「…オマエ、もらいゲロとかする?」
「…アンタ達、いつからいたの?」
約束の時間にビビアンが待ち合わせ場所の駅へ着くと、エイジ達3人はベンチに座り、列車のパンフレットを読み、駅弁を食べあさっていた。
「おっせーよおまえ。乗り遅れたらどうすんだ」
「まだ出発まで15分あるわよ…」
「何があるかわからないんだから1時間前行動は基本だろ」
「気合い入りすぎでしょ~」
すでに空の弁当箱を山積みにしているが未だ弁当を食べ続けているリノアですら、エイジの気合いの入った行動に引いていたようだ。
「てかおまえの連れがまだ来てねーぞ」
「連れじゃないんだけど、そこら辺にいると思うわよ」
「あんな目立つ赤髪、気付かないわけないだろ」
「…どうせいるんでしょ、出てきなさいよ」
そう言うとビビアンは、列車のチケットを配りだした。
「…おまえ何言ってんだ?」
「はい、アンタの分」
エイジ、リノア、ブレイクへ配ると、ベンチに座っていた3人の頭上にチケットを差し出した。
「あ、ありがとう…」
「!!?」
いつの間にかエイジ達の背後にいたイオンはチケットを受け取った。が、その存在に全く気付かなかったエイジ達は驚きを隠せなかった。
「おまえ、いつからそこにいたんだ…?」
「えっと…あはは…」
「小心者だから1時間前行動してたんじゃないの?」
そう言うと興味なさそうにビビアンは先に改札を通っていった。
「…あいつ何であんなに感じ悪いの?」
「あはは…」
「オレ達も行くか」
「あ、片付ける。待って」
散らかした弁当箱を全員で片付けたあと、イオンに教わりながら改札をくぐった。
「…すげぇ」
「このチケットまだ使う?」
「あ、出るときにまた改札に通すから…」
「席って決まってるのか?」
「自由席だから空いてるところに…」
「コラルリーフ探す?」
「誰?」
「うちの班の…」
「別にいいんじゃね?おれらと一緒にいたくないだろ」
「君はどうする?」
「あ、えっと…一緒にいてもいい、ですか…」
「オッケー、おれ窓際なー」
「あ、オレも窓がいい」
「わたしエイジの隣にしようかな」
「あ、えっと、俺は…」
「ブレイクの隣でいいだろ」
「う、うん。あ、ありがとう」
エイジ達はそれぞれ空いている席に座った。
「…オマエ、もらいゲロとかする?」
「え、えーっと…ば、場合によるかも…」
「…そう。」
その会話を最後に2時間半、ブレイクとイオンの間には会話は一切なかった。