第4話宗教
タニヤマ:「心の清浄を保て。すべての存在は、内なる平和と調和を求めている。心が乱れると外の世界も乱れる。日々の瞑想と自己の浄化を行い、心を清らかに保ちなさい。汚れた心では、真の幸福は得られない。」
ソトナカ:「え?」
タ:「他者の痛みを感じることが成長への道。他者の痛みや苦しみを自分のものとして感じることは、自己の成長を促す。心の中で『私は他者の痛みを共にする』と誓い、実際にその感情を理解し、助ける行動を取ることが大切である。」
ソ:「何?え?」
タ:「小さな善行が世界を変える。大きな変化は、無数の小さな善行から始まる。日々の些細な親切、言葉の温かさが…」
ソ:「ストップストップストップ!なんやねんさっきから。触れちゃいけん怖さがあるんやけど。」
タ:「おや、ソトナカくん。どうかしましたか?」
ソ:「10:0の割合でこっちのセリフじゃ。何をさっきから言うとんねん。」
タ:「これですか?フフッ。これはね、私たちを導く”言霊”ですよ。」
ソ:「しゃらくさいんじゃボケ。」
タ:「何をそんなに怒ってんねん。ええ言葉...言霊やったろ?」
ソ:「その言霊っていうのやめえ。上っ面だけそれっぽく見せようとしやがって。今回は何にハマったんや。」
タ:「いや~、なんか学校で一人で受ける授業のときな、知らん奴が隣に座ってきてん。で、そいつが急に『今、幸せですか?』って言うてきてん。」
ソ:「あー。で、そいつについてって、よう分からん宗教にでもハマったんか。」
タ:「いや、幸せですかって聞かれたから猫ミームのハッピーハッピーハッピーってやつ物まねしたらどっか行った。」
ソ:「じゃあなんで話したんや今の!YouTubeで途中に入ってくる広告くらいいらんやんけ!すっと本題いけや!ほんで初対面の人に猫ミームで返すってどういう神経しとんねん!」
タ:「いや、ちゃうって。そいつがどっか行くときにこの本を忘れてってな。読んだら面白かったから、加入させてもろてん。」
ソ:「自分からカルト宗教にハマるやつなかなかおらんやろ。」
タ:「いやいや全然宗教じゃないよ。あくまでサークルやから。」
ソ:「あくまでって言うてもうてるやん。」
タ:「ホントにホントに。活動内容もボランティアがメインやし。」
ソ:「ホンマか~?」
タ:「だって、月・水はみんなでダべるのがメインだし。」
ソ:「おー。」
タ:「火・木は清掃のボランティアで、金曜は近隣の幼稚園に人形劇のボランティア。」
ソ:「おー。」
タ:「ちなみに会費は月5万。」
ソ:「思いっきり新興宗教やないか!なんや月5万の会費って!バイト代ほとんど飛ぶやんけ!」
タ:「でも週末にみんなでバーベキューとかやるし…。」
ソ:「じゃあ大丈夫か、とはなんねえよ!月5万のインパクトで全部飛んでったわ!お前だから最近家賃滞納してたのか!てか、よくよく考えたら週6で活動しとんのかい!もはや部活やんけ!」
タ:「どしたん?今日めっちゃ喋るやん。」
ソ:「そら金が絡んどりますからなぁ!お前が滞納しとる家賃、誰が肩代わりしとると思ってんねん!」
タ:「それは悪かったって。新人教徒の育成とノルマ管理が忙しくてさ~。」
ソ:「何で思いのほか出世しとんねん。」
タ:「このまま頑張ってエグゼクティブランクになればな、サークルの名前使って新しく教団作ってボスになれんねん。」
ソ:「マルチとラーメン屋の暖簾分け合体させたみたいなシステムやん。」
タ:「そこでよ。お前をぜひわが教団の初の教徒にしてやろうと思いましてな。」
ソ:「思いましてな、じゃないわ。さっさと辞めろそんな宗教。」
タ:「頼むよ~、ちゃんと入信の特典も付けるから。」
ソ:「なにを付けるつもりやねん。」
タ:「先輩からテストの過去問がもらえる。」
ソ:「そこだけサークルクオリティなんかい。」