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攻撃は最大の防御なり。攻撃力極振りの彼はチート回避力を得て最強となる

作者: 勇者れべる1
掲載日:2023/02/13

俺の名はディーン・シュヴァルツ、勇者ご一行、もとい冒険者だ。

そして産まれながらにして最強の攻撃力を持っていたのでチートな冒険者になれた。

しかしそう思っていたのは最初の内だけだった。

冒険が進むにつれ強力になっていくモンスター達の攻撃。

敵が弱い内は致命傷にはならなかったが、魔王城に近付く終盤になるにつれ、

モンスター達の攻撃は俺を確実に一撃で葬る様になっていった。


「ちょっとおかしいな・・・おいお前、ステータスオープンしてみろ」


ある日パーティーリーダーの勇者が俺に命じた。


「おいおい、そんな必要ないだ―」


「いいから」


勇者が俺をジロリと睨みつけ命じる。


「ステータスオープン!」


俺が呪文を唱えると半透明のボードが現れる。

そこには幾つかのスキル名と数値が表示されている。

これが俺のステータスって訳だ。

最初に目にとまったのはカンストした攻撃力だ。


「どうだこの攻撃力は!」


俺は自慢げにパーティー連中に胸を張ってドヤ顔した。

しかしパーティー連中の注目していたのは攻撃力以外のステータスだった。

HPもMPも魔力も防御力も回避も運もあらゆるステータスが初期値だったのだ。

攻撃の命中に関わる素早さだけはかろうじて通常の平均値を保っていた。

しかしこれでは幾ら最強の攻撃力を持っていてもワンパンされてお終いである。


「ディーン、お前は一発屋の役立たずだ。この先の冒険で必要はない」


勇者は俺を突き飛ばすとパーティー連中を率いて俺の前から去っていった。

俗に言う追放である。

雨が降りディーンの身体を濡らし悲壮感を駆り立てる。

そして目の前にはモンスターがいた。


「俺は今滅茶苦茶機嫌が悪いんだ」


俺は剣を握りしめるとそのモンスターを一撃で葬り去った。

悲鳴を上げるモンスターに愉悦の笑みを浮かべる俺。

しかしその後ろに続々と別のモンスターが現れる。


「っ!」


俺は一体を葬り去ったが、残りの数体に背後を取られ攻撃を受けてしまった。

防御力もHPも初期値な俺はそのたった一撃で息絶えてしまった。





・・・あれからどれだけの時間が経ったのであろう。

俺は重いまぶたを上げると目の前を見渡す。

そこには天国でも地獄でもなくただ真っ白い無の空間が広がっていた。

そして香水の様な良い香りが鼻孔をくすぐる。

俺が後ろを向くと本を抱えた美しい女性が立っていた。


「お気づきになられましたか?」


「あ、あんたは?」


「うふふ、この世界の女神です」


どうやら彼女曰く攻撃力のみMAXで他が最低な俺は手違いで生まれた存在らしく、その罪滅ぼしとしてもう一度転生させてくれるらしい。

そして今度は2つもステータスをMAXにしてくれるらしい。

俺はさっそく攻撃力と防御力をMAXに・・・いやそれではあの少ないHPではすぐにやられてしまう。

俺は考えに考えた挙句女神にこう告げた。


「攻撃力と回避力をMAXにして欲しい」


俺の答えに女神は頷くと、眩い光と共に俺は周囲の空間ごと消え去った。



俺は再びこの世に生を受けた。

今度の名前はエド・マッケンジー、貴族の息子である。

俺は物心ついてからすぐに周囲の反対をおしきり冒険者となる修行を開始した。

無論攻撃力と回避力のみだ。

何故かと言うとあのいけすかない元リーダーの勇者野郎の鼻を明かす為にもいち早く冒険者にならなくてはならないからだ。

のんびり青年にまで成長していて魔王が倒されたらお終いだからな。


「坊ちゃん、せめて護衛を付けて下さい!」


「断る。足手まといはいらん!これを見ろ、ステータスオープン!」


俺の目の前に半透明のボードが現れる。

そこにはカンストした最大値の攻撃力と回避力があった。(他の値は素早さ以外初期値同然)

