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最初の街です。

中盤の会話の順番は、

「王様」

((カリィノ))

「ゴゴ」

((アマミウズ))

となっております。

 首都『ザクロアシア』での『狼破王』との戦闘を(ゴゴが)終え、拠点の街へと戻った僕たちを冒険者ギルドの仲間が泣いて、もしくは笑いながらお帰りと出迎えてくれた。

 戦闘狂の『狼破王』と戦って生還したのは史上初の快挙であり、皆が自分のように喜んでくれた。主に男が酒を浴びるように呑んでいたね。何人もぶっ倒れてたけど。死なないでね。

 その場で酒を呑めと勧められたゴゴが初めて兜を人前で脱ぐと、狙い通り、皆腰を抜かすほど驚いていた。嬉しい。

 まぁ、鬼神のような強さを何度も見せつけているゴゴに、下心を持って近付く若造は居なかったんだけどね。


 それで。


 どうしてか、僕達は普人族が統治する国へやって来ていた。

 政治的ヒエラルキーで上位に位置する人の間で『狼破王』を下した『黒鉄騎』は有名になっており、その国の王が興味を持ったので面会したい、ということらしい。

 それは良いんだけど。

 その国って言うのが僕が最初に訪れた国でして、王様が居るのが王宮のある都市テムノルンだった。


((あ~あ、行きたくないなぁ……でも王様の誘いを断わるわけにもいかないしね))

((主が行くなと言えば、行きませんが))

((んー、まぁいいよ。アマミウズさんには正体はバレてるし、モオゴさん達は行商っぽかったから居ない、はず))


 って、あ!ミスダさんも居るじゃないか!うーん……まぁ、姿を誤魔化せばイケるか。


 気は進まないけど、アマミウズさんがチクったりするのを防げばいいのだし、深刻に考える必要も無いかぁ。


((さっさと王様との面会を済ませて、観光しよう!僕、この前ここに来た時は全然見て回れなかったから))

((御意))


 そうと決まれば王宮に行って挨拶をパパッと済ませちゃいますか。


 アマミウズさんにはバレるかもしれないけど、僕の身体の特徴である金色の尻尾の先を黒く見せるようにしてから王宮へ入るゴゴについていく。

 2、3ヶ月振りの王宮は、以前は普通の猫を演じていたからか息苦しかったけど、懐かしさと新鮮さを感じさせた。

 しばらく歩くと未知の領域である、玉座がある王室の前にたどり着いた。


「……さ、ここです。『黒鉄騎』殿、御無礼が無いようにして下さい」

「ああ」


 ちなみに、ここまで案内してくれたのは聖騎士団のイケメンな団長だった。まぁまぁ強そう。

 ゴゴに頼んでミスダさんが居ないのか聞いてみると、どうやら街の中で見回りという、ある意味アイドル活動をしてるっぽい。

 テロスさんのと似た扉を開けて中へと入る。

 聖騎士団が何人か壁に並んで立っており、大臣らしき人とアマミウズさんが王様が居る玉座の斜め前に立っていた。

 あ、目が合った。面白い顔をしてる。念話で話し掛けよ。


「其方が『黒鉄騎』か。活躍は耳に入っているぞ」

((アマミウズさん、久しぶり。分かるよね?僕だよ。カリィノさ))

「……有難うございます」

((……貴方が関わっているとは、驚いたよ。久しいな、カリィノ。会えて嬉しいよ))

「なんでも『雲喰龍』を其方の武器で真っ二つにしたそうではないか。見た所、武器がないが?」

((ま、僕が居るから察しているだろうけど、『黒鉄騎』は僕の仲間だよ))

「普段は魔法で収納しております……このように」

((仲間、か。『王』としての能力で肉体強化を施しでもしたのか?))

「おお、見事な時空魔法!その武器の銘はなんというのだ」

((違う違う。アマミウズさんは「信用」しているから言うけど、この子は僕が造ったゴーレムなんだ))

「この剣は【嵐劫丸】、この矛は【碧天戟】、この大剣が【獄王】です」

((ゴーレムだと!?……ふむ、全くわからんな。なんでも『狼破王』を倒したという専らの噂だが?))

