そして、常に闘争状態を作り出すため、人間側には召喚した使徒を、魔族側には転生者を12年周期で呼び出している。

 つまり、こころたち使徒とは、ここに居る転生者と戦わせるために喚び出された被害者だということだ。

 そして、転生者には『魔王の胤』というスキルが必ず付与され、成長を促進する。

 そして、システムの体制側になっていると思われるのが、ルース教会だ。

 この大陸で最も信仰されている宗教であり、その総本山は独立してルース神聖国として存在する。

 使徒が召喚されるのは、その大聖堂だ。

「じゃ、こころさんは、どんな役割を担ってるの?」

「システムが欲してるのは、戦闘スキルや。『薬草師』のジョブとそのスキルやと、生活の役には立つんやろうけど、その子の役割は今ひとつ分からんなぁ。」

「でも、鍛冶師や錬金術師も含めて基礎的な技術の向上も役割の一つなんですよね。」

 ラファエルさんだ。

「まぁ、その辺は置いといて、あの子が向こう側の意向で動いてるんかどうかやな。裕紀に普通に接触してもろて探るのもアリか?」

「聞いたところによると、使徒は4人で4パーティ作られるらしいですよ。裕紀くんには、彼女が所属していたパーティの状況を聞いてもらいましょう。いや、その前に彼女が僕らに敵対しないかってところを確認してもらうのが優先ですかね?」

「宗一郎の言うとおりやな。先ずは敵対の意思なりが無いか、どこまで情報を持ってるか、それとなく探ってくれるか?」

「分かったよ。」

 こころさんにどこまで情報を開示するのかを決めた後、定期的に親父の店に来て状況を報告することに決まった。

「くれぐれも慎重にな。もし向こう側の意向で動いてるなら、かなり危険だ。下手をすれば、ルース教徒、いや、街の人間全てが敵に回るかも知れないからな。」

 ラファエルさんが心配して声をかけてくれる。

「そう言えば、宗一郎さんは普段何処にいるんですか?」

「ああ、ありがちかも知れないけど、墓場だよ。」

 まぁ、動く死体だし。

「ジッとしてるのは好きだから、ずっと墓穴にいてるよ。」

 墓穴で引き篭もりなの?

「想像どおり墓穴で引き篭もりだよ。墓場は僕にとって力を蓄える大切な場所だからね。緊急事態でサキさんにも連絡が付かない時は、僕のところに来てね。」

「了解です。」

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『エンチャンター(戦闘は女の子頼みです)』 を隔日・交互に掲載しています。 こちらもよろしくお願いします。


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