婚約破棄されたので今までの鬱憤を晴らします!
ただ、主人公が愚痴を言うだけの話。
ではどうぞ!
「フィーネ!お前との婚約は破棄する!」
放課後、生徒会室で仕事をしていると久しぶりに生徒会に顔を出した会長であり、私の婚約者のこの国の第3王子アーサー様から婚約破棄を言い渡された。
アーサー様の後ろには同じくここ最近サボっている生徒会役員のメンバーとその主な原因である女子生徒がいた。
思わず私は静かに怒りをこめて普段なら絶対しないような冷たい視線を送った。
「・・・お久しぶりです。アーサー様。ええ、ほんとにお久しぶりでございますよ。いつ以来ですかね?少なくともここ半年は生徒会室に立ち寄らず、勝手に色々やらかした挙げ句に全ての後始末を私に丸投げ。ええ、もちろん婚約者ですから頑張っておりましたとも。ですが、久しぶりに生徒会に顔を出したかと思えば婚約破棄ですか?そうですか。」
「ふ、フィーネ?」
勢いよく飛び込んできたアーサー様は普段まったく怒ることも感情的にもならない私が静かに怒っていることに気づいてに戸惑ったような表情を浮かべた。
後ろの役員も困惑したような表情だった。
おそらく、私が婚約破棄で泣いてすがる姿がみたかったのでしょうね。
ええ、もちろん悲しいですよ。
ーー下らなすぎてーー
「婚約破棄されるというなら私はもう仕事はしなくていいんですよね?では、今季の予算の振り分けと各部の申請書類まとめ、各種イベントの打ち合わせと会場の予約、ああ、あとは各備品の消耗具合の確認と補充なんてのもありますね。今の優先は新入生歓迎の夜会ですね。こちらは会場の予約は済んでますので招待状の原案企画と当日の警備の確認がメインになります。ああ、あとは王宮の方でも私の仕事が山のようにありますからそちらもですね。私は何故か第3王子であるアーサー様の婚約者なのに王妃様や宰相様にやたらと仕事を渡されていますから・・・あら?みなさんお顔が真っ青ですがどうかしましたか?」
一気にやることを教えるとアーサー様と役員は顔色を悪くして黙ってしまった。
私は後ろにいた女子生徒・・・この婚約破棄の原因らしきその少女に視線を向けて言った。
「あなたが、ここ最近アーサー様にまとわりついていたのは知っています。それでアーサー様の心があなたにいったのも・・・まあ、他の役員の方々もそうなのでしょうね。それは別に構いません。私は別にこの婚約がなくなっても何にも後悔や損はありまけんから。むしろ仕事が減って助かります。おそらくあなたが私の次の婚約者になるのでしょうが、それなら私の仕事をすべて渡しますのでそれと共にアーサー様と婚約してください。ああ、あとは王族の嫁に相応しいように教育もあるかもしれませんね。少なくとも私は10年前に婚約してからそのうち半分の5年はその教育で全ての時間をとられましたので。大変でしたよ、ほんとに。起きてるときはもとより寝るときもお風呂のときも同性の見極めの方が側にいて片時も離れてくれませんでしたので。まあ、あなたがなるなら大変でしょうが頑張って下さい。」
「えっ・・・あ、あの・・・わた、わたしは・・・」
「えっと・・・ふ、フィーネ?」
「殿下。もはや婚約者ではないので名前で呼ばないでくれますか?私とあなたは元婚約者ですので。それと、もし仕事を手伝えと言われても私はやりませんから。これだけは譲りません。この際だから言いますが生徒会ではない殿下の婚約者なだけの私が全ての業務を一人で回すのがどれだけ大変だったかわかりますか?ええ、分からないでしょう。別に労いや同情が欲しくて言ってるわけではありませんが、皆さんどうもそれが当たり前という態度が私は気に入りませんでした。しかも殿下ばかりか側近の方々もそんなお気持ちなのには呆れてしまいましたよ。私とあなたがたはそもそも殿下の婚約者という以外には接点などまったくない赤の他人だというのに。殿下も殿下ですよ。もう少ししっかりとなさらないと部下になめられますよ。ていうか、さっきから皆さん何をそんなに呆けた顔をしているのですか?もしかして私がこんなことを言うとは思っていなかったと?今まで散々やらかしておいて?それこそお笑いですね。私は確かに今まで抑えていましたが、もはや我慢の限界です。殿下のことなど好きでもなんでもないのに婚約させられて、挙げ句の果てに浮気されて仕事も丸投げ・・・これに不満がなかっと本気で思っているのですか?殿下なんか、こちらが歩み寄ろうとしたときになんて言ったか覚えてますか?『貴様となど仲良くできるか』ですよ。しかも、殿下のために着飾ってきた私に言ったこと覚えてますか?『ふん!胸だけは褒めてやる』ですよ。信じられませんよ!」
