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第29話 相性

〈sideルーク〉


 翌日になって、僕らは再度ダンジョン探索を行っていた。


「⋯⋯確かに、改めて見てみると魔物の数が少ないね」


 昨日フィールの言っていた通り、魔物の数は減少していた。


「微々たる変化ですけどね」


 まあ、言われなければ気づかないレベルの変化だった。僕らみたく魔物を瞬殺できるほどの冒険者なら気づくのだろうけど、魔物を一体一体倒していく普通の冒険者程度なら全く気づけないレベルだろう。

 これが、フィールの体を解放した結果ならば魔物の減少による問題はほとんど発生しないと言ってもいいだろう。せいぜい、他の魔物を倒している間に不意打ちされるリスクが減る程度だろうか。ともかく、今後もフィールのパーツを集めていっても問題はないだろう。


「僕らくらいしか気づいていないだろうね」


「他の冒険者がどの程度強いのか知らないので分かりませんが、以前のマスター程度でしたら気づけないでしょうね」


「⋯⋯フィールが封印される前の時代はどれだけ発展していたのか」


 フィールから多少教わった程度の僕でもここまで強くなれたのだ。フィールが封印される前の時代では僕よりももっと強い人間がごろごろいたのだろう。


「⋯⋯魔法技術に関しては、今より少し発展した程度ですよ」


「いやいや、僕でもこんなに強くなったんだし、これが一般常識なら想像もできない時代だって」


「それは単純にマスターに才能があっただけです」


「⋯⋯僕に才能なんてないよ」


 僕に才能があったならば、冒険者としてもう少し大成できていただろう。実家でももう少しましな扱いをされていただろうし⋯⋯。


「⋯⋯マスターはもう少し自己肯定感を高めたほうがいいですよ」


「⋯⋯」


 自己肯定感が低いという自覚はある。フィールに鍛えられて、今までの自分では想像できないくらいに強くなれたことは誇ってもいいのかもしれない。ただ、それもフィールの力であって僕のものだと実感できないのだ。


「⋯⋯これは、さらに強くなれるよう鍛えたほうがいいですかね」


「えっ⋯⋯」


 フィールが突然そんなことを言うので驚いた。

 さらに鍛えるって、僕殺されないよね?


「お手柔らかに、お願いします」


「⋯⋯分かりました。また、鍛えさせてもらいます」


 どうなるのか、少し不安である。



「どこにも見つからないね」


 その後、ダンジョンのボスは一瞬で倒され、ダンジョン内を探索していたわけだけど、結局フィールの体は見つからなかった。


「ですね⋯⋯」


 フィールの力でも場所の特定まではできないらしい。


「ダンジョンにあるのは間違いない?」


「おそらく、間違いはないかと思います」


 ダンジョン内にあるのが間違いないなら、探し続けるしかないか⋯⋯。


「体を探すときは分かりやすかったんですけどね」


「近くに行かないと分からないってこと?」


 フィールは前回、冒険者の体にフィールの体の一部が埋め込まれていることに気づいていた。つまり、少なくとも視界に入る程度の距離に居ればフィールは自分の体に気づけるということかと思ったのだが。


「いえ、おそらく直接触れる程度まで近づかないと分からないと思います」


 どうやら、そういうわけでもないようで、今回のパーツを探すのはかなり苦戦しそうなことを言われた。


「体を見つけた時とは違うの?」


「私も先ほど気づいたのですが、おそらく私と相性のいいパーツが体だったのでしょう」


「体のパーツに相性も何もあるの?」


 結局フィールの体の一部だし、相性も何もほとんど同一のものだと感じてしまう。


「もちろん、他の人の体の一部よりは相性はいいですよ。ただ、体の部位によっても相性の差があるみたいですね」


「そんなものなんだ⋯⋯」


 多分、体を分割されて生きていけない僕には理解できない感覚なんだろうな⋯⋯。


「胴体とは相当相性が良かったんでしょうね」


「多分僕にはわからない感覚だよ⋯⋯」


「むしろ分かったらおかしいですよ」


 まあ、そうなんだろうけど⋯⋯。


「となると、地中に埋まってたりしたらしんどいね⋯⋯」


「いえ、全く感覚がないわけではないので、地中方向に意識を向けておけば真上に来たら分かると思います」


「普通にそれはしんどいんだけど」


 奇跡的に真上まで来なければ分からないって、どれだけ歩き回らないといけないんだ?


「同じ部屋にあればなんとなく分かりますから、その部屋をくまなく歩き回れば分かります」


「⋯⋯それなら何とかなるかも?」


 なんだか感覚がマヒしてきたような気がする。


「とはいえ、探すと決めたんだしやるしかないね」


 ここで探すのをやめるわけにもいかないし、まあ、気長に探していこう。

 僕はそう考えて改めて、気合を入れるのだった。



 まあ、一日で見つかるはずもなくダンジョン内で僕らは夜を迎えることになった。まあ、今までダンジョンに日帰りで行っていたのがおかしいのだが。


「何度見ても思うけど空間収納って便利過ぎない?」


 異空間にものを収納できるようになる魔法。フィールが封印される前はメジャーな魔法だったらしいけど、現在ではフィールくらいにしか使えない。


「一般的には容量がありますからね。こんなものまで入れませんよ」


 フィールの空間収納には、テントやら調理道具やらが大量に入っている。容量があるならそんなものを入れる余裕なんてないんだろうな。


「無制限の量が入るのはフィールの時代でも珍しいんだね」


「はい。相当に才能がいるので使える人は少なかったと思います」


「とはいえ、便利なのに今は使える人がいないんだろうね」


 容量のある空間収納なら僕でも使えるようになれた。そもそも、フィールの時代の魔法と今の魔法はあまりにも違いすぎる。神話の時代の魔法と言われても信じてしまいそうだ。

 ただ、そこまで便利で優秀な魔法だというのに一切の痕跡なく消えてしまっているのか、それが謎だった。実際僕らがその時代の存在に気付けるとしたらフィールの存在とダンジョンくらいだ。


「流石に私が封印されている間のことは分かりません」


「だよね」


 さすがにフィールでも分からないか。もし、意図的に消されたのならフィールの存在はきっと想定外だろうから、消した存在と対峙する可能性があるのだろうか。まあ、何かしらの災害が起こったなどの非人為的なものの可能性のほうが高いのだろうが、フィールと旅する以上、警戒はしておいたほうがいい、か。

宵「冒険者は基本ダンジョン内で睡眠をとったりしています」

イ「フィールちゃんが瞬殺してるだけで、戦うと数十分はかかる魔物が多いからね」

宵「日帰りなんて旅行気分で来れる場所ではありません」

イ「二人とも旅行気分なんて言ってないのよ⋯⋯」

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