つまり敵を一撃で倒せ、敵の攻撃は一切受ける事が無いのだ。

素早さは並だが攻撃が当たるまで避ければいい。


「これで俺の強さは分かったろ、どけ」


俺は教育係の制止を振り切ると、魔王城へ馬を走らせた。

そこへモンスターの大群が現れる。

俺は馬を降りるとモンスターの群れへ突進していった。

必ずはずれるモンスターの攻撃、

どこに当たっても一撃死の俺の攻撃、

ものの数分の間にモンスターの群れを俺は片付けていた。


「まあこれ以上成長する事はないんだがな」



俺が馬に乗り込もうとしたその時、モンスターの群れの中に倒れている人間を発見した。

年老いてはいるがあの姿、あの装備、間違いない、俺を追放した勇者パーティーだ。


「無様だな、俺を追放した報いだ」


「お前・・・ディーンか?それにしては若すぎる気が・・・」


「転生したんだよ、女神様の力でな!」


俺は剣を勇者の眼前に突き立てる。

狼狽える勇者達。

しかし俺はこれ以上こいつらをどうこうするつもりはなかった。


「俺を追放するからこんな目に遭うんだ、ざまぁみろ」


俺は散々勇者達にイキり散らすと、胸のつっかえが取れた様なスカっとした気分になった。


「爺さん達はここで休んでな。魔王は俺が倒す」


「ディーン・・・」


「今の俺はエド、エド・マッケンジーだ。」


俺は瀕死の勇者パーティーに回復ポーションを人数分渡すとその場を後にした。



その後の道中も攻撃を確実に避け、そして確実に一撃で攻撃を当て仕留めた。

そして魔王城に辿り着き魔王の目の前にやってきた。


「ヨクココマデキタナ!シヌガヨイ!」


魔王は様々な魔法や攻撃を繰り出して来るがどれも当たる事は無い。

これも最強の回避力のおかげだ。


「これで終わりだ!」


何度振るったであろう俺の一撃が魔王に決まる。

当然一撃死だ。

こうして俺の冒険は幕を閉じた。



街中では魔王を倒したという事で凱旋パレードが始まっている。

俺は目の前に並べられたご馳走に食らいつく。

そしてその時ソレは起こった。

激しい腹痛が俺を襲う。


「いってええええええええええ!?」


どんな回復魔法でも回復薬でもそれを癒す事はできなかった。


「私に任せて貰おう。報酬は高くつきますぜ」


その見るからに怪しい男は外科医を名乗る医者だった。

どうやら異世界人らしい。

俺は藁にもすがる思いでその男に自分の身体を託した。


「麻酔用意」


俺は注射器なる物を刺されそうになるが、それを持ち前の回避力で避けてしまう。


「おい、ふざけてる場合じゃないぞ!」


「信じてくれ、わざとじゃない!」


ステータスボードで確認した所、スキルの欄にオート回避という文字が記載されていた。

あの女神め、余計な事しやがって・・・


「麻酔無しでやるしかないか・・・」


ベットに寝た俺にメスと呼ばれる小型の医療用ナイフが向けられる。


「少々痛みますぜ」


「ああ・・・」


しかしそれを避けてしまう俺。

あのナイフが俺を襲うと身体が誤認してしまったらしい。

それから一時間程手術は続けられたが、全て避けられてしまい失敗に終わった。


「残念だが患者に直す意思が無い以上どうしようもない」


「違うんだ!これは身体が勝手に動いて―」


「報酬は結構。別の医者を当たっても無駄とは思いますがね」


医者が俺にそう告げ出て行こうとしたその時である。


「ちょっと待った!」


そこに入って来たのはかつて俺を追放した勇者パーティーであった。


「無駄だ!あんた達が俺に何しようと全て回避してしまうだけだ!」


「それはどうかな?」


勇者が俺にタックルし、倒れた所を羽交い絞めにする。

どういうことだ?俺の回避率は100%だった筈だし、オート回避も働いている。

どんな攻撃も俺の意図に関係なく回避してしまうはずだ。


「俺は命中率がカンストしていてね。どんな攻撃も絶対必中の攻撃になるのさ。今までこの無意味な力を忌み嫌っていたが、こんな所で役に立つとはね・・・!」


どうやら絶対回避と絶対命中の力が相殺し、素の命中率と回避率のステータスで比較が行われたらしい。

子供の俺と中高年の勇者、ギリギリの所で勇者に軍配が上がった。


「さあ、早く麻酔を!」


「うむ・・・分かった」


麻酔を打たれた俺は大人しくなった。

それでもオート回避がある為勇者の羽交い絞めはそのままだ。

麻酔はあくまでも痛みを抑える為の物である。


そして―



「どうやら術後は良好なようですな」


「ありがとうお医者様」


「私は報酬さえ貰えれば別になんでもいいさ」


「ありがとう勇者、しかし何故俺を助けた?」


「命の恩人を見殺しにはできんだろう。ところで、また俺のパーティーに入らないか?」


「断る。悪くとらないでくれ、一人気ままな冒険がしたいんだ」


「そうか、ならいいさ」


勇者は俺に笑顔を向け会釈すると、勇者パーティーの所へ戻っていった。





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