春
あまったるい空気です
きびしい顔に疲れた木が
小さく桃色の花をくっつけています
黒ずんだ塊がわずかな白を残して
路上のあちこちに残っています
流行をすぎたものの、なれの果てのようです
雲は訝しく
まだまだきびしいぞ、という顔をして
だだっぴろく広がっています
あまったるい風に
まんまと押し流されて
ニヤニヤと散っていきました
日はだきしめてやろうと
シツコク迫ってきました
陰に隠れても
あまったるい風が撫でにきます
逃れようがありません
あまったるい風は
不愉快なものを連れてきました
人の弱いところをしつこくいじめて
あげくに泣かせて、それでもいじめて
マスクにめがね
私はにげます
春、から