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テーマソング
Dark Lunacy 「Lunacycus」
突然だった。
女王が崩御した。
今朝、寝室で血を吐いて倒れたという。
それを聞いたミナは涙を流した。
あの優しかった女王様が亡くなられたのだ。
城の者は皆、悲しみに暮れた。
二十余歳の若き王も例外では無かった。玉座に爛れる様に座り、腫れた目で虚空を見つめていた。家臣の言葉も、誰の言葉も聞かず、ただ、人形となっていた。
それから二月が経った。
城は落ち着きを取り戻し、王も毅然とした態度で玉座に座れるようになった。
女王の遺体は玉座の隣の床下に埋葬した。王は女王を愛していた。女王も王を愛していた。
また二月が経った。
王は新しい妃を迎えるため動き出した。
王は城内で自分の妃として相応しい娘を探し始めた。
第一の候補に挙がったのはミナの姉、ニケだった。
この城で一番の娘。
美貌は美しく温情があり、皆に慕われていた。
だが、その王の指名の二日後、ニケは死んでしまった。
心臓をナイフで一突きされて殺されていた。
葬儀は粛々と行われた。
次に指名されたのはニケの親友、ラズナだった。
しかし、指名の後日、また何者かに殺された。
頭を斧で唐竹割りされたらしい。
城の者は皆、これら異常事態に騒然とした。
「指名されたら殺される」
城の娘たちは震え怯えた。