第1話おっさん
「俺って親戚でいうと、ちょっとめんどいおっさんって感じやん?」
「何が?」
「いや、大学生になってな、思うんよ。ガキのころ、ダルイなって思ってたおっさんに段々似てきてるなって。」
「俺らまだ20やん。」
「いやいや、20ってもう立派なおっさんよ。もう最近の多様性とかダイバーシティとか、ようわからんもん。」
「それどっちも同じ意味やけどな。」
「この前もな、親戚の集まりで小5の甥っ子と遊んだ時に、クラスで気になる子とかおるんか~って聞いたんよ。」
「ちょっとめんどいおっさんやな。」
「したらよ、『そういうのセクハラっていうからやめた方がいいよ』っていうんよ、甥っ子が。」
「お前んちの家系には珍しい理知的な子やん。」
「そう、タニヤマ家期待のホープよ。でもそのあとがひどいんよ。」
「ほう。」
「俺が、そうなんかーって言うたら『東京にかぶれても中身は田舎サル以下やな』って捨て台詞吐きよるんよ。」
「えぐいパンチラインもらっとるやん。聡明さが良くない方向に働いとるやん。」
「俺、腹立つとか通り越して普通に泣いたもん。」
「俺も小5にそれ言われたら泣く自信あるわ。」
「凡夫オブ地味はさ、親戚の前だとどうなん?」
「バンプオブチキンみたいにディスるやん。」
「ごめんごめん。で、ソトナカは?」
「俺は、挨拶だけしたら自分の部屋にこもるわ。多分、姪っ子も俺のことよう知らんのとちゃう?」
「いやあまり好ましくないタイプの現代っ子か。自分のカラにばっか閉じこもりやがって。」
「親戚のみんな俺にだけ敬語やねん。」
「腫れ物扱いやん。取扱注意すぎて、誰も寄り付かんヤツやん。」
「まあ親戚で大学行ってるの俺だけやしな。ほか全員中卒やし。」
「ワンチャン尊敬の可能性も出てきたやん。」
「そういや、タニヤマはインターンどうすんの?なんか自己分析がどうたら言うてたけど。」
「あーそうそう。自己分析した結果な、俺ってちょっとめんどいおっさんやねん。」
「何を自己分析しとんねん。」
「なんか、こう、いきなり重役のおっさんからやらしてくれる会社とかないかな?」
「あったとしても行きたくないやろ。」
「それか逆に、おっさんが俺の下についてくれる会社。」
「なんも逆じゃないやん。」
「あーもう将来のこと考えるの嫌やわ。ずっと大学2年のままでいたい。」
「あと4か月で3年生やけどな。」
「なんで、ルームシェアしとんのが、電気着けたままじゃないと寝れん陰キャやねん。」
「麦茶飲み切ったのに、新しく作らんやつに言われたくないわ。」
「なんかもっとこう、女子と同棲とかしたかったわ。リサちゃんみたいな。」
「同じバイトのブスやっけ?」
「失礼すぎるやろ。何があったらそんなストレートな暴言が出んねん。」
「飲み会で泥酔したお前を迎えに行ったら、その女とお前にゲロひっかけられた。」
「ホンマにすんませんでした。」
「あの服、上下で3万したんやからな。」
「弁償するって言うてるやん。分割の120回払いで。」
「どこの世界に3万を10年かけて返す奴がおんねん。」
「身体で払うって言ったら、そっちでいいって言ったやん。」
「なんで金の返し方が、10年払いか身体払いやねん。」
「あ、そんなこと言うてたら、リサちゃんからLINEきたわ。なになに?『処刑するなら豚の頭蓋骨でやろう』だってさ。」
「どういう会話?どこで育ったらそんな価値観育つん?」
「なんか、先住民族みたいなんがおるジャングルで育ったららしいわ。」
「人里に迎え入れるなそんな奴。」
「群馬っていうらしいねんけど。」
「バリバリ関東やんけ。」
「LINE返さな。え~~っと。」
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リサちゃん!(^^)!
LINEありがとう(≧▽≦)
豚の頭蓋骨はちょっとやりすぎじゃないカナ?(-_-;)
僕は処刑されるなら、リサちゃんの胸のナカで安らかに眠りたいなナンチャッテ(-_-)/~~~ピシー!ピシー!
またバイトが被った日はよろしくね(*´з`)
一緒に頑張ろう(#^^#)
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「ちょっとめんどいおっさんやんけ。」
「うっさいなぁ!じゃあお前は女子とどんなLINEすんねん!」
「あぁ⁉そもそも女子とLINEしたことないわ!」
「いやあまり好ましくないタイプの現代っ子か!」
「…。」
「…。」
「俺らって結婚できるんかな。」
「さぁ。」