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11話 パーティ結成!

ギルドの地下訓練場で訓練を始めて一週間、アレルとタックルは毎日協力してくれた。

エレインが訓練場に現れたのは、最初の一日だけだった。

私に近づいていたことをパーティメンバーに知られ、仲間に止められていると、レフィルさんが教えてくれた。


レフィルさんの指導の元、訓練を続けたおかげで、体内の魔力循環と身体強化を使えるようになった。

今ではアレル、タックルの二人と、模擬戦を行っている。

全く勝てないけど、どうにか戦闘中に目を瞑ることはなくなった。


タックルとの一戦を終えて深呼吸をしていると、レフィルさんが近寄ってきた。


「剣での戦闘は様になってきたね。身体強化も順調だ」

「ただでさえ頑丈なのに、強化してるから、一つも怪我しないなんてチートすぎるだろ」


ショートソードを腰の鞘に入れ、タックルがブツブツと文句をいう。


訓練を始めた頃は模擬線で、小さな怪我を多くしていた。

それが身体強化が上手くなり、今ではタックルのショートソードが体に当たっても傷もつかない。

皮膚も切れないなんて……女の子としては微妙よね。


するとアレルがニッコリと笑う。


「いいじゃないか、頑丈なのは冒険者として最高の資質だ。胸を張ればいいんだ」

「まだ魔法を扱うほど魔力操作は上手くなっていないし、訓練は続けるとして、それまでの間は体の頑丈さを活かして重戦士がいいかもしれないね」

「???」

「冒険者のパーティには、それぞれに役目がある。例えば、タックルは斥候、アレルは剣士、重戦士は大盾を扱う戦士のことで、防衛の要になる重要な役のことだ。つまり巨人族のセツナにピッタリというわけさ」


私の力であれば大盾でも持つことができそう。

でも重戦士に適正があると言われても、素直に喜べない。

イケメン神様のカスタマイズで、今は十代の女子なのに。


ちょっと落ち込んでいると、私を見ながらタックルが首を傾げる。


「セツナに合うサイズの大盾ってあるのかな?」

「そういえば……彼女の体の大きさを考慮していなかった」

「人族用の大盾は、セツナが扱うと普通の盾ぐらいだな」


レフィルさんは困った表情をして、アレルはニコニコと笑う。


事実だけど、体の大きさを言わないで……うぅ、恥ずかしい。


ちょっと凹んで俯いていると、タックルが私の太ももをに手を添える。


「俺は体が小さいことも、小人族ってことも誇りを持ってる。セツナも誇りを持て」

「タックル、ありがと」


私は素早くタックルを両手で持ち上げ、胸に引き寄せギュッと抱きしめた。

うーん、可愛い。


「セツナ、止めろって!」

「もう少しだけ」

「息が……窒息する」


先日のことを思い出し、私はそっとタックルを地面に戻した。

すると顔を横に向け、タックルがブツブツと文句をいう。


「セツナは俺がいないと危なっかしいから、パーティを組んでやってもいいぞ」

「本当に嬉しい」

「すぐに抱きしめようとするな!」


私とタックルが騒いでいると、アレルも加わってきた。


「俺もセツナとパーティを組もうと思っていたんだ」

「いいんですか?」

「一年前に仲間が大怪我をして冒険者を引退して、それからはソロで頑張っていたんだが、森でセツナと出会ったのも何かの縁だと思うからね。それに巨人族とパーティを組める機会なんて、二度とないだろ。これからもよろしく頼む」

「こちらこそ、よろしくお願いします」


私達三人に、レフィルさんが小さく拍手を送ってくる。


「アレルはセツナとパーティを組むと思っていたよ。小人族は他の種族から格下扱いされて、冷遇されることが多くてね。パーティ内で大喧嘩して、タックルは追放されたばかりなんだ」

「ギルマス、個人情報をバラすな!」

「ごめん、ごめん」


タックルに怒られ、レフィルさんは嬉しそうに微笑む。

するとアレルがポツリと呟いた。


「ギルドにパーティ名を登録しないとな」

「誰でもわかる名前がいいし、目立つといえば、やっぱりセツナかな?」

「パーティ名が『巨人』……これでいいか」

「不採用! 巨人族に関わる名前は止めて!」


思わず叫んでしまった。

アレルのネーミングセンスってダメすぎる。


「それならセツナが決めなよ」


タックルに言われ、唇に人差し指を当てて考えてみる。

巨人族の私、人族のアレル、小人族のタックル……三つ星……。


ふと思いつき、私は大きく頷く。


「『ステラ』ってどうかな?」

「どういう意味なんだ?」

「……連なる星みたいな意味」


惑星と言ってもわからないかもしれないし、適当に誤魔化すことにした。

名前を聞いたアレルはうんうんと頷く。


「綺麗な名だ。セツナに似合ってる」

「よし、今日から俺達は『ステラ』三人組だ!」


タックルも気に入ったようで満面の笑みを浮かべた。


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