第八話 終わりの始まり
ありがとうございますww
彼女が飛び降りるのと同時に感染者達がその教室のドアを破って押入って来た。彼女は目を瞑って俺へと真っ直ぐに落ちて来た。
そっと・・・なんてものではない。がっちり、と彼女を受け止める。も、流石に距離があったのか、トラックの上に転げてしまう。
が、間一髪のところで落ちるのは防げた。
「よしっ!出るぞ!」
佐治が運転するトラックはそのまま校門を通って行く。
「どけぇぇぇぇ!」
群がって来た無数の亡者を撥ね飛ばし、スピードを上げていく。が、校門を抜けた瞬間、乗用車が突っ込んで来た。
窓から見える運転手は既に項垂れており、多分運転中に噛まれたと思う。
「クソッ!」
トラックは右に乗用車と同じ方向に向かって曲がったが、乗用車がトラックの右部分に衝突する。その衝撃でタイヤが壊れてしまった。
「佐治!」
佐治は反対側のドアから這い出てきた。
「このトラックはダメだ!火がガソリンに引火しないうちに!」
「分かった!あんたも来い!」
「う、うん・・・」
俺とその子はトラックを降り、佐治と一緒に距離を取る。炎の中からは感染者達が歩いて来るが、次の瞬間トラックと乗用車のガソリンに火が引火し、感染者を巻き込んで爆発を起こした。
「っ!」
思わず後ろに体がビクついてしまった。
「行くぞっ!蓮太郎!」
「おお!」
「はぁ・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・・ここまで来たらもう大丈夫だろ」
肩で息をしながらその場にへたり込む。場所は学校から数一キロ程離れている神社。
「ああ・・・はぁ・・よし」
「あの・・・・」
助けた女子生徒が呼吸を整え、俺達の前にやって来る。
「その・・助けてもらってありがとうございます!」
そう深々と頭を下げた。
「私・・・あの時、殆ど諦めてて・・・お二人が来てくれなかったら死んでました。本当に、ありがとうございました!」
「えっ、いや・・・まぁ、取り合えず頭上げて」
「はい」
佐治と顔を見合わせる。
「取り合えず、名前教えてもらってもいいかな?」
「はい、倉橋有紗です。あなたは・・・確かB組の真鍋蓮太郎君だよね?そっちは木島佐治君でいいんだよね?」
「あ、ああ・・・俺達のことどうして知っているんだ?」
オドオドと俺は彼女に問いただした。
「いや、風紀委員やってると二人の名前は自然と上がって来るから」
「そりゃそうか」
佐治は笑いながらそう言った。
まぁ、問題ばっかり起こしているからな。
「本当にありがとうございました」
「いやいや、別にもういいって。それよりもこれからのことを話そう」
「これからのこと?」
倉橋は首を傾げた。
「学校を脱出した今、俺達がどう行動するかだ。生きるために」
佐治が立ち上がりながらそう言った。
そうだ。俺達はこの腐った世の中から生き延びなきゃならん。そうする為に・・今は何をしなければならないのか?
「やっぱり、食料じゃない?」
倉橋がそう言う。
確かに。ていうか腹減って来た。飯食う前に始まったからな。
「腹減った・・・取り合えず、飯でも食いに行こうぜ」
「食べに行くって・・・真鍋君、一体何処にいくつもり?」
「行くって、コンビニだよ」
佐治が木刀を担ぎながら言う。
「生物は腐りやすいからな・・・・弁当系はさっさと食った方がいいだろう。その後、缶詰とかだな」
「うん、そうだよね。だったら、一度コンビニに行って、その後各自の家を回るって言うのはどうかな?」
「そうだな・・・蓮太郎はどうだ?」
「それには賛成する。まずはコンビニか・・・一番近いところで、ここから二キロの場所にある」
神社から見える街は、そこら中から黒い立ち煙を出している。
その光景を見ながら俺は今一度思うのであった。
終わりが始まったのだと・・・。
誤字脱字などあればご報告ください。次回もよろしくお願いします(/・ω・)/




