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haunted world   作者: ぞえ
総激編
30/42

第二十九話 溝島病院




 病院に行く前、俺は颯と一つの約束をした。




















「・・・・こんな所に、ホントにあるのかよ・・・」

「分からない・・・けど、怖いな」


 時間帯は午後一時。いつもなら患者の昼食を回収している看護師や、廊下で雑談をしている患者を一人も見ない。

 代わりに凶暴になった感染者達がうろついていた。

 一応昼なので、窓から光が差し込んで来るが、いつもなら電気が点いているので、少しばかり暗く見える。

 壁や床には血や腐った死体。

 なんとも吐き気のする光景であった。


「ふんっ!」

「アァ・・・・ガガッ!」


 美人のナースさんの頭を潰す。


「・・・美人なのになぁ・・・勿体ねぇ」


 と、颯。


「仕方ない・・・」


 俺と颯は向かって来る感染者を駆逐しながら病棟を歩いていた。


「何か、怪しいものとかないか?」

「特には・・・?」

「ん?どうかしたのか?」

「いや、ここの病室の・・」


 病室の中は血で塗られており、食事中だったのか、トレイや食器が床に散乱していた。


「・・・・なぁ、蓮太郎。パンデミックが起こったのは朝だよな?」

「ああ、俺の学校は大体九時ぐらいだ」

「病院の朝の食事は七時だ。俺の頭の中にある感染速度から考えると、発生源は・・・この病院」

「いやいや、流石にお前が頭いいからって、そんなことないだろ?」

「だがな・・候補の一つとしてあげておくべきだ。それに、ここが奴らの本拠地なんだろ?だったら、その可能性だって十分あると思う」


 ふむ・・・なるほど。

 

「まぁ、そうだな。可能性の一つ、患者の朝食にウイルスを混ぜて出した・・こんなところか・・・・」

「さっ、行こうぜ」

















「あれ・・・?」


 俺は立ち止った。

 中央病棟の地下一階。そこに一つの扉があったが、不可解な点が一つ。ここが何の部屋なのか分からないことだ。

 地下は基本的に倉庫程度にしか使っていないが、それでも何の部屋なのかぐらい書いてあるものだ。

 

「なぁ、颯。ここ、なんの部屋か分かるか?」

「・・・・分からない」

「うむ・・・」


 ギィィと俺は扉を開けた。

 そこから長い廊下が続いていた。暗くよく見えない。なので、ナースステーションに置いてあった懐中電灯を一つずつ持って、廊下を歩き出した。

 長い廊下の先にも扉があった。廊下には血が点々とあり、仄かに感染者の存在を匂わす。


「ふぅ・・・なんか緊張してきた」

「もっとリラックスしていけ」


 俺は最後の扉を開いた。そこは先程の暗い廊下とは違って、所々電気が点いた部屋に別れており、部屋の様子をガラス越しに見ることが出来た。


「ここは・・・」

「病院に研究所なんてあったっけ?」

「・・・・・・」


 見れば白衣を着た研究員らしき感染者がうろついていた。


「・・・・なんで、ここだけ電気が点いているんだ?」

「多分、ここには自家発電施設があるんだろう。エネルギーが無くなるまでずっとつくんじゃないのか?」

「一週間もすげーな・・・それだけ大規模ってことなのか?」


 二人で見回りながら奥に歩いて行く。


「ア・・・・・アアアアア・・・」


 感染者の数はそれ程多くない。ザッと見て、十五人程度だろうか。大体その人数がガラス張りの部屋にいるが、俺達はゆっくり、そして静かに歩いている為、襲われることはなかった。

 すると、一番奥の部屋に辿り着いた。

 周囲のガラス張りの部屋とは違って、しっかりとしたつくりで、他と隔絶した世界であった。

 周りには薬品やら、パソコンなどなど多くの研究材料があった。そこの机の上においてあった一枚の書類に目が入る。

 不意にそれを見た。


「颯・・・やっぱりだ」

「やっぱり・・・?」

「ここだ・・・ここだったんだ。間違いない」

「・・?」

「ここが、パンデミックの感染源。葛葉薬品だ」


 見れば壁には青い鳥のマーク。葛葉のマークである。そして、葛葉の社長。

 写真があった。老人である。その老人の両腕には笑っている女の子。倉橋の面影がある。あの日記に書かれてあったことは間違いではなかった。


「倉橋・・・」


 別れて二日しか経っていないが、もう何日も会っていないような気がしてきた。少しばかり寂しい・・・。

 って、俺は何を考えているんだ。

 俺が倉橋のこと好きみたいな感じじゃないか・・・あぶねぇあぶねぇ。さて、気を取り直して。


「そして、こいつが・・・」


 葛葉薬品、社長、倉橋壮二郎。


「だが・・・」


 何がどうなっているのか俺に分からなかった。

 資料を漁れば漁る程、ここがウイルス研究していたことが色々と分かって来たが、この研究所を見る限りでは、ここもウイルス感染があったことは直ぐに分かる。

 どうして?

 その疑問だけが頭の中で回転し始める。


「蓮太郎、もういいだろ?」

「もういいって?」

「こいつらは報いを受けたんだ。世界を改革化させようとして、結局はこのザマだ。自業自得。それでいいだろ?」

「・・・・・確かにな」


 物事は常に自分通りに動く訳ではない。それは俺自身身を持って知っていることである。彼らもまた、結局のところ自業自得なのだ。

 世界を陥れようとした結果がこれなのだ。


「壮二郎ってじじい・・・」


 あんたは何がしたかったんだ?


「さっ、行こうぜ。ここにいたって、あんまり・・・・!逃げろ!蓮太郎!」


 その言葉に反応して、俺は後ろを向いた。次の瞬間、俺の体は大きな衝撃とともに遥後方に吹き飛んだ。何とか空中で態勢を整えるも、壁に背中を打ち付け、地面に倒れる。

 

「っ!・・・・いてぇ・・・・・」


 見れば入り口に一人の老人がいた。

 見たことのある。写真より数段は老けて見える。壮二郎。一人の老人が構えを取りながらいた。


「なるほど、やっとボスのお出ましってとこか」

「言ってる場合じゃないぞ。あいつ、老人のくせして無茶苦茶強い。気をつけろ、颯」

「分かってるよ!」


 そう、颯は刀を構えて走り出した。






なんか、あれですね。普通なら、生きるためにとかなのに、この小説、バイオハザードっぽい感じになってますね。

断言できます。そんな感じにはなりません!


次回もよろしくお願いします。

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