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占い師 (3)

店を出ると周りの人達に奇異の目で見られたオレは、少し遠回りをしてギルドに向かうと


「大変だぁーー!!特級クエストがまた出たぞ!」


「何だって!!今度はどこだ!?」


「どんなクエストなんだ!?」


ギルド内はこんな感じになっていた。


「あ!ユウキ、大変ですよ!特級クエストがまた出たらしいですよ!」


アイリスがオレの下にやってくる


「へぇー、何でわかったんだ?」


オレが尋ねるとアイリスは


「ローズさんがまた予知をしたらしいですよ!」


と言ってきた。


なるほど


「アイリス、それはデマだ。オレを信じるんだ」


その予知はオレの目の前で起こったため、オレは全然信じられなかった


だって完全にアレいかがわしい行為にしか見えなかったもん


「な、何言ってるんですか!ローズさんの占いは本物ですよ!」


アイリスはオレの言葉を信じてくれない


「くそ!みんな、あのど変態占い師に騙されてんだ!」


「ど変態とは心外だな」


「え?」


振り返るとそこには


「「「ローズさん!!?」」」


ローズさんがいた


「ど、どうしてこんなところに!?」


「あのローズさんが外に出てるぞ!」


「どうなってやがる!?」


冒険者達は、ローズさんの姿を見て、驚いていた


ローズさんは基本家から出ないのか?


「うん、先ほど特級クエストを予知してな。君、えっと…クリハラユウキ君だったかな?ちょっと顔を貸してくれないか?」


ローズさんはオレに頭を下げるように言ってくる


「な、何ですか?さっき水晶を投げつけた仕返しで…ングッ!?」


オレが渋々頭を下げると、ローズさんが突然キスをしてきた!


「な、なにしてんだ!?」


「ローズさんは性的興奮をすると未来が視えるらしいぜ!」


「な、何だって!?う、うらやましい!」


丁寧な解説ありがとうモブ共


「ぷはっ!…やっぱり君との身体の相性は良いな。良く視えるよ。君さえ良ければ、私と身体だけの関係にならないか?」


ローズさんはオレから離れると、突然そんな事を言ってくる


身体だけの関係だって!?もちろんそんなの


「もちろんそんなの大賛成ぃぃぃいでででででで!!!」


振り返ると、アイリスが笑顔で背中をつねってきてた


「ユウキ、あまり調子に乗ってると酷い目にあいますよ?」


調子乗ってすみませんでした。


「ふむ、冗談はこれくらいにして…」


ローズさんはみんなを見渡しながら言う


っていうか冗談だったんだ


「今、全ての予知が視えたよ。特級クエストの出現場所はここから西にある『魔法国アルカディア』の近くにあるよ。」


な、なんだその、『強者つわもの魔法使い』の国みたいな所は


「ローズさん、内容は何ですか?ダンジョンですか?」


1人の男がローズさんに尋ねる


「うん、特殊ダンジョンだね。あるのは多分、『ラースオブ憤怒ゴット』」


ローズさんの言葉にみんなが固まる


オレはアイリスにボソッと尋ねる


「なぁそのラースオブゴットって何?」


「し、知らないんですか?」


オレが聞くとアイリスは信じられない者を見るような目で見てくる


悪かったな、異世界の常識なんて知らないんだよ


「で、何なの?」


オレはアイリスに尋ねると


「ラースオブゴットって言うのは、通称、『神の憤怒』と言われ、『神の感情』シリーズの1つなんですよ」


「で?」


まぁ名前からしてそんぐらいはわかる


「『神の感情』っていうのは、文字どおり神様の感情を切り離して作られた物で、それを手に入れれば神の1部を手に入れたのと同じと言っても過言ではないって事です。」


ん?ちょっと待てよ。今のセリフを整理すると


「まるで神様がこの世にいるみたいな発言だな」


オレがそんな事を言うと、またもやアイリスは信じられない者を見るような目で見てくる


「え?え?何々?オレなんか変な事言った?」


「ユ、ユウキ、もしかして神様を信じてない…とかないですよね?」


なるほど、そういう事か


「あぁ、もちろん信じてるぜ!」


この世界では神様は存在する者として、信じられてるんだな


「で、それがどうしてこんなみんな驚いてんだ?」


神様の力が手に入るなら行けば良いじゃないか?


