第二十話 生き残る道
今回は短いです。
「蓮太郎君が出した答えが今後何をどう変化させるのか、私には少しだけ興味があるの。死なないでは言わない。せめて、その答えが何なのか・・・私は見たい」
そんなことを、天音さんは俺に言っていた。
「ア・・・ア・ア・・ア・ア・ア・・・アア・アアアア・・・」
「はっ・・・はははは・・・・」
おかしいな。こんな状況でも笑いが出るんだな。俺も・・・狂って来たのか?
だが・・倉橋。お前には感謝している。おかげで、俺は・・・俺でいられそうだ。ありがとう。
「はぁぁぁぁぁぁっ!」
まずは生き残れる道だ!奴らが少ない道、警察署内はダメだ。門を抜け、通りに出る。
すぐさま邪魔立てする感染者を蹴散らし、道路に出た。右、左・・・左!
俺はパッと見て感染者の少ない左の道路を走り出した。戦闘は最小限に済ませろ。奴らは腕の力が凄い。
掴まれたら終わりだ。
だが、その代わりに動きは鈍い。
「アア・・ア・・ア・ア・ア・ア・ア・ア・・・・・・」
迫り来る魔の手を次々に避け、俺は何とか感染者の群れから逃れることが出来た。
多分、俺は死んでいることになっている筈だ。まぁ、死んだところを見てないから、断定出来ていないはずだ。
このまま一人でほっつき歩いてもいいのだが、どうにも中島の野郎を一発ぶん殴らないと気が済まない。
「はぁ・・・はぁ・・・・はぁ・・・・・」
ヤバい、スタミナ切れて来た。どっかで休みたい・・・おっ。
どっかで見たことのある家だな・・・倉橋家?
俺は取り合えずその家に入り込んだ。門を閉じ、玄関から中に入る。どうやら奴らはいない。
倉橋には悪いが、今日一晩だけでもここで眠ることにしよう。
そっと腕時計に目をやる。今の時間は午後三時。あれから二時間あまりしか時間が経っていなかった。
電気は点かない為、九時、八時には少し速いが眠っていたい。
それまで、何するかなー。
俺はそう思いながら倉橋家の中をガサゴソと探索を始めた。
その事実に驚いたのは倉橋だった。手で口を覆い、目は見開いている。それなりにショックは大きい。
「そ、そんな・・・そんな訳ない。真鍋君が・・・死ぬはずなんて」
「けど、これは現実なんだ。真鍋の野郎は・・・・」
村本は蓮太郎が自分達の為に死んだということを帰って来て、倉橋達に言った。
「・・・・・」
「倉橋さん?」
「だ、大丈夫・・・うん、大丈夫」
(死んだところを見てない訳だよね?大丈夫・・・死んでなんかない)
倉橋は自分にそう言いつけ、作業に戻った。
「・・・・・」
その様子を村本はジッと見つめていた。
その頃、天音と太田さん達は彼女がどうしてこんなアサルトライフルを隠して持っていたのか、話し合っていた。
天音は仕方なく、自衛隊の人に一緒にいて、この銃を奪われたくなくて、隠したと言った。
しかし、それなりに装備が整った今、彼女をどう咎めようとなんて、思っていなかった。
天音は五階のテラスに行くと、空を見上げた。
「・・・・・・・」
(もしも、蓮太郎君の気持ちがどうであれ、世界は終り始めている。そして、それを止めることが出来るのは・・・)
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