第六話 脱出
ありがとうございます。
終わりが始まるの前夜。俺は夜更かししてゲームをしていた。友人から借りていたギャルゲーをしていた。
そう言えば、その日。俺は窓の外を不意に見たんだった。
確か・・・そこで、俺は・・・そう、流れ星を見た。
「あらかじめ言っておくが、戦わなくていい戦闘は出来る限り避けろ。奴は食べるということに対して異常に腕力がある。捕まったら食われる。いいな?佐治」
「問題ねーよ」
バットを持ち直し、歩き出した。
奴らは音に反応する。音さえ出さなければ問題はないだろう。
と、歩き出そうとした時だった。
「ギャァァァッ!」
悲鳴が後ろから聞こえた。そこにはあの美術部の部員と近藤が走って来ていた。
「近藤!」
近藤は肩で息をしながらここに来た。
「どうしたんだ?」
「あの・・部員の中に感染した子がいたんだ・・・その子が、襲ってきて・・・二人も死んだよ」
近藤の後ろには残りの二人しかいなかった。
「アアァァァァアアァアァァ・・」
やべっ、今の悲鳴でこちらに気づきやがった。
更には近藤達を追いかけて来たのか、感染者達が押し寄せて来た。
「近藤!走れ!」
俺と佐治が先陣を切り、走り出す。距離がある奴の攻撃は回避し、目の前立ちはだかる者だけをバットでブッ飛ばしていく。
頭を潰して殺さなくていい。
今は退けるだけで十分だ。
「おらっ!」
前から来た二体をバット飛ばし、更にその奥の一人を佐治が木刀で吹き飛ばす。
その後に近藤達が続いて来ているんだが、部員の一人の脚を感染者が掴み、その生徒はその場にこけてしまう。
「賢治っ!」
「長野!」
賢治と呼んだ生徒を救うべく、近藤が呼び止めようとした長野という生徒が走り出す。その二人の周辺には奴らが群がって来た。
もう無理だ。
彼らを救い出す時間も、体力も俺達はあまりない。
「近藤っ!」
俺は彼らに向かって叫んだ。
「・・・悪い」
近藤は持っていた木材を持って走り出した。
「こん・・どう・・」
「蓮太郎!」
「クソッ!」
近藤は感染者の波に突っ込んでいった。
それを見届けることなく、俺は走り出す。
「ああああああああああああああああっ!」
立ちはだかった最後の一人をブッ飛ばし、勢いよくジャンプした。校門に着地し、更にジャンプしてしっかりと地面に着地した。
「はぁ・・はぁ・・」
振り返ればこちらに向かって手を伸ばしているが、意味はない。
っし・・・大丈夫。やった・・・脱出出来た。
あの地獄から解き放たれた感覚と、初めて手にした自由を俺は感じた。
次回もよろしくお願いします(/・ω・)/