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ゴーレムの防具と武器作りです。

 正座する女型ゴーレムは全裸である。

 だからと言って興奮する訳でもない。

 僕自身が作った人形、子どもとも言えるそれに興奮するなど到底出来たものではないのだ。

 だって骨から目玉まで作ったんだよ?無理だよ。

 それ以前に、僕が猫になってしまったお陰かは知らないけど、欲情みたいな感情は全く芽生えない。

 まぁ、良いことではあるだろうけど。


「うーん、まずは名前だよね。希望は何かあるかな?」

「では、男らしい名前にして下さい。どうやら私の性格は硬派なようなので」


 硬派って関係あるのかな……

 女型ゴーレムの声は中性的というか、女と言われればそう思えるけど、声が高い男と言われても違和感はない。


「男らしいねぇ、うーん。ゴーレム、ゴーレム……ゴゴとかはどう?」

「御意。これから私のことはゴゴとお呼び下さい」

「あ、はい」


 魔法の名前でももう少し考えて名付けるというのに、適当極まりない名前になってしまった。


「えーと、服は要るよね。後は防具と武器も作ってあげたいなぁ」

「いえ、服はまだ良いでしょう。先に防具を、その後に武器をお願いします」

「あ、はい」


 なんだか主導権が握られつつあるなぁ。

 このゴーレム……いやゴゴは大物の冒険者になるぞ……!

 とふざけるのはここまでにして、防具と武器作りに入ろう。


 防具か。

 まず、ゴーレムというのがバレるのは頂けないなぁ。

 だから全身覆われている鎧とか、具足とか。顔が一切見えないフルフェイスの兜が良いかな。

 顔を見られたくらいでゴーレムとは判断しにくいんだけど、一応ね。


 素材は、僕の土属性魔法で創り出された想像上の真っ黒な鉱物。

 特筆した特徴はなく、硬く、重いということだけ。僕がそこそこ本気を出して、やっと傷付くくらいだろう。

 それを本気の火属性魔法で徐々に形を変え、加工していく。

 それと最初から一気に鎧の形には出来ませんでした。楽はさせんということかな……

 鎧のデザインは街に売ってあった高級そうな防具たちを参考にして、僕なりにアレンジしている。


 ゴゴ(全裸)の手伝いもあって、たったの二日で完成することが出来た。作成日数に相応せず、出来栄えは素晴らしい。


「おー!出来たね!じゃあ、ゴゴ。着てみてよ!」

「御意」


 具足、籠手、鎧、兜の順で出来たてホヤホヤの防具を装着していく。デーーーン!


「どうでしょうか」

「いいね!かっこ良い!」


 西洋と日本の鎧兜が混ざったようなデザインの防具だ。武骨さの中に美しさがあり、いかにも強者らしい姿。

 関節の部位は頑丈に隠されているけど、全力で動けるようようになっている。

 鈍く光を反射する防具は日本刀に共通する美しさがあって、見てるだけで惚れ惚れ。


「いいねぇ~、お次は武器だけど、何か希望はあるかな?」

「では、幾つか作っていただきますか?」

「ほう!一つだけだけじゃなく、武器を多彩に操る謎の……」

「いいから早く取り掛かりましょう。一々行動が遅いですよ?」

「あ、はい」


 どうも、いかんなぁ。こんなやり取りも楽しいけども。


 ゴゴが挙げた僕に作って欲しい武器は刀、薙刀、大剣である。

 やっぱりな、というラインナップだった。大剣は僕がリクエストした。

 あと、刀は剣にしてもらって薙刀は矛にしてもらった。

 だってねぇ。本物の刀って色々手順があるでしょ?無理だよ。


「KATANAも異世界転生ものでは定番ではあるけどなぁ……」

「主よ、郷愁に浸るのは私の武器を作ってからにしてください。さっさと作業しましょう」

「あ、はい」


 はい。作りました。

 武器は簡単に作れたねぇ、防具は人の関節の動きを踏まえなきゃいけなかったし。


 まずは長剣。銘は【嵐劫丸】。

 長さは80cm程、エメラルド色の刀身を持つ綺麗な剣。

 これは風と雷の属性魔法が付与(エンチャント)されていて、魔力を注入すれば一振りで嵐を呼べるのだ!


 お次は矛。銘は【碧天戟】。

 長さは200cm程。刃の部分は蒼く、鎬が白くなっている。柄は上品な紫色。

 水と光の属性魔法が付与されていて、魔力を注入すればアンデット系の魔物が消滅する光を放ち、水の刃が遠くまで伸びるのだ!


 最後に大剣。銘は【獄烙王】。

 厚さは5cm、長さは190cm程。真っ黒な柄の先の刀身は、黒くコーティングされていて芯からマグマのような赤が浮き出ている。

 火と土と闇の属性魔法が付与されていて、魔力を注入すれば一撃で周囲の敵に衝撃が連鎖し、爆発する!つまり大量破壊が可能なのだ!


「ねぇ!ゴゴ!どう!?かっこ良いでしょ!?」


 僕の全身全霊の熱の入った説明が終わる。

 しかしゴゴは防具の動作チェックに夢中で、こちらを見てもいなかった。


「あ、主。説明終わりましたか?武器の説明とか、暇で暇で仕方なかったんですよ。聞いてもいないのに、長いんですよ。切れればいいのですし」


 はい、ごめんなさい。


 それと、武器の銘は先にゴゴが付けたものです。僕の案は全て却下されてしまった。

 いいと思うんだけどなぁ……風雷剣に、水光りの矛、焼き切り丸。



 #######



 防具と武器が出来上がり、僕たちは『ドルバム』国でも大きな街へ来ていた。

『ドルバム』国での街の規模の大きさは、青白い角柱の建造物の数に比例しているとかなんとか。なんなんだアレ。

 亜人の国といっても先住民が亜人なだけで、いわゆる普人族も普通に居る。

 人々で賑わうというかごった返す中、僕はチョロチョロとゴゴの足元で踏まれないように付いていってた。


((主、このまま真っ直ぐ行けば冒険者ギルドがあるのですね))

((うん、そこで登録というのをしてから何かを狩にいこうか))


 やがて冒険者ギルドにたどり着くつき、大きめな扉を開けて中に入るとまず厳めしい男や堅気からは程遠い男が目に入る。

 ただ、よくよく目を凝らせば優男のような奴も居たし、女性だって居た。


((ほーん、やっぱり色んな人がいるんだねぇ))

((命の保証が無い代わりに頭を使わず身一つで生計を立てられる利点があるからかもしれませんね))


 カウンターでは、頭からキツネ耳を生やした若い女性が受付をしていた。


((じゃあゴゴ、僕が言ったことと同じことを言うんだぞ))

((御意))


「済まない、冒険者登録というのはこちらであっているかな?」

「いえ、向こう側のカウンターです。こちらは任務の受注を行う場所なので」


 うわ……いきなり間違えちゃった。恥ずかしい。まぁ話したのは僕じゃないし?

 ゴゴが女性に礼を言ってから、言われた方に向かおうとする。


「オ~イ、待てや兄ちゃん」


 立ち塞がったのは、腕を組み威圧感を放つ体長2m以上の大男。

 口元はニヤニヤとしていて、締まりがない。

 それを見て、僕は思わずほくそ笑んでしまう。


((ふっふっふ……))

((主?))


 ……絡んできた先輩格をボコボコにするイベント来たぁぁあ!

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