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扉を開けろ!!扉を開けろ!!
裏返るほどの叫び声。興奮した貴女達の目は赤く血走っていた。
扉を開けろ!!扉を開けろ!!
その時一気に埃が舞った。
扉が開いた。
部屋には誰も居なかった。アンナも。彼女の執事も。ただひとつ、白いカーテンが生暖かい微風で揺れていた。
部屋は荒れていた。破かれた書物が床に飛び散り、ベッドのシーツが滅茶苦茶に揉まれていた。
ローズはそれらを一瞥すると背を向けた。
「帰りますわよ、つまらない」声の調子は落ち着いていた。落胆で肩が下がっていた。彼女が何を見たかったのか、ミナとラミアには容易に想像できた。憎悪と恐怖が電流となって脊椎を流れた。
くちばしに腐肉を掴んだ一羽の烏が回廊の絵画の上に降り立った。