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第20話 嫌悪感

〈sideフィール〉


「貴方は一体何者ですか?」


 私はマスターと別れた後で、少女とともに路地裏にやってきた。


「さて、何者でしょう?敵かもしれないし味方かもしれない。もしくはどちらでもないかもしれない」


 どこか異質な少女はそう言って不敵に笑う。とはいえ、彼女の動きを見ている限り敵ではないと思う。その動きが私を騙すためだったら別だろうけど、そこまで器用な少女には見えなかった。


「⋯⋯まあ、いいです。で、聞きたいこととは何ですか?」


「およ?気にならないんだ。僕って色々不気味な存在だと思うけど」


 とぼけるように少女はそう言葉を紡ぐ。いろいろと、不気味さはある。だけど、彼女から悪意は感じない。だというのに。


「そのアンバランスな嫌悪感のことですか?」


 妙な嫌悪感を抱かせる雰囲気を感じるのだ。


「⋯⋯やっぱりそういうのがあるんだねぇ。どおりで嫌われがちなわけだ」


 少女はそう言ってカラカラと笑う。こんな様子を見ている限り、彼女は固有の嫌悪感を抱かせる雰囲気を纏っているだけで、彼女の人柄そのものには全く問題がないのだろう。呪い、のようなものと言葉が浮かぶが、そんな気配もない。それこそ、彼女はそういうものだと決められているような、そんな印象を受ける。


「それで、フィールちゃんには影響はないの?」


「ないとは言いませんけど、それ以上に自分の感覚を信頼しているだけです」


「なるほど、そういう形での防ぎ方もあるんだ、へぇー」


 うんうんとうなずきながらそう口にする少女。


「まあ、とりあえず本題に入ろっか」


「はい。分かりました」


 彼女が何者なのか、それは私には分からない。だけど、悪人ではない。だから、彼女の存在を否定してはいけない。私の感覚に基づくと、そう思うのだった。


「さて、本題なんだけど、これの効果を教えてほしくてね。⋯⋯どこまで本当なのか?」


 そう言って、少女はあるものを差し出すのだった。



〈sideルーク〉


 あれから、数分程度だろう。フィールと謎の少女は思っていたよりもすぐに戻ってきた。


「戻りました」


「戻ってきたよ~」


「僕とあなたはそこまで仲良くはないと思うけど⋯⋯」


 大手を振って帰ってくる少女に僕はそう言葉をこぼす。僕は彼女を邪険にしていたしこんな親しいような声をかけられるのはおかしいと思う。


「堅いなぁ~。僕にとってはそれくらいの間柄なのさ」


 僕にとっては親しくないです。という言葉を抑えて僕はフィールのほうに向きなおる。


「フィールは特に何かされてない?」


「無視は酷くない?」


 少女が何か言っているが無視。


「はい。特に何もされてないですよ」


 フィールはいつも通りの無表情でそう言葉を返す。フィールに何かできるとは思えないものの、一応心配がなかったわけではない。


「うん。よかったよ」


「はい」


 僕らがそんな風に頷きあっていると⋯⋯。


「⋯⋯いつまで無視してるのかな?」


 少女が不服と言いたげに声を上げる。


「あ、悪かったです」


 確かに、この少女に対していいイメージはないのだけど、僕が初めに邪険にしすぎたのも事実だし、邪険にしたのかも分からない。フィールはなにもされていないようだし、毛嫌いするのも辞めておこうと思った次第だ。


「⋯⋯僕のこれってなれるもんなんだねぇ」


 対応が柔和になったことに気づいたのか少女は少し驚いた様子でそう言葉をこぼす。これ、というのは確証はないが彼女への嫌悪感だろう。


「何もしていない人を嫌うのはおかしいですよね?」


 僕がそう返すと、少女は少し笑みを浮かべてから⋯⋯。


「⋯⋯君はいい子なんだねぇ」


 と感嘆したように声を漏らす。


「でも、案外みんな僕を見ると睨み付けてきたりするもんだよ。第一印象ってやっぱり大きいからさ」


 少女は苦笑交じりにそう言った。⋯⋯確かに最初は僕も彼女を遠ざけようとしていたし、その通りなのかもしれない。


「それを治したいんですか?」


 少女はその問いに少し驚いた後。


「いや、全然」


 笑みを浮かべてそう返してきた。


「原因も分かってるし、好きでやってることだからね」


 含み笑いをしながらそう言葉をこぼす。⋯⋯僕には彼女が嫌われる原因は知らないけれど、原因が分かっていても、好きでやっていても、嫌われるのがいいこととは思えない。


「まあ、そんな僕のことを気にしなくてもいいよ」


 僕の内心を察したのか、少女はそう口にする。


「君は、その心を大事にしてあげたらそれで」


 少女はそう言って優し気な笑みを浮かべた。そして、


「じゃあ、あんまり僕が君たちに会うのもよくないだろうからさ、僕はおさらばと行こうか」


 と、そう言葉を残して文字通り姿を消した。僕にも、おそらくフィールにも見えていなかったのだろう。フィールの視線は先ほど少女の消えた場所から動いていなかった。瞬間移動か、それとは別の何かか、ともかく僕には理解の及ばない何かだろう。とはいえ、彼女はおそらく敵ではない。そんな直感があった。


「ダンジョンに行こうか」


「はい」


 今は少女のことを考えても仕方がないし、僕らは今やるべきことをやろう。そう考えて、僕とフィールはその場を後にするのだった。


イ「初対面の人に嫌悪感を抱かせる力かぁ」

宵「日本で持ってたらとてもいやな力だね」

イ「人間関係が破綻まっしぐらになるね」

宵「待っているのは社会的な死かな?」

イ「残酷すぎやしないかな!?」

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