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暴食

 人間は美味かった。

 子供は特にだ。

 血の滴るまだ生温かいはらわたの何と甘美なことだろう。

 砦ということもあり、子供の姿は少なかったが、それでも見つければ喰らった。

 生命力は年を食った方が美味い。

 俺は独り、力を蓄えるため、魔境に戻ることにした。

 魔境には数百年と生きる種族がわんさかいる。

 ソイツらの生命力はよほど美味いのだろう。

 魔境に戻って戦いたいのは生命力云々だけの話ではない。

 レベルが30を超えたあたりから上がりにくくなってきた。

 強いモノの方が多くの経験値を持っている。

 その辺りはゲームみたいだ。

 いつか、あの頭のおかしい女に吠え面をかかせてやりたい。

 それに、今まで程度の強さぐらいじゃ、いつ殺られるか分かったもんじゃない。

 バカみたいな力を持った奴がこの世にはわんさかいる。


 俺は目に付く集落を襲い続け、魔境の中心を目指し始めた。

 エンプーサや吸血鬼共は人間のように街や城を建てていた。

 人間とその混血の町もあった。

 俺は種族も何も関係なく、殺し、犯し、喰らう。

 魔眼の力は使う度に強くなっていた。

 見ているだけで生命力を吸い取り回復していくから、傷つくことも怖くない。

 強い奴はたくさんいたが、敵が強ければ強いほど、こちらは魔眼の力で回復していく。

 これがいわゆる「チートスキル」ってやつか。

 気が付くとスキル欄に様々なスキルが増えているが、それらが活躍することはほとんどなかった。



 レベルは45になった。

 そろそろ野心を持って良い頃合いだろう。

 俺にとって魔境は何の魅力もない。

 魅力的に見えるのは女と食料を抱える人間たちだ。

 俺に付いてきていたゴブリンたちにとってもそれは同じだろう。

 そこまで考えた時、ふと、自分が元々人間だったことを思い出した。

 ただ、それももうどうでも良い。

 そもそも人間でも、ゴブリンでも、トロールでもない。

 俺は雑種なのだから。



 経験値を得て上げたステータスは超人的な力を俺にもたらした。

 そう、まだ人間だった頃にやった、無双とかなんとかいうゲームのように、人間も魔物も魔族も玩具みたいに蹴散らすことが出来るようになった。

 もう、前に襲った公爵の城だって独りで落とせるぐらいの力は付いただろう。

 ただ、トリキアの属するパンティア王国自体は広大な国土を持つだけでなく、関係の深い隣接するガルディア帝国やカレン連合王国が隣接している。

 俺が攻め入った場合、これら三国が共同して反撃してくる可能性が非常に高い。

 北側のカレン連合王国は元々、海軍力を持っており、北の海から攻め入られるだろうし、ガルディア帝国もトリキアの南側で接しているため、同時に三国を相手にする必要がある。

 そこで、俺はカレン連合王国に目を付けた。

 カレン連合王国自身は強力な海軍を持っているが、パンティア王国は内陸部に大きな領土を持つうえ、北側は関係の深いカレン連合王国しか存在しないため、海軍はほとんど持っていない。

 また、ガルディア帝国とはパンティア王国を挟むこととなり脅威にはならないだろう。


 ただ、城を落とすだけでは支配はできない。

 城落としてからの反撃や、支配体制の構築も必要になる。

 俺は各地のゴブリンやトロールを主に俺の軍を集めながら、カレン連合王国を目指すことにした。

 通りすがりのゴブリンやトロールの集落を襲い、ボスを喰らうと勝手に付いて来るようになる。

 そうやっているうちに、ゴブリンやトロール達が勝手に集まってきた。

 その中には、かつてトリキアを一緒に襲ったザガンたちを始めとしたゴブリンたちもいた。

 コイツらは、それなりに知能も上がっていたため、自然と側近の立場に収まっていた。

 気が付くと俺について歩く魔物は1,000を超えていた。


 行く先々で殺戮と略奪を繰り返しながら行軍していくしか方法はない。

 通る街や村で略奪を行い、物資が底をつかないよう最速の速度で行軍し、パンティア王国の北西にあるノヴェルの港町を目指す。

 ハンナという港町に着いた時、そこは既に焼け野原となっていた。

 情報収集のため生き残った人間を狩り集めたところ、植物系の魔物に襲われて街が壊滅したとのことだ。

 恐らく、あのアルラウネ、頭のおかしい女だろう。

 しかし、今はあの女の相手をしている場合ではない。

 カレン王国へ向かうための船を奪いに行くため、ノヴェルを西に進む。

 俺たちが通った後には何も残らない。

 まるで、蝗の大群とか言われるんだろうな。

 あのアルラウネと俺たちの略奪により、このノヴェルという国はほぼ壊滅といったところだろうか。

 人間たちから集めた情報によると、あのアルラウネは人間だけでなく魔獣や魔族も無差別に襲っており、俺たちはあのアルラウネから逃げ出したものと思われていたようだ。

 そのため、それなりの備えはしていたようだが、組織だっての侵攻とは思ってもみなかったらしい。

 数万規模の街であるため、蹂躙・略奪のしがいがあるが、略奪は早々に切り上げる。

 捕らえた水夫たちに俺とザガンでカレン連合王国まで俺たちを送り届ければ、解放してやると、嘘で丸め込み、奪った船でカレン連合王国へ向かって出航した。

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『エンチャンター(戦闘は女の子頼みです)』 を隔日・交互に掲載しています。 こちらもよろしくお願いします。


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