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第38話 部位の相性

〈sideルーク〉


「あの子の体はバラバラにされて封印されているってことは、あの子も言ってたよね」


 フィールは出会ったときに、自分は頭だけの存在だと説明していた。今ない体の部位は魔力で再現しているだけだと。


「そして、その体の部位ごとに相性っていうものがある」


 そのことは、今回のダンジョンでフィールが言っていた。頭と胴体は、相性が良かったから容易に見つけられたが、今回の腕はダンジョンのどこかにある以上の情報がなかった。


「おそらく、あの子の今の人格は頭にあったものだと思う。他の部位にも人格があるのかもしれないけど、少なくともあの子ほど明確な自我はない」


 ってことは、フィールは元の人格をもとにした全く新しい人格ってことか?


「そう。あの子にはもともと人格はなかったと言ってもいい。君と旅をしている中で育まれた新たな人格だ」


 確かに、フィールと出会った当初は感情らしきものはほとんどなかった。しかし今は、ある程度の表情も見せるようになっていた。


「おそらく、胴体と腕にあった人格は今のあの子の人格に統合された」


「フィールの人格は別人のものも混ざっているってこと?」


「いや、機械的な人格だから統合されたといっても、一切と言っていいくらいにはあの子の人格には変化はないよ」


 人格が変わったようには見えなかったのはそれが理由か。


「主人格は頭にあることには変わりない。だから、頭との相性のいい部位以外とあの子との相性はいいわけではない。つまり、ほかの部位を取り込んでも相性の変化はないと思う」


 なら、これからの体を集めるのはフィールの感覚には頼れないのか⋯⋯。次の探索も苦労することになるかもしれないな。


「まあ、相性が悪いって言っても、もとは同じ体だったからある程度は分かると思うよ」


 ああ、確かに赤の他人の体と比べると相性はいいだろうな。⋯⋯正直、自分の体が地面に埋まっていたとしても僕じゃ気づけない気がするけど。


「ああ、それは物理的に探しているわけではないからね。あの子は規格外な実力、というかあの子そのものが人間という規格を逸脱している。だから、魔力とかそのあたりの力も大きい。体の一部にもそれらの力が染みついているだろうから、それに気づいているってことだろうね」


 ⋯⋯まあ、通常の人間には分からない感覚なんだろうな。


「そうだな~、魔力のパスがつながるって感じでどう?自分の体に近づいたら自動で何らかの力の流れがつながる、みたいな?」


「それで、そのつながりの流れの問題で相性があるんだね」


「⋯⋯多分?そこまでは流石に推測材料が少なすぎるから断言できないかな」


 推測の材料が少ないというか、ほとんどない状態で話しているんだから、ほぼすべて想像ってレベルじゃない?


「そうだよ?割と私の想像が混じってる。だから、最初にそう言っていたしね。⋯⋯まあ、その辺の話はどうでもいいんだよ」


「信憑性はどのくらい?」


「⋯⋯今どうでもいいって言ったんだけど⋯⋯。まあ、五割くらい?」


 予想していたよりも高い割合だな⋯⋯。


「で、そういう感じで相性があって、とりあえず今の部位で関係を挙げていくと、頭は胴体に、胴体は腕にって感じで順々に集められているっぽいんだよね。このまま、最後まで回るのか、それとも最後の部位は頭に惹かれるのかは分からないけど」


「つまり、このまま近い順にめぐっていったほうが相性の面ではいいってこと?」


「そう。前に戦っていた男もどうやら次のダンジョンのある方向、レグルの方向を気にしていたし」


 そうだったかな?あの男についてはフィールと戦っている姿しか見ていないのでそちらの方面を見ていたのかは分からない。


「まあ、私も君の中にいる存在だから、君視点で見てどうなっているのかを観察しただけなんだけどね」


 えぇ⋯⋯。僕視点では、あの男がレグル方面を気にしていたようには見えなかった。


「ここじゃ、何回でも君の視点を再生できるよ?見る?」


「それは遠慮しておきます」


 あの時の僕はあまり役に立てていなかったし、急に魔法に合わせるようにフィールに言って、一切の返答も待たずに使ったし⋯⋯。僕のダメなところが目立つだけであまり良いシーンがない。


「ついでに、君の内心も読み上げてくれるよ?」


「その機能は要らなくない?」


 この空間でフィーアに考えが読まれるならまだしも、起きているときの心まで読まれているのは嫌だ。あの時に限定して聞くにしても、全くかっこいいことは考えていなかったような気がする。


「多分、見直すと痛々しいんじゃないかなぁ?」


「それをフィーアが言う?」


 痛々しいことを言っているのは百も承知だが、フィーアに言われるのはなんだか屈辱的だ。


「まあ、君の黒歴史が着実に蓄積されている、いやされていくことは置いておいて⋯⋯」


 おいておかないでほしいな⋯⋯。いや、切実に。


「君が息絶える日までそれは無理」


 死ぬまで記録が残り続けるの?僕の人生記録かな?


「で、私が言いたかったことっていうのは、次のダンジョンは腕が惹かれているっぽいレグルのダンジョンにしたほうがいいんじゃないってこと」


「それなら、次はレグルに行くことにするよ」


 ⋯⋯もともと、そこに行く予定だったけど。


「およ?また、そんな舐めた態度取るの?」


「誠に申し訳ございません」


 本当に心読むのやめてもらえませんかね?


宵「おそらくブルートゥース的な機能」

イ「近づくと自動で無線接続する体、なんというパワーワード」

宵「⋯⋯違うよ。作中そんな表現してないよ」


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