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大丈夫。世界は、僕たちの味方だから。

中学生がまた、自殺した。


「自殺します」と、スマホの履歴に一言だけ残して、電車に飛び込んだそうである。


都会では自殺する若者が増えている。


ヨウスイがそう歌った頃から、何も変わらずに誰かの涙を隠す様に、雨が降っている。雨に濡れながら泣いていても、誰もその涙に気付いてやれずに、また1人、孤独の中に消えていく。


僕たちに何が出来るのだろう。何が出来たのだろう。


生きる事が素晴らしいとか、努力すれば報われるとか、必ず、いい事があるとか、無責任には言えない。


努力が空回りして、墓穴を掘る事もある。集団に上手く、溶け込めず、その存在を誰かに否定されて、生きるとに自信を持てなくなる事もある。また、願望が何1つ叶わずに、世界の全てが敵に思える事もある。


そんな痛みがほぼ、人生の全てだ。


僕も、かれこれ30年と少し生きて来た中でダラダラと、墓穴を掘り、損が8割の毎日を生きて来た。だけれど、不思議な事に今、こうして生きている。


何故だろう。


多分、世界が味方だと、信じたからかも知れない。


何気ない毎日の中で、今日は、陽が暖かいとか、風が心地よいとか、雨音が優しいとか、空が綺麗だとか、月や星が綺麗だとか、一円玉を拾ったから、一円儲けたとか、牛丼のタマネギが汁を吸ってトロトロで甘くてだとか、バスで、可愛い女の子と隣同士になったとか、まあ、そんなささいな事で、小さな幸せを感じて、「ああ、世界は、案外僕の味方でいてくれる」と感謝のつぶやきをこぼして、いられたからかも知れない。


だから、小さな事でいい。何でもない事でいいから、嬉しい事を1つ、また1つ見つけてごらんよ。そうすれば、世界はいつでも僕たちの味方だから。


昔、好きな娘と学校帰りの駅のホームでばったりと会った時、彼女が僕に微笑んだ。


それは、僕に対する好意では無くて、親しい友人を見つけた時に誰もがするさり気ない笑みだった。


僕はそんな事解っていたけれど、その、さり気ない彼女の笑みに幸せを感じた。


何と無く、自分の存在を認めてくれる存在の1つに会った気がしたから。


嬉しい事を1つ見つける事。


それは、あの時の淡い初恋に似ている。

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