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久多良木いらはと麗しき女性  作者: 己己己己
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第11話 日曜日の仕事

 本日の職場は平和である。

 つまり、暇である。

 現時点での売上げは三万ちょい。イベント時期ではないので、お客さんが少ないのだ。諦めよう。うん。

 なので、今日もお掃除をしよう。

 ドアを磨いて、壁を拭いて。床のゴミを掃いて、汚れを落として。あとソファとテーブルも。これらのことを一部屋丸々すると、大体一時間はかかるかな。多分。考えるとやる気が萎えてくる。けれど、時間潰しには持ってこいだ。

 しかし。


「……やる気でなーい」


 そう。やる気が出ないやのだ。

 昨日、二十時過ぎからお客さんの入が増え、さらに注文も多かった。フードよりもアルコールの量が凄いのなんの。おかげで売上げが三十万越えました。ありがたやありがたや。 その反動なのか、全く身体が動かないのだ。要するに、今日のお仕事はのんびりしたい、だ。

 でも、お客さんには関係ない。

 各部屋に設置してある電話(インターフォン)から連絡が入る。


「はい。フロントです」


 男子社員の轟くんが受話器を上げ、部屋のボタンを押した。そしてPOSレジ画面をタッチして、お客さんからの注文を入力をする。この入力が終わったら、調理場にある機械から注文表が発行さるのだ。


「はい。ハイボールをひとつ……と、生中ジョッキをひとつ。以上で……はい、畏まりました」


 受話器を戻したと同時に、注文表がきた。

 発行され紙を破り、私はタンブラーに氷を詰める。そして、軽くマドラーでかき混ぜてグラスを冷やす。そこにウイスキーを注ぎ、再びかき混ぜる。ドリンクサーバーの炭酸水をウイスキーよりも多めに入れて、最後にまたマドラーでかき混ぜるのだが。最後のグルグルではなく縦に混ぜて、ハイボールのできあがり。

 次は生中ジョッキなのだけど。


「はい」


 と、轟くんから生中ジョッキを渡された。

 それを受け取り、お盆に乗せてお客さんがいる部屋へ向かう。

 有線から流れる曲。懐かしの曲から最新曲まで色々と放送してくれる。たまにアニソンが聴けるのでその時は、誰もいないフロントで一人口遊(くちずさ)んでたり。もしくは、見入ってたりする。 え? なに? 仕事中だろ、って? いえいえ、ちゃんと仕事してますよ。フロント周りを掃除しながら。

 目的の部屋に辿りつくと、ノックを二回する。老若男女問わず大体のお客さんは、ミュージック音とマイク音を上げるので音漏れがしている。中には内部設定を弄れる方もいるので、ハウリングが起こったりも。この仕事をしてあのキーン、と鳴る音の名前と原因も教えてもらった。のに、なんでお客さんは内部設定を変更できるのを知ったのだろうか。と、疑問を抱いたこと店長と轟くんに話したことがある。


「多分ネットで調べたんだろうな」


「可能性はありますね」


 と、返ってきた。

 スマホで探せば確かに。画像付きで詳しく説明されている。 ネットは便利だけど恐ろしいな、と思ったのは私だけかな?

 脱線から戻って。

 ドアを開けて「失礼します」と、一声かけて入室する。

 およそ八畳くらいのスペースに、ソファとテーブル。壁掛けタイプの液晶テレビ。その近くに低めのステンレス棚に、カラオケ機器が置かれている。部屋の中央部にあるテーブルに、お盆に乗っているハイボールと生中ジョッキを移動させた。

 一人は歌い、一人は不在。きっと手洗いに行っているのだろう。

 品を提供したので用はない。ので、さっさと退室する。


「失礼しました」


 一礼して、フロントまで帰る。途中にあるドリンクサーバーとコップ等をチェック。お客さんが返却したマグカップやコップがよくあるため、それを道中回収するためなのと。カップ、コップのケース内の整理。あと、サーバーの売り切れ確認も。 お客さんが返却したマグカップやコップがよくあるため、それを道中回収するためなのと。カップ、コップのケース内の整理。あと、サーバーの売り切れ確認も。

 返却されていた、もしくは放置されたコップが三つ。底の方にオレンジジュースらしき液体が残っている。これらを持って、厨房のシンクまで直行。さっと洗って、食洗機のラックに並べる。 さっと洗って、食洗機のラックに並べた。

さっと洗って、食洗機のラックに並べた。

 濡れた手をタオルで拭う。

 と、パソコンに向かって打ち込み中の轟くんの背中が見えた。あれは売上げの入力だろう、多分。そのうち覚えなければいけない作業のひとつ。だが、その時までは絶対に手は出さない。商品発注だけでも一杯一杯なのに無理。だから、轟くん頑張れ、と応援してるよ。心の中で。サムズアップして。


「あー……目が痛い。疲れる」


 だろうね。パソコン画面だけでも目に負担かかるのに、さらに細かい数字を確認しながらだから余計だろう。 彼の背中に合掌し、お疲れさまと念を送る。

 と、アホなことしてないで仕事だ仕事。

 トイレチェックせねば。トイレットペーパーを持って、いざトイレに。

 男子トイレのドアをノックしてから開ける。が、その前にお客さんが使用してないかチラ見しておこう。流石にマズイからね。変態扱いされたくないし。一部例外はあるけど、それは二次元なのでカウントはなしで。


「……よし。いない、な」


 誰も使っていない。これで普通に入って、トイレットペーパーの補充ができる。

 女子トイレは関係なくバンと行って、補充とサニタリーボックスをさっと見る。ボックス内にある物を黒い袋ごと出し、新しいのと交換して終了。袋の口をくくり、厨房内にあるゴミ箱にイン。

 二十四時と閉店後にまたするだけ。

 ハンドソープで手を洗い、流す。またタオルで拭いて完了、と。

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