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中居氏フジ問題、新年度予算成立、南海トラフ予想、と新聞一面もたいへんだ! え、4月バカ?

 相川の右隣り、わずか30センチ足らずの距離に、夢にまでみた日本人形、加賀真由美アナウンサーが腰を掛けている。まだお天道様が高い、いや、一番高い時間のお昼にもかかわらず、所帯持ちゆえの鬱積も手伝ってか、いろいろ妄想が膨らむ。かの怪僧・道鏡なら、手を使わなくたって、触れることのできる距離だなあ、などと・・

「かた焼きそば、お願いします」

「じゃ、わたしも、それ」

 50年配のおっさん、その実、御成門テレビ専属の有名演出家田部走が、かた焼きそばを注文した。と思ったら、それに乗っかって私も、と同調したのが、加賀アナだったのだ。

「おい、どうした。箸が止まってるぞ」

 いい歳して、ぼーっとしていたのが、傍からみても滑稽だったのだろう。同期入社の池波部長が、からかい半分、にやつきながら、咎めた。

「しかし、世の中ってのは、ほんとうに・・高校無償化だ、103万の壁だ、嘆きの壁だ、と問題山積だよな」

「どうした、急に」おもわず、吹き出す池波部長。30年を越える付き合いで、相川は都合が悪いと、突拍子もないことを言い出す癖があるのは承知している。「古館伊知郎チャンネルみたいなこと言い出して」

 そのうちに、隣も食事をしはじめた。かた焼きそばを遠慮することなくばりばりかみ砕く音が聞こえ始める。お昼時の、わいわいがやがやした、勤め人でごった返す有楽町ガード下の支那そば屋だから、わざわざ気取る必要もない。注文したものをさっと食っちまうしかない。なにも、お上品に、品つくるのもどうかしているのはわかっている。が、いつもはポーカーフェイスと言ってはかわいそうだが、真剣な、感情を押し殺した冷静さで売っている御成門テレビの顔が打って変わって、バリバリがつがつと焼きそばを消費しているけしきに、若干興ざめを覚える、御年56歳、役職定年、他〇棒志願者がいるのも、これまた、事実なのであった。

「まあ、それにしても、フジテレビはひどいよなあ。第三者委員会が『性暴力 業務の延長線上』って認定したよなあ」

「今朝の朝刊一面トップの文句、そのままじゃないか」

「そう思わないか。まったく、ほんと、テレビってやつらはろくな奴、いねえぜ」

 急にヒートアップしてきた自分が抑えきれない相川。おいおいどうした、自分。憧れの加賀アナが隣にいるってのに。第二思春期が50半ば過ぎにやってきたってか? ひょっとしてあれか。すきな女の子が隣の席になったら急に冷たく当たるってやつか? 小学生男子か?

 店内は、それでなくても、ざわついていたのだ。ガード下の、大砲付けた勤め人しか来ないような食堂に、紅一点、しかも、今をときめく御成門テレビの人気女性キャスターが入店したとあっては、男ども、浮足たたないほうがどうかしている。浮足どころかあっちだって・・だから、テーブルだってなんだって、ガタガタガタガタうるさくてしょうがない。ただでさえ、電車の振動だ。昨日、『南海トラフ 想定死者29.8万人』と、内閣府の有識者検討会が新たな被害想定を発表したばかりだ。30年以内に8割の確率で発生するという巨大地震について(このあたり、すべて、2025年4月1日付朝日新聞朝刊からの、ほぼコピペです。あしからず)。









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