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『オレの生徒はお嬢様!?』  作者: 宇都宮かずし
第二部 オレの生徒は男性恐怖症!?
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第十七局 追跡 一本場『モテ期は突然やってくる』

挿絵(By みてみん)



「先生達が移動するようですわ。わたし達も行きましょう」


 駅の構内から、隠れて広場の様子を伺っていたわたし達。

 北原さんを取り囲んでいた恐ろしそうな女性達を、あっという間に懐柔してしまうとは、さすが南先生だ――


 そんな事を思い、感心しながら眺めていた先生達の姿。

 その先生が駅とは反対側の階段に進むのを確認して、わたしは後ろにいるはずの真琴さんへ声をかけた。


 しかし……


「ちょっ、コラッ! 寄るな触るな、放せガキどもっ! って!? いま胸触ったのは誰だぁーっ!? ガキのくせに、いい指技(テク)してるじゃねぇかっ!」


「ねえねえ、スケボーは? スケボーはどうしたの?」

「サッカーボール! サッカーボール出して!」

「オレ、おっちゃんの声聞きたい。おっちゃんのこ~え~」


 わたしの呼び掛けに、返事のなかった真琴さん。不審に思ったわたしが背後へ振り返ると、そこには小学生の男の子達に纏わり付かれる真琴さんの姿……


 まったく……何をしていますの、この子は?


「だぁーっ! ガキはおとなしく家帰って、ウルト○マン・タイガでも観てろっ!」


「もう観て来たー!」

「てゆうか、オマエこそ家に帰れっ、死神っ!」

「そうだそうだっ! オマエが出歩くから、殺人事件が起こるんだぞぉ」

「オマエは一歩も外に出ないで、家でネットでもやってろっ! それが街の平和のためだっ、死神っ!」


「ぐぬぬぬぬぅ……」


 小学生達の言葉に、頬を引きつらせて顔を紅潮させる真琴さん。


 そして……


「もう怒ったっ! 全員、麻酔針で眠らせてくれるわーっ!!」


「わ~っ! 逃げろ~」

「死神が怒った~」

「大きくんなっても、頭脳は子供だ~」

「アハハハハハハ~」


 真琴さんが左手の腕時計を突き出すと、蜘蛛の子を散らす様に逃げ出す子供達。


「むぁてぇぇー、ガキどもぉーっ! (たま)取ったらぁ~っ!」


 逃げる小学生を、大人気(おとなげ)もなく本気で追い回す真琴さん。

 そして、集まっていた子供達を追い払うと、ドヤ顔で戻って来る。


「ふっ、恐れ入ったか、ガキども。94年から二十年以上も小学一年生をやっている、死神少年を舐めるなよ」

「何をやってるのですか、あなたは……?」


 小学生相手に勝ち誇る真琴さんに、わたしはため息をついた。


 しかし……


「あら、響華さまだって、人の事は言えませんですわよ」


 そう言って、わたしに意味深な視線を向けて来る真琴さん。

 いや、わたしにと言うより、わたしの足元へ。


 わたしはその視線の先を追うように、下を向い――


「なっ…………?」


 その、あまりの光景に、わたしは一瞬言葉を失った。


「キッドさま、綺麗ぇ」

「素敵ですぅ~、キッドさま~」

「あぁ~、キッドさまぁぁ~」


 そう、いつの間やら、わたし足元には小学生の女の子達が群がっていたのだ。


「えっ? いや、ちょっとまっ……」


 女の子達に四方を囲まれ、身動きの取れないわたし。さすがにこんな小さな子達を強引に引き離す訳にもいかず……


「キッドさまぁ、高い高いしてぇ~」

「あたし、抱っこ! 抱っこして欲しい~」

「とゆうか、抱いて下さい、キッドさま」


 ちょっ、ホントどうすればいいの、これっ!?


「くくく……さすがラファール1の才色兼備と(うた)われる響華さま。男装の麗人姿に、小学生女子もメロメロですねぇ」


 そんな小学生の女の子達にもみくちゃにされるわたしを見て、声を殺して笑っている真琴さん。


 とゆうか……


「笑ってないで助けなさぁーいっ!!」

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