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遠い世界より  作者: 半額もやし5円
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プロローグ

よろしくお願いします。

 


 チュンチュン…。


 んー。。


 チュンチュクチュンチュン!



「うるせぇわ!ってあれ、森?」



 目覚めた俺の目に1番最初に飛び込んで来た物は視界を埋め尽くす木と小さな泉だった、何故ここで寝ているのか解らず昨日の事を思い出そうと頭を回転させる。



「あれ。」



 何故か解らないが昨日の事が思い出せない、いや、昨日以降の事も同様にそれ所か自分の名前や住んでいた県、家族の名前などもまったく思い出せない、だが地球の日本で生活していたと言う実感や流行っていたアニメに日本文化などは覚えている、俺自身の記憶のほぼ全てがスッポリと抜け落ちた様な感覚だった。



 チュチュチュチュチュン!!



 現状に恐怖していると僅かな間大人しかった糞鳥がまた騒ぎ出した。



「まぁ考えてても仕方ないか、とりあえず森を出て人を探した後に病院なり行こう。」



 そう思い俺は糞鳥の止まった木をめいいっぱい揺らし、歩いてれば道路か何か見えてくるだろうと思い歩き始めた。













「ふぅ。」



 どれほど歩いたのか、特に変わった事も無く1時間ほど歩き続け慣れない山道に苦戦して疲れてきたので少し休憩しようかなと思った時だった。




「ギィギィ」




「っ!」


 奇妙な鳴き声が聞こえ鳥かと思い視線を向けた先にそれは居た、棍棒を手に持った7歳児ほどの背丈で緑色の肌の醜い外見をした化け物だった、幸い向こうはこちらに気が付いては居ないようなので木の枝などを極力踏まないようにして少し大きい木に隠れた。



 なんだよあれ!?UMAか?森の妖精には見えねぇし…。



 息を潜めつつ考えているといつの間にか化け物は消えていた、だがすぐに動く事が出来ず20分ほどその場で辺りを警戒し、もう一度歩き始める。


 先程の化け物の事を考えながら暫く歩くと整備された道が見えてきた、車の走るような道では無いが何処かの田舎なのだろうか。


 ガラッガラッ。


 僅かに何かが転がる様な音を聴き視線を向けると馬車が見えた、馬車?もしかしたらここは日本ですらないのかもしれない、いや、日本の何処かに馬車を使っている場所がある可能性もあるのか?



  「お〜い!」


 そんな声に意識を引っ張られ馬車をもう一度確認するともうかなり近くまで来ている様だった、そして馬車から手を振り呼び掛けている男性が目に入る。


「こんな所を丸腰でどうした?新入り冒険者か?」


「はい?冒険者?」



 アニメやゲームなどでよく聞く架空の職業を口にする男、よく見ると腰に剣の様な物を帯びている、あぁ、なるほど馬車に剣それに冒険者、つまりあれだ、可哀想な人なんだろう、馬車を見る限り親はかなりの金持ちなんだろうな、それも恐らく関係しているのでは無いだろうか。


 俺はそんな推理をしつつ、ふと俺も記憶喪失の迷子って可哀想な人の分類に入るのでは無いだろうかと思い頭を振る、そして考える事を放棄した。



「冒険者じゃないのか?街まで戻るんだったら乗せてってやるよ。」



 そう提案される、確かに今はこんな状況だ、頼れる人はこの人以外に居ないだろう、少し恥ずかしいがこの馬車で人のいる場所まで乗せて貰う。



「ありがとうございます、乗せてもらってもよろしいでしょうか?」



「おう、俺の連れが乗ってるが気にしなくていい。」


「解りました、ありがとうございます。」



 どうやら後ろにも人が居た様だ、似たような人なのかなと思い2度目の礼を言った後乗り込むと黒いローブを着た女性と目が合った。



「あ、ども。」



「。」



 まぁそりゃそうだ、いきなり馬車に乗ってたら知らない人が入ってくるのだからこんな反応にもなるだろう、まず馬車に乗るという事自体俺には初体験なのだが。


 する男性から声が掛かった。


「すまんレーナ、そいつ街まで帰るらしいから一緒に乗せて行く。」


「はぁ、また?」



 よくある事なのだろうか、2人は暫く言い合っていたがレーナと呼ばれた女性が申し訳なさそうにしている俺に気付き辞めた。


「ごめんごめん、あんたが悪い訳じゃ無いよ。」


「あぁ、なんかすみません。」


「私こそ悪かったねっと遅れた、私はレーナ、シルバー級冒険者だよ、あのむさ苦しいのがアレン、あんたは?」


 やはり二人とも冒険者(笑)だった、剣や格好で大体予想は付いた、それより「あんたは?」と聞かれたものの名前が思い出せない、考え込んでいると不思議に思ったのかレーナが話しかけてくる。


「どうしたんだい?考え込んじゃって。」


「いや、実は記憶が無くて…、気が付いたら森で転がってたんですよね…。」



 俺が困った様にそう告げるとレーナは少し驚いたような顔をして質問する。



「じゃあ自分の生まれた街の名前は?親は?」


「それもまったく覚えてないんです。」



 レーナは「困ったねぇ」と言いながら帽子の唾を触る。



「じゃあこれからあんたどうするんだい?」


「病院に行って治療受けるとかしか現状無いですね。」


「病院?」



 あぁ、なるほど、ふぁんたじーな世界と言う設定なのだろう、面倒だから暫く話を合わせるか。



「協会ですね、治療して貰えば少しは記憶が戻るかなと。」



「記憶を戻す治療魔法は聞いた事が無いけどねぇ…、まぁもし金にでも困ったら冒険者ギルドにでも来な、薬草集めるだけでも金にはなるだろうさ。」





 それから馬車の中でレーナに妄想という名の常識を教わりながら進む、意外と設定がちゃんとしていて聞く分には楽しかった、まずお金の価値が鉄貨100枚で銅貨1枚、銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚、金貨10枚で白金貨1枚と上がる様だ。


 4人暮らしの一般家庭だとかなり節約して金貨1枚で1ヶ月生活出来るほどのお金らしい。



 続いて冒険者の階級、駆け出しが1番下でブロンズ、シルバー、ゴールド、ミスリル、オリハルコンの順番で上がる様だ、冒険者になるつもりなら覚えとけと念を押された。



 そんな話を聴きながらしばらくすると物凄く大きな壁と門が見えてきた。





 そう、大きな壁と門である。


「は?」


ブクマ、感想お待ちしております。

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