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真実そして…

第弐話 「真実そして…」



桜井さんはこちらを向いたまま黙っていた。やはりストレートすぎたのだろう…

「賢者の石…」

彼女は一言だけ言った。

「えっ?」

「すべては賢者の石が始まり…」

彼女は何を言っているんだ?賢者の石?なんだまたその、アニメやマンガに出てきそうな名前の石は…?

「賢者の石は全ての始まり…地球も生命もそこから誕生した…それは存在の源…」

「存在の源?」(心中)「こいつは何を言っているんだ…?」

「モノがモノであり続ける為の石…それを私達変換者は賢者の石と呼んでいる…賢者の石を奪い取って地球を黒く染めようとしている組織…それが、ノワール・テラ(漆黒の地球)…」

「…簡単に言うと?」

「賢者の石をノワール・テラから守る事が私達の使命…それは代々受け継がれて来た…」

ノワール・テラ?なんだそれは…?そんな組織聞いたことないぞ…まぁようするに、何かの石を代々守っているんだな…そして、昨日の赤目の中学生はそのシタッパーズ…!これはおもしろい!

「わかった…?」彼女は静かに聞いた。

「あぁー うん…分かったよ… ありがとう」僕は席に着こうと歩き出した。すると、制服の裾をクイクイっと引っ張られた。

「んっ?どうしたの?」

「まだ…あるの…」

「へっ?」

「私…人殺しじゃない…あと…そんなにおもしろくない…」

「な…なんで、思ってる事が分かったの?」

「そう思ってると…思ったから…」

こいつ…人の心の中覗いているんじゃないか…?

「あぁ…そう…」僕はそれくらいの言葉しか返せなかった…


その後席に着いた。数分間ボーっと空を眺めていた。10分ぐらいして皆が続々と登校して来た。その後もする事が無いので、辺りをボーっと眺めていた。桜井さんはまた男子に囲まれていた。それから数分後、


キーンコーンカーンコーン


学活開始のチャイムが教室に鳴り響いた。教室は皆が席に着く音でいっぱいになった。皆が座った直後、


ガラガラガラ


先生が入ってきた、昨日とほとんど同じ服装だ…着替えているのだろうか…?

「えーと それではー 号令ー」


きをつけー れー


おねがいしまーす


「えーと、今日は小倉さんが休むとの連絡を聞いています。このごろ風邪がはやっているので皆も気をつけるように!では先生からは以上です。はい 号令。」


きをつけー れー


ありがとうございましたー


さて、つまらん学校の始まりだ…なぜ義務教育などあるのだろうか…不満だ…まぁしかたないが…

午前中の授業…正直言ってダルい…と感じていたが、今日は早く起きたのでそうでもなかった。でも授業自体はつまらない…僕は時々桜井さんを見たが、彼女は普通に授業を受けていた…

あっという間に時間は過ぎ、昼食になった。今日はいつもの購買のパンではなく、家から持参した物だ…おじさんの料理はマズイとは言わないがおいしくもない…

桜井さんは、一人でチョココロネを食べていた。



昼休み、僕は暇なので席に座ってボーっとしていた。時々空を見たり、桜井さんを見たりしていた、桜井さんはまた朝読んでいた本を読んでいた。



午後の授業、昼の後なのでとても眠い…しかも僕の席は窓側…太陽光の照りつけがますます眠気を誘うぅ… コクッ コクッ コクッ… ハッ!危ない!危ない!

その頃桜井さんは、普通に授業に集中していた。僕もこうしてはいられんという気持ちになった。 

午後の授業が終了し、掃除の時間がやって来た。この時間が一番おちつく…先生が見ていなければ十分サボれる…


キーンコーンカーンコーン


掃除終了のチャイムが鳴った。とうとうこの時がやって来た!

帰り学活、先生の話が少しあり終了した。これから下校だ!帰るぞ!と、教室のドアに向かって歩き出したその時また、クイクイッと制服の裾を引っ張られた。桜井さんだ。

「今度はなんだい?」

「待って… 私も行く…」

へっ?私も行く?という事は…一緒に帰ろう?って事だよ…な?こっ…これは!

我が世の春が来たーーー!

