第二の噂
ーー俺は、いつまで逃げ続ければいいのか。
壁伝いに座り込み、大きなため息をこぼした。
その瞬間。
上空で、黄色いケースが舞う。
「は、?」
辺り一面に、割れたビール瓶の欠片が降り注いだ。
「う、っそだろ……!?」
慌てて立ち上がり、さらに奥へと進む。
気付けば、足音がすぐ近くまで迫っていた。
様子を確かめておきたいが
振り返る余裕もない。
俺は、ひたすら走り続けた。
しばらく鬼ゴッコが続いた後
我慢の限界がきたのか、超能力者は
素早く立ち止まり
どおん
強く、強く地面を蹴った。
勢いよく突っ込んでくる、追跡者。
その行為が、いわゆる『突進』なのだと
気付いたときにはもう遅い。
「な……!?」
避けられないと判断し
追突を覚悟した。
刹那。
「お待たせしました」
抑揚のない声とともに、白い髪が風を切る。
「が、あ……あああああああああ!」
吠える超能力者の前に、立ちふさがる小さな体。
『彼女』は静かに片手を上げ
襲いかかる巨体へと振り下ろした。
なんの変哲もない、手刀での一撃。
たった、それだけだというのにーーーー
超能力者は、地に沈んだ。
起き上がる気配も、感じない。
だが
当の彼女、千草 白夜は
いつも通りの無表情で言う。
「能力、『狼男』はいただきました。帰りましょう、先輩」
ぐしゃりと超能力者を踏みつけていたのは
見なかったことにしよう。
Q、主人公、弱くね?
A、弱いですね。