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「嬢様!嬢様!!」
耳元でつんざく男の叫び声でミナは跳ねるように目覚めた。と同時に今まで襲っていた暑苦しさが吹っ飛んだ。気付けば息が上がっていた。頬から汗が垂れて来るのが見えた。
「……大丈夫ですか、お嬢様…相当にうなされてましたが」ミナの老執事、ハインクが独眼鏡を外した。
あぁ、そうか。ミナは悟った。
私は悪夢を見ていたんだ……
ハインクから一杯のミルクティーを出された。飲んだ。
「いつもありがとう、ハインク」
「感謝の極みで御座います」
悪夢を回想した。
墓で血塗れの姉が手を降っていた……そして、その姉が溶け崩れていく……
ミナは姉が死んでしまってから今日の今まで一睡もしていなかった。目の下に濃いくまが出来ていた。