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生きたい

2018.11.10誤字修正しました。

今更ですが、熱に浮かされ別編挟む告知をできていませんでした。

しばらく体調を崩し推敲できていないので、誤字・脱字多いかも知れませんが、ご容赦ください。

 自分の手を見た。

 それは、緑でか細い物だった。

 一瞬、見た物を受け入れられなかった。

 もう一度、自分の手を見て、手を握ったり開いたりしてみる。

 変わらず緑の手が、私の意志で動いている。

 何が出来る?

 身体も自由に動かない私に何ができる?

 不意に視界に何かが見えた。

 これはステータスウィンドウ?

 古いRPGのようなシンプルなステータスウィンドウだ。

 スキル欄を開くと『消化液』、『麻痺毒』、『誘引香』、『スキルイーター』という表示があった。

 とりあえず、毒という表示に惹かれ、『麻痺毒』を選択しようとする。

 しかし、意識するだけでスキルとやらが発動するようだ。

 背中あたりがムズムズするそこから、手のような物が出てきている感覚がある。

 少し重い。

 それは見る間に紫の花を咲かせ、果実に変わり、その果汁を弾けさせる。

「うわっ!何だ?」

 男は私を取り落とした。

「何かヒリヒリするぞ。」

 動きづらい身体を起こし、甘い香りの中、男に近づいていく。

 再び肩辺りから筒状の花が伸びていく。

 『消化液』を男の身体に垂らすと、呻いてのたうち回る。

 このままでは逃げられる。

 逃げられれば、仲間を呼ばれる。

 蔓を絡め、馬乗りになり手で口を覆う。

 その動きも次第に緩慢になり、数分かけて静かになった。

《レベルが3に上がりました。》

 頭の中に急に声が響き、驚いて身体を跳ねさせてしまった。

 すぐに逃げ出したかったが足が止まる。

 男が溶けた汁が気になる。

 食欲を唆られるのだ。

 いや、正確には食欲ではないのだろう。

 空腹からきているものではない。

 不思議な飢餓感から、本能なのだろうか、身体がというべきなのだろうか、それが欲しているのだ。

 人を殺したという恐怖とともに、この湧き出る飢餓感が更に自分を混乱させる。

 ああ、もう私は『人』ではないんだ。

 それを自覚した時、目の前が真っ暗になった。

 躊躇いながらも、私はそれに口をつけてしまった。

《スキル『剣術+1』、『短剣術』を取得しました。》

 再び頭の中で声が響く。

 それも気になったが、今は逃げることを考えなければ。

 まだ、男には仲間がいたはず。

 まだ足は上手く動かせず、走ることは難しい。

 さっき身体を洗われた小川に足を向ける。

 思ったよりも水量と流れがある。

 これなら大丈夫だ、

 流れて逃げるため川に入り込んだ。


 冷たいという感覚が他人事のように私の身体を責めたてる。

 どれほど流されただろう。

 小川が大きな川に流れ込む辺りで急に川幅が広がり浅くなり、川底に引っかかったのだ。

 今頃気付いたが、呼吸を必要とはしていないようだ。

 こんな緑の体になったのだ。

 不思議もない。

 何となく自分の姿を見てみたいと思ったが、この小川では流れもあり映らない。

 それに、体温が下るとともに、身体が休息を欲している。

 水辺から身を引き上げ、岸辺で休む。

 そのまま私は眠りに落ちた。


 私の新しい肉体は緑色でか細い。

 人間であった時より動きが鈍いのだ。

 これは一体どういうことなんだろうか?

 訓練をすれば、以前のように動けるのか?

 また、身体は人間に比べかなり小さいようで、男と比べれば、半分ぐらい、5・6歳ぐらいのサイズではないだろうか。

 そもそも、何を食べるのか?

 先程、男に感じた飢餓感は何だったのか?

 一体、私は何なのか?

 再びステータスウィンドウを開き、確認してみる。

 そもそも、このVRのように表示される、クラシカルなステータスウィンドウは一体何なんだろうか?


種族:アルラウネ

レベル3


 アルラウネとは、確か半身が植物の魔物ではなかっただろうか?

 何もない開けた川原では身も隠せないため、近くの林に入ることにする。

 身体が重いというより、筋力が足りていないのかも知れない。

 ゆっくりと、移動し、林の中に入るが、陽のあたる場所の方が居心地が良いため、林の縁に腰を降ろす。

 男を殺した時に使った花は、気が付けば無くなっていた。

 本能だろうか、何故か再び花を咲かせることができる気がする。

 日暮れとともに再び眠気に襲われる。

 以前の私ならこんな人気のない林の中で独りでいるなんて、怖くてできなかったと思うが、今は何故か平気だ。

 肉体が異なるために感じ方が変わってしまっただけなのだろうか?

 私は不本意ながら、睡眠そのものに恐怖しながら、肉体の求めに負けて再び眠りの地獄に引き摺り込まれた。


 朝日とともに目覚める。

 日が昇るにつれ、目覚めの時に感じていた空腹感が薄らいでいく。

 光合成をしているのだろうか?

 喉の渇きはそこまで感じないのは、根があるからだろうか?

 根は意識してみると、身体に戻ってくる。

 大きな画像川の方は水が濁っているが、流れてきた小川の方は澄んだ水であったため、飲んでみる。

 水は経口摂取も可能なようだ。

 果実類などはどれが食べれるのか分からないし、今のところ空腹感も無いため、食糧探しは必要ないだろう。

 便利な身体だ。

 水と光だけで生活できるなんて、仙人か何かみたいだ。

 陽気が眠りを誘う。

 しかし、生前と同じように睡眠に恐怖感が付き纏うが、最後はそれに負けて再び夢の中で責め苦にあうことになった。


 何かが身体に乗ったのを感じて目が覚めたのだ。

 くすぐったいのもあるが、爪を立てられるので少し痛い。

 だが、その痛みも変な場所からする。

 見ると私の身体からウツボカズラのような房が垂れていた。

 身体を動かすと、リスのようなその生き物は、ウツボカズラの房の中にぽちゃんと落ちた。

 キキーッという断末魔とともに、動かなくなってしまった。

《レベルが4に上がりました。》

 直接頭に声が響く。

 レベルが上がった?

 そう言えば、前にもこの声を聞いたことがある。

 私を襲った男の溶けたものを吸収した時だ。

 何かを殺してレベルが上がるなんて、まるでゲームだ。

 しかし、ゲームとは程遠いリアルを伴っている。

 まるで悪夢だ。

 寝ても覚めても私は悪夢からは開放されないらしい。

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『エンチャンター(戦闘は女の子頼みです)』 を隔日・交互に掲載しています。 こちらもよろしくお願いします。


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