第7話 とある人物たち
「おはようございます。十一月二十日、日曜日となりました。ニュースの時間です」
暗闇の中。
一台の液晶テレビが点いていた。
「昨夜十一時頃、某町のコンビニエンスストアーで血痕と、被害者の所持品らしきものが発見されました」
女性キャスターが最近の出来事を語る。
画面が切り替わり、場所は現場とおもしきコンビニが映る。
再びキャスターが話だした時。
テレビの映像がブツリ、と消える。
少し離れた位置に、人が椅子に座っていた。
三十代くらいの男だ。白髪混じりの茶色の髪。血色が優れない顔には、細く鋭い濃褐色の眼が二つ。
机上に置かれるリモコン。
机に両肘を立てて寄りかかり、両手を組んで口元を隠す。
「……さて、この事件――いや、事件と呼称するにもお粗末なこの件を、キミはどう思うかね?」
ソファーに腰を掛ける人影に、男は話をふる。
腰まであるプラチナブロンドの髪が美しい女性だ。
女性はマッチを擦って火を灯す。と、そこへ葉巻を近づけてた。
「決まっているよ、ミスター。頭の悪い奴が起こした、最悪のお遊びだよ」
用がなくなった火を消して、すぐ側にある灰皿へと捨てる。
紫煙を燻らせる女性。
男はその答えを聞き「そうか」と、呟いた。
「ところで、ミスター」
葉巻を加えたまま男を呼ぶ。
男は返事をせず、視線だけを向ける。
「先日、そちらの配下と我が部下の接触および交戦について、ですが」
「その件については、こちらの不始末でした。部下にはきちっと言い聞かせ、二度とないように致します。それでよろしいでしょうか?」
淡々とした謝罪を述べた。それに感情が込もってあるないは別として、女性はその言葉を受けとる。
と、女性は立ち上がり部屋の出入り口へと向かった。
その近くに控えていた初老の男性が、扉を開ける。
「では、私はこれで失礼する」
振り向くこともなく、女性は退出した。
それを追うように男性も部屋から出ていく。一礼を忘れずに。
扉を見つめ、男は溜め息をつく。
そして。
「――次はないように頼みますよ」
男以外に誰もいない空間へ喋りかける。
すると、どこからか一人の女が現れた。
赤銅色の長い髪。黒いパンツスーツ姿ではあるが、ジャケットの下はなにも着用していない。いわゆる、裸ジャケットというやつだ。
「そうさな。次は、向こうから手を出させるようにするかの。そうすれば問題はなかろう?」
「大有りです。我々でなく教会からでも、戦闘は回避してください。国際問題になりかねませんからね」
ニィ、と悪い笑みを浮かべる女。
が、すぐに諭される。それを聞き「なんじゃ、面倒じゃの」と、こぼした。
「ええ。とても面倒です。だから、揉め事になりそうな場合は避けてください」
もう一度釘を刺すも、女は適当な返事をするだけ。
男は頭を抱え、再び重い溜め息を吐く。
「室長……早く帰ってきてください」
私では無理です。
男――室長代理は愚痴った。