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第8話師匠

タニヤマ:「やっぱ個人的にはタチウオが一番だと思うわ。」


ソトナカ:「俺はカフェラテだと思う。」


タ:「カフェラテは違うやん。それはもうなんかジャンルが違うというか。」


ソ:「なんでや、自分の好きなもん挙げて何が悪いねん。」


タ:「いや、まあそうだけども。じゃあ他は?」


ソ:「んーマンゴーとか。」


タ:「まあカフェラテよりはマシかもしれんけど。でもなんかちょっとなー。」


ソ:「じゃあお前は他に何が好きやねん。」


タ:「牛丼のつゆだくとか。」


ソ:「なんか面白味がないんよなぁ。無難すぎるというか。」


タ:「いや、でも攻めすぎたら良いわけでもないやん。人によってはそれが受け入れがたい可能性もあるし。全員が納得というか笑って流せるくらいじゃないと。」


ソ:「あーじゃあ、親子丼とか?」


タ:「いやダメやろ⁉えぐすぎるて!」


ソ:「なんでや!みんな好きやろ!」


タ:「そんなわけあるかぁ‼」


ヨツヤ:「ちょちょちょ、どうしたの?なんか食べ物がどうのこうの揉めてるの外まで聞こえてるんだけど。」


タ:「おお。ヨツヤくん。早いな。」


ソ:「え、今日ヨツヤくん呼んでたの?」


タ:「ああ、ゼミ一緒やから。課題やる約束しててん。」


ソ:「そんなん先言うてやぁ~。お母さんなんも準備してへんわぁ。」


タ:「急にオカンになるやん。」


ヨ:「ああ、お構いなく。ていうか、つまらないものですけど、これよければ。」


ソ:「あーごめん!わざわざ手土産持ってきてくれたんか。」


ヨ:「いえいえ。で、何揉めてたの?」


タ:「ああ、下ネタに聞こえる食べ物選手権をやってて。」


ヨ:「はあ?」


タ:「俺はタチウオとか牛丼つゆだくみたいな、笑って流せるやつが好きなんやけど、ソトナカはカフェラテとかマンゴーとか、直接的な表現のやつが多いねん。」


ヨ:「なるほど。」


タ:「でも下ネタって、そういうものとちゃうやん。みんなで笑えるのが重要であって、露骨な表現だとそれはセクハラやん。老若男女問わず楽しむという土台があってこその下ネタやと思うねん。」


ヨ:「な、なるほど。」


タ:「それに、ただ単語をつぶやくだけじゃあかんねん。会話の流れでスマートに取り入れて、時に場を盛り上げ、時に皮肉を込めて、べしゃりを一段階うえのステージに上げる。そういうインテリジェンススポーツともいえると思うねん。」


ヨ:「す、すごい熱量だね。」


ソ:「タニヤマは難しすぎやねん。下ネタっつーのは『下品なネタ』や。多様性に毒された現代をぶった切る鋭利な刃物やねん。限界まで研いで、1人を刺して10人を笑わせる。そういう古き良きお笑いの真髄が下ネタには残されてんねん。」


ヨ:「い、一理あるかも...。」


タ:「世間に受け入れられなかったからそういうお笑いは淘汰されていったんや。古き良きではなく、古き悪しきだったんや。1人を刺すんじゃなく、1人残らず笑わせる。そういう考えでいかんと、今後下ネタの風当たりは悪くなる一方。だからこそ、みんなが笑えるようにアップデートしていかなあかんねん?」


ソ:「そういう考え方が下ネタを...」


ヨ:「ちょ、まあまあ落ち着いて!これ下ネタの話だよね。そんな熱くならずにゆっくり話し合おうよ。ほら、持ってきた手土産でも食べながら。」


タ:「いや、すまんヨツヤくん。ちょっと熱が入りすぎたわ。まるで初夜かのように。」


ソ:「確かにゆっくりと腰を据える必要があるな。まるでEDに悩むおっさんをカウンセリングするかのように。」


ヨ:(まだ下ネタ言ってるよこの人ら。)


ソ:「え~とヨツヤくんがくれた手土産は…⁉こ、これは...⁉」


タ:「どうした?…なっ⁉これは...」


ヨ:「?」


タ・ソ:「ち、ちんすこう⁉」


ヨ:「ああ、この前沖縄旅行行った時のあまりで申し訳ないけど。」


ソ:「下ネタっぽい食べ物のキングオブキング...。それを手土産に渡すなんて...。」


タ:「老若男女、これなら誰でも笑える...。しかも、余り物として送るということは...。余る=ペアができない=お前らはペアができないほどの粗チンという皮肉がこもっているのか…。」


ヨ:「いやそんな失礼なこと思ってないよ⁉」


ソ:「ま、待て!まだ何か入ってるぞ!こ、これは…。」


タ:「なっ⁉サクランボだと⁉」


ヨ:「ああ、親戚がサクランボ農家で、送ってくれた奴だけど。」


ソ:「サクランボ...チェリー…。つまり、童貞の象徴…。」


タ:「童貞のお前らが下ネタを語るな...と。そういう訳ですか…。」


ヨ:「いや違うって‼」


ソ:「ま、待て!まだ袋の隅に何か...。なっ⁉」


タ:「これは...。カルピス...だと...⁉」


ヨ:「それは、ちゃんと自分で買ったやつだよ!変な意味はないからね!」


ソ:「カルピス...。つまり、せ〇し。」


タ:「それを俺らに渡すってことは...。俺のせ〇しでも煎じて飲め...ということか。」


ヨ:「マジで違うって!マジで怒られるって!」


タ:「これはもう決まりだな...。ヨツヤくん、君こそが下ネタラーの頂点だ。」


ソ:「今日から師匠って呼ばせてもらいます。」


ヨ:「なんでそうなるんだよ!」

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