17/19
17
この直後、ミナは生涯初めて狂い叫んだ。気道が潰れるくらいに叫んだ。
そして、走った。走り逃げた。
王様に助けを求めるためだ。
走った。走った。転んだ。すかさず立ってまた走る。息が切れてきた。だが走る。後ろを振り返ってみる。アンナが追いかけてきているのが見えた。追いつかれぬよう全力で走る。肺が疲労に握られる。痛い、痛い。それでも走る。後人生、走れなくなってもいい。とにかく走る。走る。限界を悟る。だがまだ走る。頭が痛い。痛い、痛い。走る、走る、走る。肩を掴まれた。払い除けて走る。レイピアが背中を貫いた。走る。短剣が背中を斬り裂いた。走る。走る。
ようやく、王室に辿り着いた。扉を開け、アンナが入ってこられぬよう、閉めた。
「王様!!」ミナは叫んだ。
王様は死んでいた。玉座の上で、レイピアを心臓に突き刺されたまま死んでいた。