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第18話 協力依頼

⋯⋯投稿したつもりになってた

〈side???〉


「な、なんなんだよお前⋯⋯」


 俺は目の前の光景を見て、そうつぶやくしかなかった。岩壁はへこみ、ざらざらと崩れるそれは壊れて間もないことを示している。そいつは、ゆらりと俺のほうへ目を向ける。その目は感情を映しておらず、そいつの意志を感じない。


「⋯⋯身体の危険を感知しました」


 異変を感じて思わず飛びのいたのは正解だっただろう。あの惨状の中にいたら、無傷では済まない。あたりを見回すと、すでに仲間の姿はない。先ほどの衝撃で逃げたのだろう。


「ふ、ふざけるなぁー!」


 俺は、手に持つ剣を再度強く握り、そいつに足を向ける。逃げるべきだっただろう。しかし、怒りと混乱で我を失っていた俺はそいつに突撃するという選択を選んでしまった。


「がっ!」


 振りかぶったところですでにその場所にそいつはいなかった。俺の懐に潜り込み、こぶしをめり込ませる。思わず、痛みでうめき声をあげる。


「もう、やってられるかよ!」


 あまりの痛みに俺はそう叫び散らかし、背を向けて逃げ出す。幸いにもそいつは俺を追いかけることはなかった。


「危機の回避を確認。休眠モードに戻ります」


 後ろで、何かをしゃべっているのが聞こえてきた気がしたが今の俺には気にする余裕もなかった。



〈sideルーク〉

 休憩した後、僕らはまた街の中を歩いていた。


「そういえば、フィールがいればかけらを回収するのは簡単じゃないの?」


 フィールは僕よりも強い。というか、僕が完全に足手まといになるだろう。だというのに、フィールは僕を連れて行こうとしている。


「私一人で行っても、完勝は難しいでしょう。私対私の勝負のようなものでしょうし」


「⋯⋯なんで戦う前提なの?」


 フィールの頭がこうして歩いているのなら、ほかのかけらも別のパーツを作って待っているのだろうか。だからといって戦闘になるのかは疑問だ。


「想定しておいて損することはないでしょう。特に何事もなく回収できれば一番よいです」


 想定しておいたほうがいい、か。とは言っても、フィール並みの相手と戦うってなると想像ができない。僕みたいな規格外ではない存在には理解のできない世界だろう。


「⋯⋯ちなみに、戦闘になったら僕は足手まといにならない?」


「⋯⋯今のままだと足手まといと言わざるを得ないでしょう」


 それを聞いた僕はやっぱり、としか思えなかった。先ほどの戦いでは食らいつけたように見えたけど、フィールは手加減していただろうし、フィールと僕の差は大きい。


「⋯⋯ですが、今の私に追いつけるポテンシャルはあると思いますよ」


 フィールは、僕に自分と同じくらいの才能があるという。僕も今まで努力してこなかったわけではない。もし、フィールくらいの才能があるなら⋯⋯と思ってしまう自分がいる。


「それに、マスターが物理的な強さを得なくてもいいと思います」


 フィールはそう言って、僕のほうへ目を向ける。


「マスターには似合わないと、何となくですが思います」


 そう言って、珍しく笑みを浮かべるフィール。フィールがなんとなくの感覚を話すというのは珍しく感じた。


「ふふ、分かった。僕にできることを探すよ」


 フィールの笑みの影響を受けてかは分からないけれど、僕も笑みを浮かべていたと思う。⋯⋯だから僕もフィールのためにできることを考えてみようと、素直にそう思えた。



 その後、僕らは宿屋まで戻ってきていた。


「⋯⋯これお土産です」


 宿屋の中に入ると、カウンターで女将さんとその知り合いっぽい女性が会話していた。女性のほうは若く、女将さんより一世代は下に見える。


「ありがとねぇ。⋯⋯今回も空振りだったのかい?」


「⋯⋯そうです」


 久々に再会した友人、とかだろうか。それくらいの親密さを感じた。そんな彼らを邪魔しないようにとフィールと僕は、そっと部屋に戻ろうと階段を上る。


