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第九の噂。
おわらないせかい。編
開始です!
ーー夢を、見ていた。
少女が男性に、殴られている。
そんな夢。
「ーーーーーーーー」
男性は終始、怒鳴っていて。
少女はなにも、言わない。
ただ、その少女の瞳が
助けて、と。
痛いよ、と。
叫んでいた。
細い体を蹴り上げる、男性の足。
少女は床に伏したまま
掠れた声で。
「ごめんなさい」
とだけ呟いて。
そして。
目が覚めたとき
少女や男性の顔は思い出せなかった。
唯一憶えていたのは
どこか見慣れた
『緋』と『白』。
「……最悪」
朝からこんな、重い夢を見るとは。
夢は深層心理を写すらしいけれど
俺の深層心理はDVなのか?
言い様のない倦怠感が湧き上がってくる。
心なしか頭も痛い。
もう自主休講という最終手段をとってしまいたいが、原因はたかが夢。
渋々、俺は登校準備を始めることにした。