第三十二話 彼女の変化
更新遅くなりました。ごめんなさい、受験だったもので。だがしかし!受験が無事終了したので更新できそうです。頑張ります。
世界が終わって約三週間。久々に大雨がきそうな黒く染まった雨雲が街を覆っていた。
「えっ、もう一度溝島市に行くんですか!?」
「ああ、君達の友人にも申し訳ないことをしてしまったしね。物資も溝島市にはまだかなりの量があると考えているし、運が良ければ彼を救助出来るかもしれない」
有紗達を救助したヘリの操縦士はそう言った。
物資は足りているが、それ以上得るのに無駄なことはない。そして、今現在問題と言われているのが医療薬品が足りていないことである。
物資が足りていると言えば足りているが、やはり前の生活と比べれば何もかもが足りていないことは明らかである。更にこういった環境に慣れていない小学生以下の子供たちは風邪や体調不良の子がたくさんいた。
嵐山市にも病院があり、そこにも物資補給の部隊が行くらしいが、それ以上に普通の物資補給も兼ねて溝島市にも物資回収が決まったそうだ。
「やったね、有紗。これで真鍋君にも会えるね?」
「うん、そうだね・・・けど・・・」
有紗が懸念していることはやはり蓮太郎の生死である。あの人柄というか性格上、無茶なことをしないにしろ絶対に生きている訳ではない。と有紗は思った。
更に言うのならあれから二週間近くが経っている。世界が終わってから約三週間。家に閉じこもっていた人は餓死か外に出て感染者に襲われたか。
スーパーなどにある生物は全て腐っているはずである。無茶はしないと言ったが、食料を得るには危険が伴う。
実に彼女にしては矛盾している彼に対しての分析であった。
各人準備をしてヘリに向かって歩き始めた。
「先輩、助けに行きますからね・・・生きてますよね?」
進哉は誰に対してでもない質問をした。それに答えたのは佐治であった。一番長い時間蓮太郎といたので当たり前かもしれない。
「生きてるよ・・・たった短い間だったけど、それは分かるだろ?」
ライフルを片手に言う。
「そうだね・・・真鍋君、生きる為の術を感じるから」
「木島先輩や遥先輩の言う通りですね。蓮太郎先輩は生きてます」
それを聞いて有紗は言った。
「だね。信じるしかないね。きっと生きてる。そして、また会える。必ず・・・」
「不思議だね。有紗ちゃんが根拠のないことを言うなんて」
有紗の言葉を聞いて天音が言った。
それに反応して彼女は少し笑いながら言った。
「私もそう思いました。おかしいなって・・・けど、この本当に短い間だったけど、真鍋君に会えて、一緒に戦って、泣いて、笑って・・・心の残るものをもらったんです。きっとこれが思い出になるんだって・・・」
彼女は自分の胸に手を当てた。
「そっか・・・・なら、頑張らないとね」
有紗、佐治、天音、進哉がヘリに乗り込む。残念ながら遥は非戦闘員なので搭乗することは出来なかった。
「皆、頑張って!」
「任せて!」
「おう!」
「うん!」
「待っていてください」
ブルブルブルと空高く舞うヘリ。それに降り掛かる不吉な黒い雲はこれから起きる出来事の激しさを感じさせていた。
次回もよろしくお願いします!