ガチャして人助け
「あぁ、、あ。。」
知らない世界に。
知らない匂い。
高い空。
綺麗な空気。
本当に。転生したんだ、、
僕はそれから何をする訳でもなく。
まるで、決まった作業をする機械みたいに。
いつもの様に、ガチャを回した。
♪♪♪♪♪♪♪
演出音と共にディスプレイが光る。
画面には、300コインと表示された。
すると、手には袋に入ったコインがあった。
この世界での300コインがどのくらいなのか。
まずは基本的な情報収集をする為に。
こうして、、
匂いに釣られて、やってきたと言う所だ。
男性1「いらっしゃーいっ」
女性1「どうぞ?見ていって?」
子供1「ママ、あれ買って」
男性2「これは、高いんじゃないか??」
沢山の声に、ゲームの世界かの様な生き物。
ここに来て分かったが。
ありがたい事に、文字も読めるし。
話している言葉も分かる。
単価は、、
「やっす、、」
1日3食とおやつを買っても。
少しコインがあまるくらいだった。
「だが、、」
明日もコインが出るとは限らない。
300コインが一番上だとしたら。。
むやみやたらに使える金額ではなかった。
とりあえず、少しだけ買って。。
男性3「いらっしゃい?
何にする??」
僕はパンの様な食べ物と、
飲み物をお願いした。
男性3「まいど!」
パンの様な食べ物は、普通のパンだった。
飲み物も、容器が何かは分からないが、、
「んっ、。
美味しい。」
フルーツの様な味わいが口に広がった。
これからどうしようか。。
とりあえず僕は降りてきた所に戻った。
順調に進むと、ギルドとか言うのに入るんだろうけど。
怪我しても仕方ないし。。
魔法とか、そういうのは、、
「ハッ!!」
手を広げ、力んでみた。
子供2「あれ、なにやってるの??」
子供2の親「駄目よ、
見ちゃ駄目。。」
当然の様に、何も使えなかった。
「状況を。整理しよう、、」
まずは、携帯。
充電は、今のところ減ってはない。
ディスプレイには、時刻。
それに、上の方に天気予報マークがある。
画面をスライドさせると、
SEと共に、ガチャの画面が、、
それだけだった。
「うん、、
これは。
携帯失くしたら、詰みゲーか。。」
異世界人になったからと言って。
ムフフな展開がある訳でも無く。
ほんの少しの"加護"があるだけ。
結局。何事も自分次第なのだ。
とりあえず使わなければ減りはしない。
ガチャの為に節約してきたから、
例え、明日。コインが出ずとも。。
何とかは、なるが、、
問題は、宿と、水、だな。。
「とりあえず宿を借りるか??
いや、、
金は使えない。。
、、今日は野宿をしよう。
水は、川を探せば。」
僕は、歩いた。
前までなら、この時間は普通に働いていた。
意味の無い作業を淡々と繰り返して。
少しでもミスをしたら、態度の悪い上司に頭を下げて、、
そんな日々を送っていた。
が。
今は何のしがらみもない。
支払いもなし!!
生きているだけで、罰金を払い続け。
呼吸するだけで、罰金を払い続けた。
生きている事はきっと悪い事なんだと。
そういう風に考えざるおえなかった。
確かに不安が無い訳ではない。
だが。
何だか、、前よりは気持ちが楽だった。
辺りがだんだんと暗くなって来た。
周りには生い茂った木々ばかり。
途中で、道を逸れたのが間違いだろうか。。
何かの声。
何かの音。
「少し。不安になって来たぞ、、?
