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haunted world   作者: ぞえ
総激編
29/42

第二十八話 ブッ飛ばす

新章です。





 あいつと出会ったのは、曇り空の下、不良に絡まれた路地裏の出来事だった。





















「はぁ・・はぁ・・・くそっ!」


 振り下ろしたバットが感染者の頭を潰した、そのままその右にいる奴を蹴って吹き飛ばし、俺は後ろに後退した。

 真鍋蓮太郎。

 俺はあれから食料と武器を持ってショッピングモールを脱出。家を転々としながら逃げ回っていた。

 しかし、逃げ続けて三日目の夜。家の中にいた感染者に気づかず、俺は奴らと室内で戦闘することになった。以外にも数が多く、俺は仕方なく外に出た。

 夜間の戦闘は避けるべきだ。

 視界が悪く、声でしか位置が掴めない。

 月明かりを頼りに、左手に懐中電灯を持って走っていたが、運悪く感染者に挟まれてしまったということだ。


「くそがっ!」

「ア・・アアアァァッ!」


 ヤバい・・・マジでヤバい。

 囲まれ過ぎている。


「クソッたれが!」


 感染者が多い過ぎてこの場を脱出することが出来ない。


「はぁ・・・はぁ・・・・・」


 俺はとうとうバットを落とした。

 カラン

 と、バットが地面に落ちる音がした。その寂しい音は奴らのうめき声によって消え去った。

 体力の限界だった。

 右手は豆が潰れて血だらけで、握ることが出来ない。左手でバットを握ったとしても、全力で振ることは出来ない。


「はぁ・・・ここまでか?」


 だが、たで死ぬわけにはいかないよな・・・。

 

「・・・・・・」


 左手でバット持ち、殴りつけたが、当たった箇所が首だった為、感染者はまだ動いていた。

 奴はバットを握り締める。そして、歯を剥き出し、襲って来た。


「っ!」


 何の覚悟もなく、全ては俺に任せろと、遠まわしに俺は皆に言ったのかもしれない。俺ならなんとか出来る。

 そう・・・そのツケがまわってきた。


「こんなところで・・・・・・・」


 感染者の歯が俺の肩に食いつこうとした。






















「おいおい、久々の再会だと言うのに・・・何だ?そのザマは?」


 懐かしい声がした。

 

「お前・・・・」


 閉じた筈の目をゆっくりと開く。暗い視界が徐々に明るくなっていき、俺はその人物を捉えた。


「颯・・・なのか?」

「風早流剣術八代目、風早颯・・・ただいま参上」


 少し長い髪の毛を一つにくくり、腰に刀を携えていた。

 彼の名は、風早颯。俺と同じ年で、風早流剣術の八代目当主である。彼との出会いは中学にさかのぼる。

 簡略化すると、俺が不良に絡まれたところを颯に助けられた。仲良くなった。そんな感じの友人関係である。


「ちょっと、待っとけよ・・・・」


 そう言って颯は刀を構える。

 ズバッ!

 と、横並びになっていた感染者の首が一気に撥ね飛ばされた。

 そんな感じに次々と感染者を殺した。


「取り合えず、俺のアジトに行くか」

「アジト?」


 颯に連れられて、色々と武装されている一軒家に入った。


「なぁ、颯・・・」

「何だ?」

「お前は、これからどうする?」

「・・・・」


 颯がソファーに座り、俺は立ちながらそう聞いた。


「って言われてもな・・・」


 颯は少し難しそうな顔になる。


「お前はどうする?」

「俺は・・・」


 結局、お前はどうしたんだ?真鍋蓮太郎。

 ヒーローみたいにかっこつけて残って、それで?だから?


「・・・・・」


 違う。

 そうじゃない。

 そうじゃないだろう。俺。


「颯、今からとんでもなくバカみたいなこと言ってもいいか?」

「・・・お前のバカみたいなことは大体が恐ろしくて口にも出せないことばかりだが?」

「そうだな・・・悪いが、今回も恐ろしくて口にも出せんぞ?」

「まぁ、退屈しなくていいがな?それで、次は一体何をやらかそうって言うんだ?」


 俺は言った。















「この世界をこんなふうにした奴らをブッ飛ばす。以上」
















 ハトが豆鉄砲を食らったような顔。

 という顔を俺はまだ一度も見たことがない。だがまぁ、目の前にいる友人がそんな顔なのではないのだろうか?

 颯は恐る恐る口を開いた。


「マジか?」

「本気と書いてマジ」

「・・・お前が言うことが本当だとして、じゃぁ聞くが、この騒動を巻き起こしたのは誰だ?」

「企業だ。目的はこの世界の新統合。その企業の日本支部が、ウイルスをばら撒いた奴らが、この溝島市の何処かにいるんだ」

「・・・・」


 颯は一度黙り込んでから言った。


「なるほど・・分かった。おもしろい。いいぜ、力を貸そうじゃないか」

「マジか・・・」

「こんなところで怯えて暮らすより百倍はマシだ。それよりも、その企業って奴らの場所は分かるのか?この溝島市って、結構広いぞ?」

「分かってる。俺的には・・・」


 俺は地図を取り出してマークをつける。


「そこが怪しいと思ってる」


 まず選択肢には入らない。と、言っておいた方がいいのかもしれない。


「病院?どうして病院なんだ?ありえないだろう?」

「ありないからこそだろ。俺の知り合った人は自衛隊の特殊部隊の人でよ、企業倒す為にこの街に来て、色々と探っていたんだってよ。それで、パンデミックが起こった時の外の様子を教えてもらったんだ」

「ほう」

「まずな、この溝島病院は背景からおかしいんだ。作られたのは十年前。前からあった病院を潰して新しく作ったんだよ。しかも、運営しているのは市じゃなくて、とある会社なんだよ」

「会社?」

「会社の名は『青鳥』とか笑っちゃうだろ?それでよ、青鳥のマーク、あれは・・・」


 見たことのある。

 そう、あの時にみた。


 倉橋家のあの扉のマークだった。









次回もよろしくお願いします。

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