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遠い世界より  作者: 半額もやし5円
2/2

冒険者ギルド

よろしくお願いします。

 


「は?」



 俺は大きな壁と門を見ながら困惑の声を漏らした、馬車はどんどん進み門の前に出来た列に並ぶ、アレンが兵士の様な人と何か話しているようだ。



「そう言えばあんた通行許可証は持ってんのかい?」



 俺の困惑を余所にレーナは質問するが答えるほどの余裕は無かった。



(ここは日本ですら無い?いや、だがレーナやアレンの話している言語は日本語だよな…、)



「聞いてんのかい?」



(いや、落ち着け、それは今考えても仕方ない、取り敢えずは目前の事からやって行こう、後からゆっくり考えればいい。)



「すみません少し考え事をしてました。」



「あんたの事なんだよ?それで通行許可証は持ってんのかい?」



「通行許可証?」


 門を通る時に許可書が居るのだろうか、勿論俺は着の身着のまま森に転がっていたのでそんな物持ち合わせていない。


「はぁ、んな事だろうと思ったよ、仮許可証は銀貨1枚で作れるけど金は持ってんのかい?」



「持ってないですね。」



「あんた本当に丸腰なんだね…。」



 少し哀れの目線で見られるが無いものは無い、仕方ないのだ。


「ここで会ったのもなんかの縁だね」


 そう言ってレーナは小銭の様な物を投げ渡してきた、俺がまじまじと観察していると。


「あんた銀貨の形も忘れたのかい。」


 どうやら銀貨の様だ、だがこんな物が本当に使えるのだろうか、ここが外国の何処かで通貨として使われている可能性もある、そうだとしたら先程の話を聞いた限りだと銀貨はそこそこの大金だよな。



「こんなの預かって良いんですか?」



「今度ちゃんと返しに来なよ」



 少しレーナは照れ気味に返答した、少し前から思っていたが彼女はかなりお人好しなのだろう、可哀想な人とか思ってごめんなさい。


 心の中で謝罪していると兵士と話し終わったであろうアレンが声を掛けてくれた、いつの間にか列の1番前まで来ていた様だ。


「仮許可証を発行して貰うんだろ?ならここでお別れだな。」


 先程の話を聞いていたようだ、発行に少し時間がかかるのでここでお別れと言う事らしい。


「兵士が案内してくれるだろう。」


「はい、アレンさんレーナさんお世話になりました。」



「おう、冒険者になれば通行許可証はいらねぇし暫くは食えるだろ、まぁ困ったら来い。」


「そうだよ?困ったら来なよ〜!」



 最後に世話になった2人に礼を言い、本当に冒険者などという職業があるのだろうか、薬草採取はあると言っていたが他には何をするのだろう、と思考する



「仮通行許可証の発行はこちらです、どうぞ。」



 そして若い男性の兵士に隣の窓口へ案内された。



「ではまず犯罪歴の確認するんでその水晶を触ってもらってもいいか?」



 案内された窓口のおっさん兵士に指示され水晶を触る、すると白く輝いた。

 


「犯罪歴無し、と、次に名前と出身地を教えてくれ。」



 名前も出身地も記憶が無いので何とも言えない、下手に嘘をつくのもバレる気がしたので本当の事を言う。



「実は記憶が無くて、森で歩いてる所冒険者の馬車に見つけてもらってここまで来たんですよ。」


「名前も覚えてないのか?」


「はい。」


 やはり少し疑って居たので冒険者と言う職業が本当にあるのか自然と出してみたが特に何も言われない、本当に職業としてある様だ。


「まぁ良いだろう、犯罪歴は無い様だし問題は無いか、じゃあ最後に銀貨1枚必要だが持ってるか?」


「はい。」



 俺はレーナに貸してもらった銀貨を出す。



「よし、次からここ通る時は通行許可証が無いと毎回銀貨1枚取られることになるからな。」


「はい、ありがとうございました。」



「あ、待ってくれ。」


 歩き始めようとすると呼び止められる。


「初めて来る奴には必ず言わねばならん事があるんだ。」



 おっさん兵士はコホンっと咳をした後に続けた。



「ようこそ、レイナの街へ。」


 おっさん兵士は恥ずかしそうに言った後に後ろつかえてるから早く行けと手を振った、最後に礼を言って門を潜る。




「おぉ!」


 門を通った先ではかなりの量の人と屋台、それに武器屋や酒場など男心をくすぐる店が所狭しと並んでいた。



(まぁ金ないから何も買えねぇけどな。)


 俺は自傷気味にそう言う、それにまだ昼だが夜になれば寝る場所も無い、何よりも早く金を稼がなければならなかった。


「冒険者ギルド、行ってみるか。」


 特に行く宛があるはずも無く先程会ったアレンとレーナの言葉に従い冒険者ギルドを目指す。


 けど場所なんてわからん、適当に聴くか。

 そう思い剣を腰にさげた若い男性に声を掛けた。


「少しいいですか?」


「お?どうした?」


 気の良さそうな人で良かったと安心しつつ質問を口にする。


「冒険者ギルドの場所が知りたくて。」


「あぁ、そんな事か、あそこの飯屋を右にずっと行けば盾と剣の交わった印が見えてくるからそこだな。」


「ありがとうございます!」


「いいって事よ!」


 ニッと笑いながら答えてくれた、アレンやレーナ、兵士にこの人、良い人が多いい様で助かった、言われた通りの道を15分程歩いていると盾と剣の交わった印が見えてくる、意外と近くにあった様だ。


 かなりガヤガヤしていて入るのに一瞬戸惑ったがここでグズグズしていても仕方が無いと思い覚悟を決めて足を踏み入れる、そこには剣を担いだ大男やビキニアーマーと言うのだろうか、露出の多い服を着た女性など様々な人が活気に溢れた様子で酒を飲んだり窓口で仕事を貰っていたりなどした。


 俺はキョロキョロしながら絡まれるんじゃ無いかなどと思いつつ窓口の列に並ぶ、そして周りを見ているとすぐに列の1番前になった。



「ようこそ、ご依頼ですか?」


 美人と可愛いを両立した様な受付嬢が俺の格好を見て冒険者では無いと判断したのか質問する。


「いえ、冒険者になりたくて来ました。」


 俺はそのままの事を受付嬢に話す。


「解りました、では登録手続きを始めます」




 それから仮許可証の時に触ったような水晶に触れ鉄のカードのようなものを貰った。



「こちらがギルドカードです、ステータスと発言されるとステータスがご覧になれますのでお持ちください、冒険者ギルドの説明などは聞かれますか?」


 手続きと言えないような物に驚く、ギルドカード言われた物を見ると名前の部分が無登録となっている、こんな物でいいのだろうか、ギルドの説明はレーナから粗方聞いているが一応聴く。


 14歳以上、犯罪歴が無ければ冒険者登録は誰でも可能な様だ。


 階級はレーナに聞いたものだった、だが他にギルド外の冒険者の争いにギルドは一切手出ししない、や死亡した場合の責任を取らないなど聞いていない事も多々あった。



「これにて説明を終わります、冒険者ギルドへようこそ。」



 10分程で手続きを終え後ろに並ぶ男性に押しのけられるように列から出た、それにしても死亡した場合の責任を取らないとは死の危険があるのだろうか。



「あれがクエストって奴か。」



 ギルドの受付嬢が説明していた仕事の取り方はクエストを選びそれを受け付けに持っていくだけの様だ、ちなみに俺はまだ駆け出しなので薬草採取などの簡単なクエストしか受けられないらしい。


「何にせよ金だな。」


 俺はそう呟いてクエストを貼り付けたボードの様な板を見る。


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