「あ、いや、その・・・」
「ほんとにあのときほど殿下を殴りたいと思ったことはありませんでしたよ。それと、そこのあなた!殿下を籠絡したあなたですよ。別に殿下とイチャコラするのは構いませんがこちらに仕事を押し付けるようなまねをさせないでください!ただでさえ一杯一杯なのに余計な負担でここ最近睡眠時間も減ってお肌の艶も落ちているんですよ。わかりますか?それなのに、あなたと殿下は校内で問題ばかり起こして・・・だいたい、殿方を複数囲うなど淑女としてありえません。それに、やるならもっとうまくやりなさい。なんで婚約者のいる殿方ばかり籠絡するのですか?略奪がお好きなのは分かりましたから、よそでやってください。私、ここ最近、浮気されている婚約者の方々のフォローもしていてほんとに頭にきているのです。別にあなたがこれから殿下とどうなろうとも勝手ですが、周りの迷惑は考えてください。それと、周りの側近の方々も婚約者がいながら何故他の女性ばかりみるのです。政略結婚なのだから最初は互いに距離があるのは仕方ないでしょうに。あなた方が貴族として生きるならもっとしっかりと政略結婚の意味を考えて婚約者に向き合いなさい!それが嫌なら貴族などやめなさい。いつまでもフラフラ遊んでいられるほど世の中甘くありませんわよ?だいたい、あなた方の婚約者はみんな可愛いし性格もいいじゃありませんか。何が不満なのですか?あれだけ一途に慕ってる方々を放っておいて、他の女にうつつをぬかすなど恥を知りなさい。その女子生徒が好きなら家の問題を片付けてからしっかりと相手をしなさい。婚約者をキープのように放置するなんて最低ですよ。まあ、殿下は一応婚約破棄にきましたが遅すぎますよ!殿下もご自身の立場を考えてから行動してください。いいですね?」
一気に言い切ると辺りは静まりかえった。
少し言い過ぎたかしら?
まあ、でも私も頭にきていたのですよ色々と。
室内の面々の顔をみるとみんなどこか気落ちしたような表情をしていた。
とりあえず、用事は済んだのかな?
「婚約破棄了承しました。私は報告に実家に帰りますのであとの業務と陛下へのご連絡はお願いします。それでは。」
そう言って私はさっさと部屋から出ていった。
後ろから王子や他の面々に引き留められたような気はするけど・・・無視しました。
後日、結局婚約破棄はできたのに、私はアーサー殿下の弟で私より2才年下の第5王子のジンジャー殿下と婚約することになってしまった。
お父様も粘ったけど、これが限界だった。
私が働かないとほとんどの業務が停止するので仕方ない。
アーサー殿下については、婚約破棄の責任で本来なら1ヶ月は王宮で軟禁という刑罰の予定が私が生徒会を抜けたことにより今は必死で側近たちと働いている。
時々、私に助けを求めてこようとするがそれはもちろんお断りしている。
あと、あの殿下を籠絡した女子生徒は姿を消したらしい。
詳しくは分からないけど他国の間諜だったみたいだ。
さて、私は結局今も王族の仕事を手伝ってはいるが、唯一前とは違うことがある。
それは、新しい婚約者のジンジャー様が一緒に仕事をしてくれることだ。
ジンジャー様はアーサー殿下と違い側で仕事を手伝ってくれるのでほんとに助かるし、私のことを慕ってくれているので私もいつの間にか好意を抱いてしまいました。
おまけに、顔も可愛いので、私好みです。
お読みいただきありがとうございます。
当初は「婚約破棄の代償」というタイトルで内容的には婚約破棄して主人公の裏での活躍を他の人たちが思いしるというざまぁな構想だったのに、何故かこうなってしまいました(笑)
ではではm(__)m