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彼女は旅に出る

作者: 佐和多 奏
掲載日:2026/01/25

「いってきます」

夜8時、そう告げて、左手に大きなスーツケースを持ち、家を出た。

「にゃーん」

前から私の黒猫が歩いてくる。

この子は私が旅立つことも知らないんだろうな。

しゃがんで、「行ってきます」って告げたら「にゃーん」って返ってきた。

まだ、しゃべらないままだな……。

駅に向かう途中、夜空を見上げて、箒で飛んでいる魔法使いたちのことを想う。

パパもママも、空の飛び方を教えてくれなかったから。

「レイチャミ」

箒で飛んでいたアランが、私に手を差し伸べた。

私は道に捨ててある箒を手に取り、もう片方の手をアランに向かって、伸ばした。

「私も、連れてって」

アランはフフッと笑い、空を飛んだ。

星屑のシャワーが流れる空、私は初めて、箒で空を飛べた。

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