第二話 崩壊への序曲
ありがとうございますww
そう俺がそう呟いた直後だった。
いきなりジリリリリッ!と警報ベルが鳴る。
「っ!何・・・」
「火事でもあったのか?」
周りから予想の声が出る。
『全校生徒の皆さんに連絡します。校内に不審者が現れたもようで、生徒の皆さんは担当教員の指示の下、現教室で待機して下さい。繰り返します・・・』
不審者?
変態でも入って来たのかよ。ここに。
「よし、取り合えず前と後ろの鍵を閉めておけ。窓も」
英語教師の指揮により、窓と扉の鍵を閉めた。
取り合えずはこれでいい。
「ねぇ、何なのかな・・・」
「分かんないよ・・・」
「不審者って、全裸のおっさんがコート着てんのかな?」
「やめてよ、男子」
「はは、悪い悪い」
など、一応非常事態だというのに何とも緩やかな空気がそこに広がっていた。まぁ、多少なりと気が緩むのは分かる。
地震や火事は自分達に被害あるかもしれないが、今は特に自分達には何の被害はないのだから。
「それにしても・・・・・・・」
俺は窓の外を見た。
「火事?」
街の中から一つの黒煙が立っていた。救急車や警察のサイレンが鳴り響く。悲鳴らしき声もかすかだが聞こえてしまう。
「何・・か、騒がしいな」
少しうるさい外を見ていると、校内に悲鳴が響きわたった。
「な、何・・・」
「警備の人がもう来てんじゃないのかよ」
「誰か襲われたんじゃ・・」
教室中がざわつく。
「ちょっと、先生が見て来る。お前らは鍵閉めて待ってろ」
そう言って教室から出て行く先生。先生が出て行ったことによって更に教室内がざわつき始めた。
が、それもものの数秒で終わりを告げた。
そう、あの英語教師の悲鳴がこの三年棟に響き渡った。
「えっ、何・・・」
「ヤバくない?」
「誰か見て来た方が・・」
「窓からでも・・・」
廊下側の生徒達が窓を開けて外を見た。他のクラスも同じ反応したらしく、窓から顔を出している生徒もいたらしい。
「キャァァァァァァッ!」
窓から身を乗り出していた一人の女子生徒が叫んだ。
どうした?と誰かが聞くと、女子生徒は言った。
「ろ、廊下に血が・・・・」
全員が窓の外を見ようと廊下に出た。
「血・・・」
「ねぇ、あれ先生の腕じゃない?」
「いや・・いやぁぁぁぁ!」
「どうした!」
「先生が!先生が!」
「誰・・あれ・・・いや、痛いっ!痛いっ!」
「が・・があぁぁ・・だ・・・g・あ・たすけ・・・たす・・がぁ」
「いやぁぁぁぁぁぁっ!」
見れば皆次々と教室から出て行き、叫びながら逃げて行く。
爪は剥がれ、顔は生気を失い青白くなっている。歯は剥き出しになり、所々皮膚から血を流し、目は白目になっていた。だらんと口を開け、のろりと歩く。
「アァ・・・アアァァァァァァァァアアアァァァ・・」
次の瞬間、そいつは男子生徒の首元に食らいついた。
「がっ・・がふ・・」
男子生徒は口から血を流してその場に倒れた。
そいつはそのままその男子生徒の死体を貪る。
「はは・・・まさかな」
俺は静かに教室のドアを閉めたが、ガラガラという音が奴の耳に届いてしまったのか、こちらを向いて襲って来た。直ぐに鍵を閉める。
すると、佐治が俺に動きを見て事態を把握したのか、窓も前のドアも全部鍵を閉めてくれた。
教室に残った生徒は他に三人。俺と佐治を入れて五人になってしまった。
俺達は直ぐに机や椅子でドアと窓を塞ぐが、バンバンと奴が叩く。が、その音は次第に大きくなっていく。
数が増えた?
「あいつら増えてるぞ!」
「ゾンビ映画じゃあるまいし・・・ゾンビ映画?」
俺は佐治を見た。
「ああ、もうこういうことらしい」
ガタガタと机と椅子が揺れる。
窓から奴らの影が見える、その頭数は五、六、七と多い。
俺も佐治も震えていた。得体の知れない、正体も分からないものに怯えるという恐怖。戦いにおいて、相手の戦力がどうこうではなく、自分達が一体何と戦っているのか。それが兵士達において一番の恐怖となる。
相手がまだしも人間ならいいが、人間ならざる者。
「・・・・・くっ」
すると一人の男子生徒が叫んだ。
「み、皆食われるんだ・・・あいつらに・・・いやだ、いやだぁぁぁぁ!」
そう言って一人の男子生徒は窓から飛び降りた。
「おい、ここは二階だぞ?」
だが、降りられない高さではない。
男子生徒は上手く着地したが、そこには奴らが数体いた。それに気づかず、捕まり食われた。
「いやだ・・・いやだぁぁあわfsdふぁ・・・・」
「ひっ!」
残った女子生徒二人がそれを見て恐怖に顔を歪ませる。
「仕方ない。佐治、俺が奴らの注意を引く。その間に・・・・」
「分かった」
そう言って佐治と女子生徒で前の机と椅子を退ける。
俺は後ろのドアを開け、奴らを教室に呼び寄せた。
「アアアアアアァァァ・・・」
目の前に先程まで元気に英語を話していた英語教師が変貌した状態で俺の前に現れた。
「松永先生・・・・ありがとうございます」
そう言って持っている椅子で松永先生の頭を思いっ切り殴った。頭がボコッと凹み、その場に倒れる。
「アアアァァァァァァ・・・・アアアアァ・・・」
「蓮太郎!」
俺は近付いて来たもう一人を椅子で殴り飛ばすと、前のドアに向かって走り出した。二人の女子生徒は散り散りに逃げたらしく、佐治と一緒にいなかった。
速く話を始めたいがため、直ぐに二話を投稿させてもらいました。三話も読んでもらえると幸いです。出来るなら登録でも・・・・