「確かに、『神の感情』シリーズは所有者を選びません。つまりどういう事かというと」


「誰でも手に入れられるって事?」


「そういう事です。『聖剣』みたいに、この人以外ダメというルールはありません。特殊ダンジョンをクリアすれば、1人だけですが誰でも手に入ります」


ならますます分からない。なぜみんなは挑戦しないのだろう?


誰でも手に入るのなら、今すぐにでも『アルカディア』へ行っても良いはずなのに


オレの疑問に答えるようにアイリスは


「ですが、『神の感情』シリーズは超難関クエストって決まっていて、クリアどころか生きて帰ってくるのすら難しいと言われてるダンジョンなんです。」


なるほどな。そりゃ挑戦しないわ


みんなはしばらくすると、今の話が無かったかのように飲み始めたり、別の事しだす


どうやらウチのギルドからは誰1人挑戦しないらしい


つまりーー超穴場なダンジョンって事じゃないか!




「特級クエストに行こうと思う」


オレは昼食を食べているアイリス達に宣言した


「あぁ、さっき聞いたよ。何でも『神の感情』らしいね?でもアレ、クリアするの超難しいんでしょ?」


ララも『神の感情』については知っていたようだ。


「お姉さんは反対ね。あそこに行くのは死にに行くようなもの。って昔から言われてるもの」


うっ!リリスの意見を聞いたら、なんだか行きたくなくなってくる


「私も反対ですマスター!マスターを死なせるような場所には連れて行きたくありません!」


ディーバにしては珍しく、オレに反対してくる


どうやらみんなは、『神の感情』がいかに高難易度のクエストか知っているようだ


「アイリスはもちろん?」


「反対です。当たり前じゃないですか。」


ですよねー


さて、どうするか。このままだとオレの意見は却下になりそうだ


だからと言って、ここからアイリス達を説得するのは無理そうだし……


「……仕方ない。諦めるか…」


オレはボソッと呟いた


「それが賢明です。ユウキが強くなりたい気持ちはわかりますが、今回のクエストは危険すぎます。1000万の借金だってあるんですし、もっと安全なクエストをやっていきましょう」


アイリスはオレを諭すように言ってくる


ララ達も、オレが珍しく駄々をこねなかった事に安心し、ホッと息を吐く




そして、みんなが寝静まった頃


オレは荷物を持って部屋を出て、忍び足で屋敷を出て行く


馬車乗り場に行くと、オレが予約しておいた馬車が停まっていた


「あ、すみません遅くなって!」


オレが運転手に一言謝ると


「いえいえ、コレも仕事ですから」


運転手は優しく微笑んでくる


まぁ男の微笑みなんて、何も得した気分にならんがな


「お客さん、本当にアルカディアに1人で行くんですか?アルカディアってアレですよね?今、噂になってる……」


「はい、その特級クエストに行こうかなって思ってます。」


オレがそう言うと運転手は驚きの声を上げる


「ひ、1人でなんて……すごいですね。よほど腕に自信があるんですね。」


うーん、腕に自信は無いが、回避力なら割と自信があるからな


正直、回避力だけで特殊ダンジョンをクリアできると思ってる


戦わず、ただひたすら逃げに徹する


これで案外なんとかなるんじゃないか?


「じゃあお客さん、出発しますね!」


運転手はそう言うと、ムチを叩き夜の街を1台の馬車が進んでいく


こうして、オレの特級クエストへの一人旅が始まった



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