「ほほう……余程の名工によるものに違いない。良ければ紹介してはくれまいか」

((うん、そうだね。ゴゴは僕が苦労して造ったゴーレムだから、そこらへんの奴には倒されることはまず無いよ))

「いえ。これは大切な人から戴いたもので、紹介は遠慮させて頂きます」

((……『狼破王』は世界で1、2を争う実力だぞ?どれだけ強いのだ。これからは嫌でも政治の関わりを持たされるぞ?))

「そうか、ならば仕方ない。『ドルバム』国に拠点を置いているようだが、どうだ?こちらに移ってみては」

((うーん……そこは僕が介入するよ。人間サイドはアマミウズさんになんとかしてもらおうかな?))

「申し訳ない。『ドルバム』は私の故郷でもあるので」

((考えておこう。前と似たような質問だが、このゴーレムを使って国家転覆を狙っているのではないのだな?))

「はっはっは!振られてしまったか。いやなに、実のところ私は其方のファンでな。そこでどうだろう、我が国が誇る聖騎士団と模擬戦をしてみないか」

((前と似た答えだけど。まさかだよ。面倒くさいし、良いことないし。僕はどうやら人間には化けられないようでね、こうして人型の仲間が居たほうが観光しやすいのさ))

「……構いません」

((成る程、安心したよ。ゴーレムということだが、どのような作製方法なのだ?詳しく聞きたい))

「そうか!胸を借りるといたそう。どうだ、アマミウズ。最強の魔術師から見て『黒鉄騎』殿は」


 沈黙。

 傍から見ると、アマミウズさんが王様の質問をガン無視した形に。あっちゃー……大臣が凄い形相だー。

 ゴーレムについて余程知りたいんだろうね、アマミウズさんはキラキラした瞳を僕に向けたままだ。


((あの、アマミウズさん。王様が『黒鉄騎』はどうだって質問してるよ?))


 僕の言葉にハッとしたアマミウズさんは、やや慌てて答える。


「は……?え、あ……そ、そうですね、彼からは素晴らしい魔力を感じます」

「……。『黒鉄騎』殿を前に緊張しておるのか?アマミウズもそろそろ結婚せねばならん年齢であるしな。はっはっは」

「も、申し訳ありません……」


 目が笑っていない王様に、さりげなく嫌味を言われてしまうアマミウズさんであった。



 #######



 その後もアマミウズさんがしつこかったけど、ゴーレムの事をはぐらかしてから僕は外を一人で歩いている。

 いやぁ、やっとゆっくり観光できるなぁ。

 街の人はとてとてと歩く可愛いカリィノ(僕)を見てほっこりとしているようだ。可愛いよね、猫。撫でていいけど、誰も撫でない。亜人の国より少し冷めてるなぁ。

 ゴゴは置いてきた。聖騎士団との模擬戦なんてどうせゴゴの勝利に終わるし、適当に時間が経ったら戻って拾ってもらおうかな。

 だけど、その前に街を下見して、行きたい所があればゴゴと一緒に行こう!

 石で造られた建物が多いテムノルンだけど、野暮ったい感じは無く、むしろシャープだと言える。その所為か文明は発達した印象を受けるね。

 機能性が優れていると、街並みは整い、ある種の美しさを感じる。けど、まだ開発中の所が多いね。綺麗な建物はまばらだ。

 王宮から少し遠くへ行き、かつて誘拐犯(未遂)と逃走劇を繰り広げた下町に入る。なんとも怪しげな感じ。嫌いじゃないけど。


(む~。何か面白いもの無いかな~……ん?)


 その下町を歩いていると、複数の種類の人の気配が地下にあることを感知する。

 複数の種類っていうのは、魔力の質が違うって言うか、そんなこと。

 魔法《壁に耳あり障子に目あり》で地下を覗いてみる。

 ……ほほう!なるほどね、有りましたよ。


 異世界での定番中の定番の、奴隷市場が。

騎士団長と王様が自己紹介してないのはモブキャラだからです。

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