彼女は旅に出る
掲載日:2026/01/25
カラフルなリュックを背負って家を出た。
前から私の黒猫が歩いてくる。
この子は私が旅立つことも知らないんだろうな。
しゃがんで、「行ってきます」って告げたら「にゃーん」って返ってきた。
やっぱりまだ、しゃべらないままで……。
駅に向かう途中、夜空を見上げて、箒で飛んでいる魔法使いたちのことを想う。
パパもママも、空の飛び方を教えてくれなかったから。
「レイチャミ」
箒で飛んでいたアランが、私に手を差し伸べた。
私は道に捨ててある箒を手に取り、もう片方の手をアランに向かって、伸ばした。
「私も、連れてって」
アランはフフッと笑い、空を飛んだ。
星屑のシャワーが流れる空、私は初めて、箒で空を飛べた。
アランと手を繋いで、空を飛んで。
高いところ、飛んで。
とっても綺麗で、幻想的で。
最期に魔法が使えてよかった。
「ばいばい」
両手を離したら、全ての悩みが無くなるって。




