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猫が好きです。

駄文です。お読み下さい。

 ……朝、交差点で立っていたら車たちに轢かれた。

 間違った言い方じゃあないぞ?車「たち」に轢かれたんだ。三回だ。

 いやいや……おかしくない?

 軽自動車にはねられたかと思えば、次はトラック、そしてボックスカーって。おお神よ、僕に恨みでもあるのか。


「うん、あるよ」

「え?」


 あれ、そう言えば轢かれて死んだのに、意識がある。

 あれ、なんで?というかここは何処ですか?目の前のあなたは誰ですか?


「所謂、天国だね。そしてわたしは神様、名前は無い」

「なるほど~」


 へぇ~。神様なんだ~。

 うん?天国?

 混乱というか、困惑というか。


「どゆことどすえ」


 適当な京都弁。生まれは京都だけど、二歳までしか居なかったので全然憶えていない。多分使い方も違う。

 周りは長髪で金髪のイケメン以外に何も見えない真っ白な空間。

 というか、僕の身体も無い?


「えーと?……物集女(もずめ)雄二郎。京都生まれ、東京育ち。身長175cm。年齢は23。痩せ型。理系の大学生。家族は両親だけ。恋人はいない。で、合ってるかな?」

「どゆことどすえーーー!!」

「うるせーーーー!!落ち着けーーーー!!貴様はぁ!!死んだんだよぉ!!」

「なるほど」

「急に冷めるでなーーーい!!」


 僕に恨みがあるらしい神様は金色の長髪を歌舞伎よろしく振り回しながら低い声で言ってくる。見てて楽しいなぁ。


「神様、なんで僕は死んだんですか?悪い事を、何かしましたか?……恨みってなんなんですかーーーァ!?」

「落ち着けっつてんだろ。えーと、物集女さんね。自分の口癖って理解してる?」

「当然でしょう。『神様ハゲろ』です」

「うん。ね。わたしも神様だから、人間一日一回や二回、それを言ったとしても許しますよ。でもあなたね……一日に百回も二百回も言うのはちょっーと看過できませんよ。どれだけ神様の毛根嫌い……もとい毛嫌いしてるんですか」

 上手いこと言ってんじゃないよ。そんなので笑いそうになった。

「えっと、理由ですか?幼い時に神様のお願いを三回連続で無視されたからですかね」


 正確には四歳の時。

 なんだったかな……欲しいガチャガチャのオモチャが三回やっても出てこなかった奴か。


「えー、だからね。物集女さん、貴方には死んでもらいました」

「あの、プロセスって言葉知ってますか?」


 或いはパティエンス。もっと我慢強く生きようよ。神様でしょ?


「ええ、本当に突然で申し訳な~いで~す。まぁ死ぬのは誰でも良かったのですが、貴方が死ねば良いなぁって」


 私情挟みまくりだな。


「僕が死ななきゃいけないことがあるんですか?」

「物集女さん、異世界ってわかりますか?」


 疑問を疑問で返してはいけないと親に習わなかった?と言いそうになるが面倒なので抑える。

 そうだなぁ、今や存在しない頭を捻って解答しよう。うーむ。


「……中世風ファンタジーの世界かな?」


 よく、ネット小説で見るやつ。

 俺つえー、とか。チートとか。

 チートって元は「ズル」って意味なのに、努力してわざわざチートを得てる人とか居るよね。とても謙虚な人なのかな。


「ええ、ええ。今回に限ってはその認識で合ってます。その中世風ファンタジーな異世界にですね、ほんの小さな『歪』が生まれてしまったんですよ」

「……それで?」

「それを他世界の住民の魂で補完すれば、私は苦労せずに神様ライフを続行出来るのです」

「神様が苦労すれば?」

「あなたは死ななくても別に良いです」

「ほう、つまり。『歪』を直すのが面倒くさかったからウザい俺を殺して、その魂を使って補完しよう……って事ですか?」

「そのとおーり!!」


 その通りじゃない。黄色の古い芸人よろしく両手で人差し指を向けるんじゃないよ。


「えー、じゃあ、転生するってことでも合ってる?」

「お、中々勘が鋭いねぇ……そう、毎年増えつつある異世界転生の希望者を弾いて、適当に生きてる物集女さん。貴方が選ばれましたぁ!」


 へぇ、そうなんだ。

 僕も別に何か業績を遺したいとかじゃないし、死んでも別に悲しくは無いな。後悔があるとすれば親にまともな恩返しが出来なかったくらいか。


「……ふーん、別に良いけど」

「いまいちリアクション薄いなぁ。ウザいと言っても、死ぬ時痛くなかったでしょ?それに物集女さんは死んでも良さそうだったしね」

「ああ……うん」

「それでお楽しみの転生先なんだけど、何が良いかな?その異世界で最強とされてるドラゴン?チートが付いた貴族の三男坊とか?はたまたわたしの加護を付けた強過ぎる雑魚モンスター?」

「……いや、猫がいい」

「……うん?」

「猫」

「……猫?」

「そう、猫」


 自慢じゃないが僕は無類の猫好きだ。猫の種類を沢山知ってるとか、猫の生態に詳しいとかじゃなくて、ただ猫が好きなんだ。それはそれは凄い好き。見てるだけで一日過ごせる。

 車たちに轢かれる直前にも、のら猫が居ないか確認したくらいだ。

 もう小悪魔的可愛さ。小悪魔っぽい女は嫌いだけど。


「ほーぅ、成る程。なら、転生先は猫の魔物でいいのかな?」

「え……魔物?」

「動物は魔物しか居ないからねぇ。そこは仕方ない」

「うん……なら、ちゃんと小さな可愛い猫ちゃんで」

「大丈夫大丈夫。自分の生まれ変わる先の猫を猫ちゃん呼ばわりは気持ち悪いけど」

「うるさいハゲろ」


 神様はぐわしと僕の身体……ではなく魂っぽい何かを掴んで言う。


「時間も無いから、早速転生させるよ。確認するけど、猫の魔物で良いんだね?」

「オッケーです、バッチこい!」

「うん、じゃあ行ってらっしゃい」


 楽節23年の、人生に幕を降ろし。


 神様から異世界の事情を聞いて。


 猫に生まれ変わることになりました。







「あッ、言い忘れてたけど、その猫結構強くて珍しい種族だから。チート付き転生だよ!!」


 ……転生の場合は、ズルってことになるんですかね。


出来れば毎日更新の予定。

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