さようならの儀式。
サブタイトルこの話から変えましたー。
『○○の噂』ってちょっと安直な気がしたので(笑)
「つーかお前、いつまでついて来る気だよ……」
「んー、内緒です」
喧騒が遠くに聞こえる郊外まで来たのに
白夜はまだ帰ろうとしない。
それどころか妙に楽しげで
……調子狂うな。
「先輩の家こっちの方だったんですね。
覚えておきます」
「なんでだよ。……まぁ、いいけど」
いつもの無表情が嘘のように、白夜がクスクスと笑う。
どこか、無理矢理な笑顔。
「……お前、なんかあったのか?」
「、どうして、です?」
「なんとなく」
「……何もないですよ。
それより先輩、好きな人とか居ないんですか?」
「はぁ!?」
体良くあしらわれたことに
何かあったのはすぐに察する。
だが、『言いたくないのなら』と。
あまり深くは問わなかった。
「先輩鈍いですからねー。恋とか縁なさそうですけど」
「さりげに失礼だな」
「……冗談ですよっ」
白夜は、目一杯笑って言った。
まるで、卒業式の集合写真のような
寂しさを押し殺した笑みで。
そして、その翌日。
白夜は行方不明になった。
あの笑顔は
白夜なりの、別れの儀式だったんだと
……今更、気付いた。




