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壊命  作者: 綾 瑜庵
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秘密のパーティ



 パーティの始まり。乾杯から始まり、儀式を行う。楽しそうな表情(かお)を見る度、ここ(・・)がどんな場所なのか分からなくなる。


 ここは会員制。十代で、破壊行為を好む奴だけを『限定』に作り出した破壊組織。二十代は三園(みその)だけだ。それ以外は皆十代全般(・・)


 床を透かし、天井の明かりを受け入れるテーブルの上にバラ()かれたクスリが強烈な存在感をアピールする。


 快感、興奮を我の物にしようと、複数の手が入り交ざり、密集を創り出す。


 『野洲(やす)もやろうよぉ』


 女達の手が伸びてきて、咄嗟に弾いた。そんな僕を見て、不快そうに去っていく。


 ここでの名前は『野洲(やす)』と名乗っている。奴らに名前を聞かれ、咄嗟に吐いた偽名だ。


 『楽しんでいるか?』


 輝かしい笑顔を振りまき、肩に手を置く。綺麗でおぞましい……。振り払いたいが、体の細胞がそれら(どくそ)にのめり込んで、拒絶する事を拒む。そんな内情を気付かれないように、無表情を作る。


 「ああ……」

 『あれ?お前飲んでねぇじゃねぇか。こんなに飲める機会ねぇぞ?遠慮すんなや』

 

 口を付けずに残しておいたカクテルに白い粒の物体を注ぐ。入った瞬間、泡になり新しいカクテルを作り出す。抵抗しながらも、一口飲んでみる。


 『どうだ?』


 目の前がグラグラしていて、酔っているような気分に陥る。脳裏に漂いながら、快感へと刺激を与え、自分のものとする。


 僕の体が宙に浮き、天井を突き抜け、大空へと旅立つ。体のパーツを補うように、支え合う、もう一人の僕。


 周りに人がいるなんて考えられない。

 ここは僕の世界。

 僕だけの為に作られ、僕の為だけに存在している世界。


 ≪抵抗しないで、受け入れるんだ≫


 耳元に、息と共に居心地のいい声が囁きかけ、最も良い位置へと導く。キラキラ輝いているものが自由を求め、僕の中へ滑り込んでくる。


 ――自由なんてないのに。


 

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