「うわぁ!」


 階段を上ろうとした矢先にレオン君が角から飛び出してきた。僕はレオン君を一歩下がって躱す。ただ、レオン君は僕らに気づけなかったようで声を上げる。


「⋯⋯失礼します。⋯⋯お姉ちゃん!久しぶり!」


 一瞬丁寧に僕に声をかけつつも、すぐに先ほどの女性に突撃する。

 お姉ちゃんか。実は兄弟だったりしたのだろうか。


「レオンの奴、あの子にすっかり懐いちゃってねぇ⋯⋯」


 いつの間にか、僕らのそばに来ていた女将さんがそう呟く。

 レオン君はというと、お姉さんに抱き上げられて笑みを浮かべている。


「みたいですね⋯⋯。お姉さんとかなんですかね」


「いや、そういうわけじゃないんだけどね。たまたま来たあの子に懐いちまったのよ」


 血のつながりはないのか。近所の憧れのお姉さん的なあこがれに似た感情を持っているのだろうか。貴族だったからかは分からないけれど、小説の中でそんな話があった気がする。


「そう、なんですね。⋯⋯女将さんの知り合いなんですか?」


「あの子かい?そうさね、私の旧友の娘だよ」


 なるほど⋯⋯。だとすると本当の姉妹のように感じているのかもしれないな。


「⋯⋯ああ!あんたたち冒険者だったよね?」


 突然、女将さんはそう声を上げる。


「え、あ、はい、そうですけど」


 急な大声に驚き、僕はそんな返事を返すしかできなかった。女性とレイン君もおかみさんの声に驚いたようでこちらに目を向けている。


「彼らにも協力を求めたらどうだい?」


 女性のほうに向かっておかみさんはそう言い放つ。


「もう数年は前になるので、協力してもらうのは厳しいですよ」


 女将さんに女性はそう返答しつつ、会話をするためかこちらに歩いてきた。


「まあ、見かけたら声をかけてほしいくらいはお願いしてもいいんじゃないのかい?⋯⋯今までずっと空振りだったんだろ?」


「まあ、そうなんですけど⋯⋯」


 女将さんと女性は会話を繰り広げている。⋯⋯僕らが聞いていていいんだろうか。

 そしてしばらく会話した後に、女性が僕らのほうを向いて声をかける。


「聞こえてたと思うけど、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいい?」


「協力してほしいって話でしょうか?⋯⋯内容次第ですけど、できることならいいですよ」


 聞こえはしていたけど、内容はわからないのでそう返事をする。協力については僕にできる範囲なら手伝うつもりだ。後ろでフィールが、受けるのはいいですけど信用しすぎには気を付けてくださいね、と小声で話しかけてきた。

 まあ、悪意があったら困るから注意はするが出来ることなら手伝いたいと思ってしまう性分なのだ。それをフィールも分かっているから気を付けてと言ったのだろうけど。


「いや、そんな大変な頼みはしないけど、私の弟についての情報を聞けたら教えてほしいってだけ。⋯⋯冒険者の仕事してる中で記憶の隅に刻んでおくくらいでいいから」


「弟さんがどうかしたんですか?」


「数年前から行方不明になっちゃってね。ずっと探し回ってるの」


 ⋯⋯なるほど、で見つからなかったから空振りと言っていたのか。と内心納得しつつ、いいですよと返しておく。家族が行方不明になっちゃってるというのは辛いことなんだろうと思う。⋯⋯ほぼ家出状態の僕が言っても、ではあるけど。


「ありがとうございますね。覚えてたらくらいの気持ちで結構ですのでよろしくお願いします」


「分かりました。⋯⋯無事に見つかるといいですね」


「はい。⋯⋯本当にそうです」


 僕の言葉に女性はそう返して、ではよろしくお願いします、とだけ言って宿から出ていくのだった。


宵「難産でした」

イ「一度書き始めたら一話書ききるくらいの気持ちでいかないとだめだねぇ」

宵「本当にそう、忘れる」

イ「プロットは?」

宵「⋯⋯大まかなあらすじは作ってる」

イ「一話ごとに作ろうよ⋯⋯」


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