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第58話 再会

 そうして、それからいろいろなところを巡った。


「……楽しいってこんな感情なんですね」


「楽しかったならよかった」


 今まで、楽しいって感覚を知らなかったことに少し悲しくなったが、僕はそんな言葉を返した。


 僕がもっと、フィールといろいろな場所に行っていたらもっと早く知ることができたのだろうか。


「マスターはどうでした?」


「え!?僕?」


「そうです。私だけが楽しんでいたら申し訳ないじゃないですか」


「あー、僕も楽しかったよ」


 そうだなー。ころころと変わるフィールの表情を見ているのは楽しかった。


「まあ、マスターは私を楽しませることしか考えていなそうですけど」


「うぐ……」


 まあ、街をまわるうえで考えていたのは、フィールはどんな場所に行けば楽しめるかだったけど。


「でも、僕も楽しめたのは本当だよ」


「……そうですか。それならよかったです」


 フィールはそう言って笑みを浮かべる。


 まあ、楽しかったのはフィールと居たからなんだろうけど。


「それにしても、マスターの故郷だけあって、いろいろな場所を知っていましたね」


 確かに、故郷だった場所なだけあって、こういった観光で回る場所についての知識は豊富だった。


「まあ、観光に力を入れてるのもあるだろうけどね」


 崩壊したダンジョンという観光名所を生かして、そのほかの観光名所も作り、観光と言えばの街としての地位を確立していた。


「確かに、にぎやかな街ですね」


 そう。観光地なだけあって、どこもにぎやかで人気にあふれている。


「領主様はさすがだよ」


「流石マスターのお父さんですね」


 本当に、ダンジョンの資源で成り立っていたところを、崩壊に合わせて観光地という路線変更を成功させたのだ。流石の手腕としか言えない。


「……そういえば、これからどうします?」


「あ、確かに僕らは宿取ってるわけじゃないしね……」


 まあ、フィールの異空間で寝ることもできるけど、流石に街中でそれを使うのは……。


「……また、ダンジョンに戻りましょうか」


 そう言って、フィールはくすりと笑みを浮かべた。


「だねー。今から宿をとるのは厳しいだろうし」


 そんな感じで、話をしながら崩壊したダンジョンに向かっている時だった。


「あ」


 僕の目が彼らの姿をとらえた。


「どうしてここに……」


 そこにあったのは、以前僕が所属していたパーティーの面々。パーフェクトのメンバーだった。


 そうして、彼らも僕らのほうに視線が向く。


「る、ルークか」


 なぜか、震えた声で僕の名前を呼ぶシーザー。


「ひ、久しぶり?」


「知り合いですか?」


 僕らがそんなたどたどしいやり取りをしていると、フィールがそんな声を発する。


「知り合いと言えば、知り合いかなぁ」


 僕がそんな曖昧な返事をした時だった。


「な、なんで生きてるのよ!」


 マーガレットがそんな叫び声をあげた。


「確かに致命傷だったはずでしょ!」


 それは僕も聞きたい。おそらくフィールが治してくれたんだろうけど。


「……とりあえず、その話はあとでマスターに問いただしましょう」


「……」


 マジですか……。フィールから詰められるというのは少し想像がつかない。


 同じ姿をしているフィーアに詰められたときは……。うん。思い出したくもないね。フィーアに詰められるというより、化け物に脅されていた。


「と、言うか!そいつは誰よ!」


「誰かって、今のパーティーメンバーだけど」


 昔の勇者様です。なんて説明できるわけないから、そう紹介する。


 いやまあ、僕を殺そうとした彼らにそんな説明する必要があるのかと言われるとないのだけど。


「おい!いいだろそんなことは!」


 シーザーがそんな大声を発した。


「……さっさと行くぞ」


 それだけ言い残して、彼らは去って行った。マーガレットはまだこちらをにらみつけていたが。


「……私たちも行きましょうか」


 フィールにそう言われて、僕も再度足を進める。


「マスター、後で話を聞かせてもらいますよ」


 うーん。やっぱりそうだよね……。




「相変わらずの快適空間だねー」


「マスターも頑張って身に着けてください」


 僕も使えるようになったけど、フィールほどの快適空間を作ることはできない。


 いや、なんで使えるようになれたのか分からないのだけど……。未だに原理を理解できるわけじゃない。


「と、話してくださいね?マスター」


「あー。フィールに会う前の話なんだけど」


 いや、僕に過失はないと思うのだけど、フィールに怒られないか心配だなぁ。


 ……怒るというか心配される内容でしょ。


「……なるほど。マスターがあの時倒れていた理由は分かりました」


「フィールと会ったのはあの直後だからね」


「ただ、マスターの傷を治したのは私ではないですよ」


「……え?」


 あの時の傷は致命傷と言えるほどだった。あの時、想像していた近くに落ちていたポーションが偶然割れて僕にかかったとしても、あの傷じゃあ助かることはなかっただろう。


「……マスター自身が治したんじゃないですか?」


「いやいや、今ならまだしもあの頃の僕じゃ治せないよ!?」


「そうなんでしょうけど、マスターは私並みに才能がありますから、本能的に直したとかじゃないですか?」


「フィールほどの才能はないって言いたいけど、そうとしか考えられないか」


 僕はすでに死んでいるというわけでもないだろうし、僕はたぶん不死身というわけでもない。死んだことないから分からないのだけど。


「ここにきて、フィールとは関係ない謎がでてくるとは……」


「私の謎って、ほとんどもう残っていないと思うのですが」


 フィールの突っ込みを僕は無視して、考える。


「フィール以外の誰かが助けたとかはない、よな」


「それなら、その人がマスターのそばにいたでしょう」


 確かに、そんな善意の塊のような人がいたら、治療した人を放ってどこかに行くとは考えづらいか……。


「うーん。僕の秘められた才能が開花したのか……」


「表現がおかしい気がしますがそうとしか考えられないのでは?」


 結局、よくわからないまま、この話は打ち切りになるのだった。


宵「再会がメインになるはずだったのに」

イ「構成力」

宵「構成というより、想定が毎回ずれてる気がする」

イ「想定?」

宵「短い話で終わるはずが長くなったり、逆にかなりかかると思ってた話がすぐ終わったり」

イ「致命的すぎないかなぁ?」


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