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生と死の価値観

自殺が、過労による労災と認められた。


電通のあの事件の結果に、不謹慎だか、僕は、こう思った。


「いい時代になったな」


今から言う僕の発言は、今現在では、非人道的と叩かれるのだろが、まあ、ここは、駄文の中であるから、堪えていただきたい。また、僕自身今から言う発言が、誰も救う事はなく、むしろ、叩かれ焼かれて、消え去るべきだと考えている。


自殺を会社が労災と認める。それは、まあ、ある意味美談である。そもそも、企業とは、営業利益を上げるのと同等に、従業員の心と身体の健康と、豊かな生活を守る義務がる。けれども、力及ばす、この様な結果になったと言う失態をこの電通と言う会社は、しっかりと認めたのだから。僕ら世論は、これから、この会社が、労働形態や、個人スキルの評価の見直しをはかり、新たな社内空気の創造を作る事を期待するだけである。


だが、こんな意見も世論にはあり、僕自身感じる事がある。


それは、自殺した方の甘えである。


辛いのは、みんな一緒だ。それに、自ら命を絶って消えるのは、当人の命だけではなく、その人がそこにいて生きていると言う当たり前の日常を壊してしまう事になるのだ。つまり、自殺もりっぱな殺人であると、僕は言いたい。


だから、人によっては、自分の身内が自殺したら、企業に対しこんな台詞を言う人も出てくるだろうと思う。


「この度は、家の娘、ないし、息子が、馬鹿なことをし、皆さんに多大なる迷惑をお掛けしました。家の娘、ないし、息子の自殺で、弊社の皆様には、大変な精神的動揺や、混乱を与えてしまったのではないかと思います。本当に申し訳ございませんでした。皆様のご活躍を心より応援いたします」


本当に、間逆である。多分、ひと昔前では、コレが当たり前だったのではと思う。だから、やはり、この様な案件には、世論の意見は世代ごとに別れるのかもしれない。


自殺は、自己責任。ないし、自己満足。そんな風潮が、確かに存在し、今も細く、そして強くこの世界に絡み付いている。


精神的な、強弱による弱肉強食の競争社会が僕らに無意識な、そんな思想を作らせたのかも知れない。


強くあるか、また、弱くとも、しがみつき、ひっそりと、息を潜めて、耐え忍んで生きるのか。そのどちらにもなれずに、堕ちていく者たちを僕らは、負け犬と呼んでいた。電通の彼女も、僕らはに言わせれば、負け犬だ。


だが、そんな彼らの声を聞けなかった僕らは、人間だろうか?彼らが負け犬ならば、僕らは、僕らの何かを守る為に手段を選ばずに生きているケモノではなかろうか?自らが生きるのに必死で、無意識に、誰かを蔑んではいないだろうか?


辛さを乗り越える度に人は強くなると言うが、それは本当だろうか?


辛さに慣れて、感覚が麻痺しているだけではなかろうか?


痛みが解らないと、他人のキズの深さに気づかないと、昔、どこかの詩人が言っていた気がする。


痛みを知る者は優しいが、痛みに慣れた者は彼以外の誰かの苦しみが、かつての自分の苦しみに似ている事すら忘れてしまう。


電通の彼女の死に、それは甘えと叫んだ、どこかの会社の幹部がいたが、彼もまた、痛みに慣れて、苦しみを忘れてしまった、哀れなケモノだったのかも知れない。


僕たちは、これから来る未来に、こんな思想の種を蒔くべきだとおもう。それは。


痛みに慣れるな。弱き事を恐れるな。そして、苦しみを忘れるな。

誰かのキズを見て、自らの痛みにを思い出す心を。弱さを恥じぬ勇気を。そして、苦しみを伝える声をもて。


ダメ人間の僕が言いたいのは、強くあれば、幸福を手に出来る、力格差の社会は、もう直ぐ終わると、言う事であり、そうでなければならないと言う事である。


あと、10年か、20年か先かも知れないが、やがてそんな時代が、やって来る。


僕らはその糸を手繰り寄せ続ける。

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