漫画の様に、穏やかに。
『浦安鉄筋家族』って漫画がある。
僕はこの漫画が大好きだ。何だか暖かい。
初めは、ゲロやう◯こやらがやたらと出てきたり、可笑しな人が酷い目に会うと言うビジュアル的に面白い漫画であり、今も、その流れを組んでいるが、人の動きや、感情の流れから出る笑い。つまり、ストーリーコメディの要素が増えて来た様におもう。
例えば、小鉄が即興で1人遊びを開発すれば、仲間がそれに便乗して、1人遊びは、いつしか、壮大なゲームに変わっていく。その過程を見る度に、「ああ、子供の頃の遊びは、こんな風に、自由で手作りだったな」と、何となしに、懐かしくなる。
また、親父の大鉄が魅力てきだ。
出来るなら、こんな大人になりたいと思ってしまう。
はっきり言って、この大鉄と言う人は最低だ。
仕事は、適当。家でも適当。そんでもって、異常に不器用。さらに、ヘビースモーカーで、タバコ好きの仕事仲間と毎日、ファミレスで仕事をサボる。そして、奥さんに負けるほど、ケンカが弱い。
そんな、人なのに、しっかり者の奥さんがいて、ニートだけど、映画やドラマに詳しい博識の長男と、奥さん似のこれまたしっかり者で、可愛い長女がいて、やたら元気な次男(小鉄)がいて、幼稚園児の可愛い三男がいて、元気な爺さんもいる。
そんな、幸せに溢れた家庭を持っている。
実に羨ましい。
適当で、いい加減だか、故意に誰かを貶めようとしない人柄か、まあ、あるいは我が道を行く自由人な生き方に魅力が、あるのかも知れないが、何でこんな男が、これ程までに、幸せなのかと、つくづく思う。
こんな風に生きてみたい。
だが、現実は、そうも行かない。
適当を貫き、いい加減に行こうとしても、どこか、人の目や、かげ口が気になり、負い目をかんじてしまうし、そこから、自己嫌悪におちいる事もある。最悪、自殺すら、頭をよぎる事もある。
適当でいい加減も、あんがいエネルギーがいるのだと、つくづく思う。
世の中も、そんな、ダメ人間に冷たい。いい加減な人間は、悪と見なし、排除する風潮がある。みんなが背筋を伸ばし、足並みを揃え、上を向く。
格好は、いいが、つかれてしまう。
漫画の中は、それに比べて、もっと、穏やかだ。
ダメ人間もその意思が、現実離れして強いが、その周りの人々も、優しく、彼を受け入れる。一緒に遊んだり、笑ったり、彼がピンチの時は、助けてくれたり。
まるで、「あなたが、そこにいるだけでいい」と言うように。
ああ、この世界もそんな風に、穏やかならいいのに。
いつか、こんな漫画に触れた子供たちが、そんな世界を創造する日が来ることを、願う。




