第二話 魔道具(家電) ※イラスト追加
その後、オフィーリアにメイド服を着せられ、家の中を案内された。
家は二階建てで二階にはオフィーリアの私室(俺が目覚めたのがここ)と書斎と空き部屋が一つと物置が二部屋、一階にダイニングとキッチンと浴室とトイレと空き部屋が三つ。外には広い庭もある。
豪邸じゃねぇか。
あ、一階の空き部屋の一つが俺の部屋なんですか、ありがとうございます。
時間が昼前だったので、キッチンでそのまま昼食を作る事になった。
包丁や鍋なんか調理器具は元の世界と同じだ。
「それでこの冷蔵庫に入れて冷やせば多少は鮮度を保ってくれるわ。それより長く保存したい場合はこっちの冷凍庫に入れてね」
冷蔵庫と冷凍庫あるの!?
「火はこのコンロのスイッチを入れれば火力を段階的に調節できるから」
コンロまで!?
「あの、ご主人様、この道具は」
「これ? 私が作ったものよ」
ご主人様、貴女、異世界人じゃないですか?
何か地雷踏むかもしれないから訊かないけど。
「じゃあ私が作るから、補佐をお願いね」
「はい」
俺は言われるとおりに材料を切ったり調味料を用意したりしていく。前世では一応自炊していたお陰で躓く事無く出来た。
オフィーリアはかなり料理上手らしく、あっという間に何かの肉の炒め物とサラダとスープを作ってしまった。
女性一人分にしては少し多くない?
「さぁ、食べましょう」
なんとオフィーリアは俺の分も作ってくれていたらしい。
二人でダイニングに運び席に着く。
「普通の魔導人形に食事は不要なのだけど、貴女は人間と同様に食事からもエネルギーを得られるようにしてあるわ」
「何故そのようにしたのですか?」
今の言い方だとわざわざ食事を出来るようにしたように聞こえる。効率を考えるなら、しなくていい事を出来るようにする必要は無いはずだ。
「だってその方が面白いじゃない」
オフィーリアはまるでイタズラが成功した子供のように無邪気に笑った。
俺は彼女のその笑みの意味がわからず、一瞬呆けてしまった。
「さ、冷めないうちに食べましょう」
「あ、はい。いただきます」
何かの肉をフォークで口に運んで、その味に驚いた。
食感は鶏肉に近いが、牛肉に似た甘みがあるのだ。
「美味しい」
「それは良かった。いずれ貴女に任せるから、早く慣れてくれると助かるわ」
「はい」
美味い料理に釣られるのも現金だなと思いつつ、俺は他の料理も咀嚼しながらその味を堪能した。
食べたものがこの体のどこに入っているのかなんてどうでもいい事だ。
午後からは家の外を案内して貰った。
外に出ると足元に生い茂る緑の絨毯と、遠くを囲む鬱蒼とした壁が見えた。
この家は森の中の開けた場所に建っているらしい。
「家を中心に塀があって、それを境に結界が張ってあるわ。だから魔物が入ってくる心配は無いから安心してね」
言われて目を凝らせば遠くに赤レンガの塀が見える。ここ全部家の敷地かぁ。学校のグラウンドくらいあるぞ。
いや、ちょっと待って、魔物がいる森なの?
「庭には色々な薬草が生えているわ。危険なものは無いけど、私が言う薬草を探してもらうし、冒険者として外に出たときのためにも覚えて頂戴ね」
単純に薬草と言っても幾つも種類がある。体力回復用や魔力回復用、解毒用。それらを覚えておかないと、いざと言うとき困るだろうな。
それから家の裏に回ると、そこは他と違って地面むき出しの更地になっていた。片隅にはなにやら灰色の石盤が立っている。
「ここは魔法の練習場よ。まずこの魔道具を使って」
オフィーリアが石盤に手を翳すと、俺達からだいたい二十メートルくらい先に土の柱が出来上がった。
「こうやって的を作るわ。そしたら後は撃つだけ」
そう言うと同時に真っ赤な火の玉が飛翔し、土塊の的に穴を開けた。もう一度石盤に手を翳すと、的は自ら崩れて大地に還った。
「そのうち魔法や武器の使い方を教えるわ。空いた時間は自由に使っていいから、これも早く上達してくれるのを期待してるわね」
「はい」
おお、魔法とか教えてくれるのか。
魔法はファンタジーの醍醐味だもんな!
今の俺自身がファンタジーの塊なのはさておき、これは異世界生活も楽しくなってきそうだぜ!