とりあえず、広い所に。。」
「うわぁ!!!」
木々が無くなったと思ったら、
地面には、赤い液体が垂れていた。
「これは、、」
見たくはないが、確認せざるえなかった。
誰かが、、倒れて居たら、、
「が。
それは、何かの木の実だった。」
それを拾い。匂いを嗅ぎ、少し舐めてみた。
「、、酸っぱい。
けど、悪くはない。」
柑橘系の果物だろうか。
勝手に採って食べて良いのかは分からないが。
ひとつぐらいなら多分大丈夫だろうか、、
木に登って、果物を取る。
木登りなんて本当に久しぶりだ。。
生きていく日常生活の中で、
木登りなんてする事がないからなあ。。
「よいしょっ。」
無邪気に遊べた頃が。
本当の意味で一番の幸せだったのかもしれない、、
そんな事を考え、また歩き出した矢先。
「えっ。。」
目の前に現れた、家の近付くで倒れている少女。
「、、大丈夫。ですか!??」
いや。大丈夫そうではない。
自分の手には、べったりと血が付いていた。
家の溢れた灯りを頼りにするも。
ゆっくりと、世界はまた暗くなる。
どうしたら良い!!
どうすれば。。
当たり前だった。
異世界にはモンスターがきっといる。
たまたま運が良かっただけ。
「そうだ!!」
携帯を握るも。救急車なんてのは呼べない。
「異世界。だった、、」
ここは、異世界だ。
こうしている間にも、
女の子を襲ったモンスターが再び現れるかも知れない。
、、逃げるか??このまま。。
赤の他人だ。
それに、もう死んでしまいそうだ、。
いや、、
"また"
小さな女の子さえも救えないのか、、?
僕は。また、繰り返すのか??
それで、、"良い"のか??
「頼む!!
アイテムでも何でも良いから!!
この子を救ってくれよぉ!!!」
何も出来ない無力な子供の様に叫んだ。
見慣れたディスプレイには明かりが付き、
"1連無料"
の文字があった。
「今日の分は、引いたハズなのに、、」
僕は急いでそれをクリックする。
♪♪♪♪♪♪♪
演出音と共にディスプレイが光る。
フィフィ~、、
「何だ。コイツ、、」
あれ、、?
目の前には、金色のウサギがいた。
「お兄、、ちゃん??」
腕の中には、傷付いた少女。
見覚えのある様な出来事。
「頼む、、金のウサギ!!
この子を、、助けてくれ!!」
フィフィ~、
金のウサギが、女の子の頬っぺにキスをすると。
光る魔方陣の様なものが地面に描かれ、
何だか。優しい気持ちになった。
輝きが収まると、いつの間にかウサギは消えていた。
「ありがとう。。」
見えない暗闇に金のウサギを思い、お礼を言った。
まずは女の子を、家の中へと運ぶ。
「お邪魔、、します。。」
多分、、彼女の家で。良いんだよなあ??
前の世界なら、この状況は好ましくは無い。
人助けをしたんだ、、
何とかなるだろう。。
さっきのは、ガチャのおかげだよなあ??
ベッドに寝かしつけ。
僕は近付くの椅子に座る。
静かな空間に、女の子の呼吸する音がする。
「疲れた、、」
「母ちゃん、、?
具合はどうだ。。」
母ちゃん「大丈夫。母ちゃんは元気元気。
それよりも。ちゃんと、休んでるのかい?
クマがすごいよ??」
「元々だよ。」
母ちゃん「ごめんね??
苦労ばかり掛けて。。」
「やめろ、よ!
んな風に思ってねえよ。」
母ちゃん「そうかい、、
ありがとう。。」
、、嫌な夢を見た。
「ん、、?」
僕は知らない家で寝ていたらしい。
「おはようございます。」
目の前には、綺麗な女の人がベッドに居た。
「すすす、、すいません!!」
いつの間にか握られた手を離し。
部屋の隅へと逃げる。
どうして。??何があったんだ、、
綺麗な女の人「まあ。
照れ屋さんなんですね??」
「わ、わたくしは、、変な。
変な者では、なくて、ですねえ??。」
何で、服を着てない。。
綺麗な女の人「ええ。
存じて下ります。
昨晩は、助けて頂いて。
ありがとうございました。。
何とお礼を言っていいやら、、」
「姉さん!!?」
その時。知らない男性の声がした。
知らない男性「お前!!何者だぁあああ!!?」
剣先は僕の喉元の直ぐそばにあった。
綺麗な女の人「こら!やめなさいっ。
この人は、私の命の恩人よ??」
知らない男性「どういう事だか、
きっちりと。
説明してもらおうか??
ってか、、姉さん!??」