「いい…?」 

「えっ?あぁ、いいのなんのって!全然大丈夫!」

彼女は少し笑って先を歩き出した。

昇降口まで行くと、彼女はもう外に出ていた。僕はスニーカーに履き替えて外に出た。

「いこ…」と彼女がつぶやいて歩き出した。しかし、今思えば彼女の家は何処なのだろう?僕の家の近くなのかな?でも桜井さんと帰れるんだからいいかと思いながら彼女の後ろを歩いた。


20分ぐらい歩いた時にあの広場に出た。よく見るとだれかが立っている。

あれは…

「小倉さん…?どうしてあんな所に?」とつぶやくと、「離れて…」と彼女が小さい声で言った。

「えっ?」 「彼女は昨日までの彼女じゃない…だから離れて…」 

「どういう事だよ!」と僕が言った次の瞬間、パキーンという音と同時に広場の地面は凍りつき、地面からは鋭い氷柱が数本突き出してきた。

「フフフフフ…」小倉さんが不気味な笑い声をだした。

「小倉さん!どうしたんだ!今日は病欠のはずだろ!」僕は叫んだが、彼女は聞いていないようだ。すると、氷柱を一本取り槍状にして僕めがけて投げてきた。一瞬の出来事だった。

横から桜井さんが僕を押し倒した。

「イタタタタ…」僕は起き上がると彼女の背中に目が行った、怪我をしている。

そう、彼女は自分を犠牲に僕を助けてくれたのだ。

「桜井さん!大丈夫?血が出てるよ!早く手当てしないと!」僕が慌てて彼女を起こすと、

「大丈夫…かすっただけだから…それより…隠れて…」 

「あらあら、そんなイケメンでもない男子をかばうなんて…」彼女はまるで昨日とは別人だ…

「あなた、その子をかばいながらいつまでもつかしら…?いくわよ!」次の瞬間、無数の氷柱槍が僕らめがけて飛んできた。桜井さんはとっさに落ちていた枝を手に取り、日本刀に変換した。

彼女は驚くべき速さで日本刀を振り、氷柱槍を粉々にした。

「ふーん…なかなかやるようね… でも今度はどうかしら!」小倉さんが地面に手の平を付けると、地面の氷が無くなり普通の砂の地面に戻った。彼女はうしろのポケットからペットボトル入りの砂を取り出しふたを開けた。彼女はそれを空中へ放り投げ、ペットボトルの砂が空中に舞った。彼女はもう一度地面に手を付けて変換した。彼女の周りから凍りつき始め、ペットボトルの砂が僕らめがけて降り注いだ瞬間、氷に変わった。桜井さんの足は地面に凍りついてしまった。

「フフフフフ…これであなたは動けないわね…」小倉さんがだんだん桜井さんに近づいて来る。

桜井さんは必死に足を抜こうとするが、氷はそう簡単には壊れない…

僕はダメもとで叫んだ。「誰かー!誰かいませんかー!助けて下さーい!」しかしその声は広場にこだましただけで返事など無い…

小倉さんは僕の方を見て、

「フフフフ…あなた何も知らないの?この中は異世界になっているのよ…そんな声が届くはずないじゃない?」

異世界?ここは…異世界なのか…?

「土産話にいい事を教えてあげる。私は偉大なるノワール・テラによって変換能力を授けられた、特殊変換者なのよ!」

特殊変換者…?桜井とは違うタイプなのか…?

「あぁ、言っとくけどそこにいる彼女とは変換の仕方が違うけどね…彼女は賢者の石の力で変換してるけど、私達特殊変換者はそんなのいらないのよ!アハハハハ!」

賢者の石、今朝桜井が言っていた石の事か…石にはそんな力があったのか…

「喋りすぎたみたいね…じゃあそろそろ、楽にしてあげるよ!」小倉さんが言ったと同時だった、


パキーーン!


という音がした。僕は小倉さんの後ろを見た。

桜井さんは小倉さんが喋っている間ずっと持っている日本刀で足の氷を削っていたのだ。


「あ…あなた… ちぃ! ならば!」小倉さんは氷柱槍を手に取り、今度は投げずに振って戦い始めた。しかし、桜井さんはその攻撃を見事なステップでかわしている。

「負けられないのよ!あの方にお褒めのお言葉をもらう為にぃ!」小倉さんが叫んだ瞬間、


ザシュッ!


と音がした。小倉さんの氷柱槍が桜井さんの左腕をかすめたのだ。桜井さんの制服の袖はパックリ開いて、腕には切り傷が… 桜井さんはバックステップして距離をとった。左腕からは血が流れ出していた。

「フフフフフ、この調子で行くわよ!」小倉さんは氷柱槍を構えて間合いを一気に詰めた。

桜井さんは落ちていたもう一本の枝を手に取り、変換した。今彼女の手には二本の刀がそう、

二刀流である。

桜井さんは走ってくる小倉さんを刀で受け止めて、払った。

小倉さんはゴロゴロ転がり、僕の方に来た。小倉さんは僕の目の前で止まり、立ち上がった。

「あなた、ちょっと協力してもらうわよ。」と言い、僕を人質にし、僕の首元に氷のナイフを突きつけた。

「あなた!これが見える?この子を助けたければ、おとなしく私の言うことを聞きなさい!」

桜井さんは構えていた刀をおろし、こっちを見ていた。

「いい子ね…じゃあまず、その刀を解きなさい!」桜井さんは言うとおりに刀をもとの枝に戻した。その時だった。

小倉さんは僕を蹴り倒し、桜井さんへ接近した。ヤバイ!やられる!と思い僕は見ていられなかった。


ドスッ!


という音が聞こえた… きっと桜井さんが刺されたのだろう… 僕は恐る恐る目を開けた。

しかし、予想とは違った。小倉さんの背中からは刀の先が見えていた。

「あ…あなた…いつの間に…」小倉さんは苦しそうな声で桜井さんに聞いた。

「私…反射神経はいい方…だから…」桜井さんは小声で答えた。

小倉さんは少し笑った後、パンッという音と共に光の粒になって消えた。


光の粒が消えた後、桜井さんはその場に倒れこんでしまった。僕は急いで駆け寄り、

「桜井さん!早くどこかで傷の手当てしなくちゃ!えーと…そうだ!僕の家が近いから手当てしてあげるよ。」彼女はコクッっとうなずき、立ち上がった。僕は彼女を家へ案内した。

家のドアの前に立つと、中に人の気配は無かった。どうやらおじさんは出かけているみたいだ。

僕はドアを開け、中に彼女を招き入れた。彼女に僕の部屋で待ってるように言うと、僕は急いで救急箱を探した。


救急箱を見つけた僕は部屋に向かった。桜井さんは部屋の真ん中で正座していた。

僕は救急箱を彼女の横に置き、箱を開けて消毒液とガーゼを取り出した。

「腕見せてみて」と僕が言うと、彼女はスッと腕を差し出した。傷は結構痛そうだった。

だが、彼女は制服の袖をたくしあげて小声で

「手当て…してくれるんじゃ…ないの…?」と言ったので、「あ…あぁ…うん。」と答えて手当てを始めた。

消毒液をガーゼに浸して傷跡を消毒した。彼女は痛くも痒くもないような顔でこっちを見ていた。

最後に包帯を巻いて腕の手当ては終了した。

「背中の傷はどうする?」と聞くと、「自分で…できるから…」と言ったので、僕は部屋を出て行った。


数分後


「できた…」という声が聞こえたので、部屋に入った。僕は救急箱をしまおうと取っ手を持った。

すると、制服の裾をクイクイッっと引っ張られていた。何か言いたいのだろう。と僕が振り向くと小声で「ありがとう…」と言ってきたので、「あ…あぁ…なーにこんなの当たり前の事さ」と言ってみた。

救急箱を戻す時、リビングの方のテレビがついている事に気が付いた。おじさんが消し忘れたのだろう…

救急箱を戻した後リビングに行ってみると、桜井さんがニュースを見ていた。どうやら、なにか面白いニュースでもやっているらしい。

「何見てるの?」と彼女に聞いてみると桜井さんはテレビに向かって指を指して「これ…」

とまた小声で言った。


ニュースは昨日の夜、この近辺の裏路地で通り魔事件があったらしい。襲われた人の証言によると、通り魔は鎧のような物を着ていたらしい。


「へー 通り魔かー 気をつけないとなー」と僕が言うと、「ちがう…」と桜井さんが言ってきた。

「んっ?何が?」 「この通り魔…裏がある…」と言った後ちょっと間を開けて「と…思う」と付け足した。

「私…そろそろ帰る…」と言って、桜井さんは玄関に向かった。


僕は彼女を見送り、家の中へ戻った。特にやる事が無いので、テレビのチャンネルを変えてみた。でも、いい番組がやっていなかったのでさっきのニュースに戻した。


数十分経った頃、時計を見ると6時15分。やけにおじさんの帰りが遅い…どうせパチンコにでもはまっているのだろう…と思いながら部屋に戻り、ゲームを始めた。


どれくらい経ったのか知るため時計を見ると7時45分…おじさんはいつまで帰ってこないんだ。

と思いながらもゲームを続けた。


おじさんは遅すぎる…もう9時を過ぎている…

僕はしょうがないので、冷蔵庫にあった昨日の残り物を食べた。

どうせおじさんの事だから、夜中に酔っ払って帰ってくるだろう。と思い、僕はベッドに横になり、ゆっくりと目を閉じた。                        



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